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日医大への民事訴訟 

脳腫瘍の発見が遅れたために重篤な後遺症が残ったとして、東京地裁が、日医大に5200万円の支払いを命じる判決を下した。

患児は、元々痙攣疾患があり、日医大に通っていたようだ。下肢の震えと嘔吐が始まり、同月下旬CT検査を受けた。そこで脳腫瘍が発見され、「すぐに」手術を受けたが、意識障害等の後遺症が残ったというもの。

情報が少なすぎるので、コメントしずらいのだが、神経系の基礎疾患のある患児に症状が現れ、1ヶ月以内にCT検査をすることが、とても遅れているとは思えない。急激な意識障害等の症状があれば、CT検査を至急に行うことはあるかもしれないが、基礎疾患の症状との異同等を含め、少し時間を置くこともあるし、痙攣を起す疾患では、月に一回またはそれ以上の間隔で再診することが多く、その点からも、検査を行うことが異常に遅れたとは思えない。どのような基礎疾患があり、どのような症状が何時から現れたのか、身体所見上の変化がどうだったのかといった情報がないと判断しがたい。下記の感想は、あくまで一般論である。

裁判官は、そうした情報を十分把握しており、その上で、『前日の受診時までに手術すれば重い障害は防げた』と言い切ったのだろうか。このように時間を限定して、言い切るということは、少なくとも、医学的にはありえない。何時ごろまでに、手術すれば重い障害を防げた可能性がある、ないといったレベルのことしか、医学的には言えないはずだ。全経過を後から見て、違う処置・検査をしていれば、このような経過を取らなかったと言うことは、容易なことだ。違う経過を推測することは可能だが、それには、極めて多くの変数がある。一つの推測を恰もそれしかありえないかのように断定するのは誤りだ。後から見直して、そのように批判することは、これから先の医療に生かすためには意味のあることだが、民事訴訟の場で、そうした批判を元に判決を下すことには強い疑問を感じざるを得ない。

この新聞社の「手術遅れ」というタイトルは、記事の内容自体と相反している。手術は、診断確定後、すぐに行われているのだ。この記者は、自分の書いていることを理解していないように思える。


以下、引用~~~


手術遅れ、脳障害 日医大に5200万円支払い命令
10/03/05
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


脳障害:賠償訴訟 手術遅れ、日医大に5200万円支払い命令--東京地裁


 東京都葛飾区の女児(12)が脳の障害で寝たきりになったのは適切な治療を怠ったためとして、両親が日本医科大学付属病院を経営する日本医科大学(文京区)に約1億7700万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は4日、約5200万円の支払いを命じた。浜秀樹裁判長は判決で「早く手術すれば意識がなくなることはなかった」と指摘した。

 判決によると、女児はけいれん発作などがあり、小学1年生だった05年初め、足の震えや嘔吐(おうと)を繰り返すようになった。

 同院には幼稚園時代から通院していたが、CT(コンピューター断層撮影)検査を実施したのは05年1月30日。この際脳腫瘍(しゅよう)が見つかりすぐに手術を受けたが、脳の障害で寝たきりになった。判決は「女児は歩行異常や体重減少を訴えたが、早期にCT検査をしなかった過失がある」と指摘。手術日には既に手足に力の入らない状態だったことから「前日の受診時までに手術すれば重い障害は防げた」とした。【伊藤一郎】

コメント

これだけじゃ、わかんないですが・・・

あくまでも記事情報だけですが、幼稚園時代から通院していたのがもし痙攣発作であれば、やっぱり遅いんじゃないですか。

どういう程度、どういう症状であったかの病歴が不明ですから、言い切れませんが、現代では痙攣が断続的であっても続けばCTが必要になります。

可能性としては、幼稚園時代の痙攣が熱性痙攣であり、小1になってから脳腫瘍が発生したのストーリーも当然ありえます。

やはり問題は、

 >同院には幼稚園時代から通院していたが

これがどういう状態で通院していたかの情報が欲しいところです。

確かに、この記事内容だけから、遅くは無かったとは断言できません。どのような基礎疾患があり、それによってどのような症状を呈していたのか。1ヶ月以内に何度日医の方で診察したのか。定時に(通常1ヶ月間隔のことが多いと思われますが)通院していて、主治医が症状を把握したのか、それとも1ヶ月間に何度も通院していたのに、こうした経過だったのか。

基礎疾患のない児が、これだけの症状を起こしたら、すぐに緊急のCTということにはなるかもしれませんが、上記の通り、変数がたくさんあるケースで、症状発現後1ヶ月以内にCTを撮ったことが、「遅すぎる」とは「断言できない」ように思えます。

裁判官の断定的な判断には違和感を覚えます。

原告の請求金額の1/3程度しか認められなかったこともあり、判決の中身を知りたいところです。もし、CTが遅かったためにこうした経過になったと本当に断定できるなら、もっと賠償金額は高くなるのではないでしょうか。


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