FC2ブログ

足立信也議員の医療社会保障政策 

足立信也参議院議員の名が、医療行政がらみでよくマスコミに登場する。民主党に所属し、厚生労働省の政務官を担い、彼自身が言うとおり、外科医としてのキャリアーを生かして、医療政策について積極的に発言をしているからだ。

昨年来の、彼の発言で、医療現場に大きな影響をもたらすと思われるものは、二つ。

○外来管理加算(内科系の外来診療に認められる一種の技術料)を、廃止することも一つの選択肢である。

○診療所の再診料を下げる。その代わり、夜間電話での救急対応をする医療機関には新たな加算を与える。

これらの内容を詳細に論じる積りは無いが、これが実施されると、診療所の多く、特に検査等の少ない小児科診療所では、壊滅的な影響を蒙る。ドラスティックな提言である。このような政策が実行されると、診療所による地域医療が崩壊するだけは済まない。そこが担っていた地域医療の負担が、基幹病院にかぶさることになるのだ。医療システムの根本的な変化をもたらすことになる。

で、このようなドラスティックな提言を、彼が行う理由はいろいろありそうだ。

○救急を扱う外科系の臨床医として、勤務医としてキャリアーを積んできた。診療所の医師の救急対応に対する不満がある。

○民主党のマニフェストに沿った、勤務医負担軽減策の一環。

○先の衆議院選挙で、日本医師会が自民党を応援したことから、日本医師会の主要構成員である診療所医師に「冷や飯」を食わせる。

○政務官として官僚から、レクチャーを受け、官僚の意思を体現している。

これだけではない。彼のウェブサイトから、彼のライフワークとしての医療政策に、興味深い文章が載っている。

以下、彼のサイトから引用~~~

足立信也議員の提言・政策

なんと言っても私の専門分野である医療・社会保障制度の抜本的改革です。これだけといってもいいかもしれません。私は病院へ勤務する一人の臨床医として、与えられた制度の中で最善の努力をしてきましたが、患者さんひいては国民の皆さんが安心して治療を受けられる、また医師はじめ医療従事者が患者さんの求める医療に応えるには、今の医療制度や福祉制度を抜本的に改革するしかないと改めて痛感しました。私はケネディのいう 国が何をしてくれるかではなく、国に対して何ができるのかでもなく、何をするかが重要だと思っています。

政治の目的は国家の安全を保ち、国民に安心を与えることにあります。ですから、国家の安全を保障するための他国との協調や、災害時の対応力を備えた組織は欠くことができません。さらに犯罪やテロから国民を守ることは政府の責務です。安全のための組織の充実が必要と考えます。国民に安心感を与える最大の政策は医療・年金などの社会保障政策です。国の借金が雪ダルマ式に膨らんでいく中、これ以上将来世代に借金を付回しにすることは許されません。医療費を際限なく増やすことは出来ない中で、国民が必要とする医療をいかに提供するか、どのような医療制度・医療保険制度が望ましいか、を抜本的に見直すことが必要です。ここに私は現場の臨床医として生の声を生かしたいと思っています。私は国民の医療・介護・福祉・年金に対する不安を取り除きます。医療費のかからない、最も効率的なものは保健医療です。地域住民の健康状態のチェックをし、早期に発見する家庭医の養成が急務であると考えます

そして、保健・医療・福祉を総合的に行う包括的な医療体制の確立が重要で、そのシステム造りをしたいと考えています。すべてのことをばらばらにやっていては国の社会保障に対する考え方が見えてきません。家庭医・かかりつけ医・救急医療・保健・医療・介護について自治体には包括医療に対応するための施設が必要だと思います。その全体像が明確になっていれば国民の健康に対する安心、医療体制に対する信頼は増します。

そこで大事なのが先の総選挙のマニフェストの中で私が最も賛同できる 民主党の"5つの約束"の一つである「高速道路無料化」です。「高速道路無料化」は新しいライフスタイルを生み、車と人と物が活発に動き出して経済の活性化をもたらし、活力を地方に分散させ、物価の内内格差を縮小して購買力を増加させます。料金所がなくなり、高速道路へのアクセスが良くなります。このことは小児医療の充実や長距離介護を支援することに直結し、経済圏という考え方から医療圏を中心とした地方分権への進化を意味します。

引用終り~~~

医療が崩壊に瀕している大きな原因は、コスト・アクセス面で需要と供給のアンバランスが、国レベル・地域レベルで起きているという根本的な問題には、彼は意図的にか、または知らないためか言及しない。

予防医学を盛んにし、それによって医療社会保障費を削減できるというのは、一種のドグマに過ぎない。医療経済学ではよく知られたことだ。

また地域社会保障充実のために、これ以上の「施設」が果たして必要なのだろうか。施設というと、箱物行政を連想してしまう。一体その施設で何をしようと言うのだろうか。

もっともユニークなのは、高速道路無料化が、医療とりわけ小児医療を充実させ、長距離介護を支援することになる、従って高速道路無料化が重要だと言う。高速道路無料化に確か5000億円程度の国庫予算が必要だという計算だったと思うのだが、それだけの投資をして、足立議員の主張する効果が得られるのだろうか。それに、小児医療・介護を支援することになるとは一体何を想定し、それがどの程度現在の危機的な状況の改善に資するのだろうか。

この社会保障政策の提言を読んでの感想。足立議員は、あまり現状を良く分かっておられないのではないか、臨床をしていたということだけで医療政策担当になったのではないか、ということだ。失礼ながら、これで医療政策の舵を取られては、現場はますます困窮する。診療所を潰すというのであれば、その影響はどのようなことが考えられ、それにどのように対応するのか、予めよく考えてもらいたい。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1632-e3a4f729

足立政務官のお考え

ステトスコープ・チェロ・電鍵の足立信也議員の医療社会保障政策が面白かったので、私も二番煎じをやってみます。出所は足立政務官のHPで、「政策・理念」としてプロフィールに掲げられており、恒例の通り分割しながら引用して読んでいきます。  なんと言っても私の専門分

  • [2010/01/29 08:24]
  • URL |
  • 新小児科医のつぶやき |
  • TOP ▲