FC2ブログ

医学の道に進むRへ 

君(次男)にはこのブログを教えていないので、このポストを何時読むことになるか、または読まれぬぬままに消えることになるのか分からないが、君の人生の一つの節目に一言記しておこう。

君は、この春から医学の道を歩むことになった。家族が強く勧めたわけではないが、将来を考えるようになった大学3年のときに、医学を志した。それ以来、大学の単位は3年目で殆どとり終り、その後の1年半は、受験勉強に没頭していた。週末も必ず図書館に通い、こつこつと努力していた。その姿に、むしろ私の方が教えられるような気がした。そして、この春、その努力が実った。こうして一つのことに集中して努力すること、それをし終えたことは、君のこれからの財産になるはずだ。

暗闇から生まれ、また暗闇に向かって進む大きな生命の流れのなかで、人間は生命を一時得て、その流に参画し、自らの生命を輝かせるように精一杯生きようとする。一人の人間は、やがて、次の世代に生命を受け渡して、この世から去ってゆく。その大きな生命の流れにあって、生命に寄り添い、生命を輝かせるためにそっと手を差し伸べるのが、医師の仕事だ。いずれ死滅する個々の生命に対して、医師といえどもなしうることは、限られている。それでも、病者にとっては、なくてはならない仕事であり、喜ばれる仕事だ。

医療が、社会的にばら色の道を歩んでいた時代は既に過去のものとなった。社会からさらに多くの医療の助けが求められる時代になりつつあるのに、そうした社会の到来にしっかりと準備をしてこなかった、我々の世代の責任なのだろう。さらに、社会が医療に要求するレベルが、医療の力を超えていることも度々ある。医療のなしうること、限界が理解されていないためなのだろう。医療がこうした厳しい状況にあることは、君も、家族内での話題などで知っていることだろう。医師であることだけで、社会的に認められ、経済的にも恵まれるということは、決してない。それを覚悟しておく必要がある。

医療と医学について、幅広く学び、関心の持てる事柄には率先して首を突っ込んで楽しく学んでいって欲しい。仕事の場を、日本だけに求めるのではなく、求められれば世界どこにでも出かけていって、仕事が出来るように準備しておいた方が良いだろう。信頼できる友人を持ち、友人と様々な喜び、不安そして哀しみを共有できるようになるように。これを読んで、私が自分でなしえなかったことを君に期待していると、君は苦笑していることだろう・・・そうだ、君の人生なのだ。君の人生を、君の仕方で切り開くことだ。疲れたら、羽を休めに帰ってくるといい・・・。

コメント

ご子息様おめでとうございます。

遅ればせながらご子息のご入学おめでとうございます!
私どもにもまさに同じような経過を辿って医学の道を志した子供がおりますので、
何かとても親近感を覚えております。

JA1NUT様が仰る通り、医者がかつてのような社会的ステータスがあるわけではなく、
経済的にも世間で思われているほど恵まれているとは言えない時代です。
使命感から我が身を削るように尽くしても、
さらにそれ以上を求め続けられ、
まさにシジュホスの神話の如き仕事のように思える時があります。

そんな職業を敢えて選択した娘に、
夫は「やめた方がいい。女の人は男よりもっと大変だから、自分としては娘に医者は勧められない。」と反対しました。

結局本人の強い意志もあって、
娘は大学(文系)卒業後予備校に入って受験勉強をし、地方の医学部に入学しました。

娘は父親が勤務医として大変な思いをしていたのを間近に見てきたはずです。
日曜祝日関係なく病院に行って、夜中にも病院に呼び出され、
学校行事にも来てもらったことがない、
それでもおそらくそんな父親を尊敬しているのだと思います。
家庭や自分の生活を犠牲にしてまでも患者さんの為に頑張っている父親の生き方を誇りに思ってきたのでしょう。

夫は娘の将来を案じながらも、自分と同じ道を志した娘に、
どこかしら嬉しさも感じているようでした。
大変な職業ではあるけれど素晴らしい職業でもあるのですから。
(娘の進路変更が夫が開業を決意する一つの要因になったかと思います。)

JA1NUT様のご子息様が自ら志して医学の道に進まれたのは、
お父様の生き方に対する敬意があってのことと推察致します。

これからの医療の世界に未だ明るい兆しは見えてきませんが、
医学の道を選び取った若い人達の、世の為人の為に尽くしたいという崇高な思いを
裏切らないような世の中に変わっていって欲しいと願わずにはいられません。

ご子息様の将来に幸あれと、陰ながらお祈りさせて頂きます。

暖かな言葉をありがとうございます。

医師という職業は、人間、それも病を得た困難な状況にある人々を相手にする職業ですから、優れた能力とともに、相手を思いやれる人間としての成熟が必要な仕事だと思います。

若い人々が多く医師の道を志すのは、そうした仕事としてのやりがいがあるためなのでしょう。

でも、医師の労働環境は様々な意味で低下し続けています。低下させられている、というべきですね。

お嬢様や、私の息子が、医療現場に出るときに、どのような状況になっているのでしょうか。

英国の状況などを見ると、行き着くところまで落ちて、その後、政治が医療の状況を改善しようとしていますが、医師の士気は、簡単には元に戻らないようです。

次の世代の医師が生活に心配することなく、思う存分適正な労働環境で仕事ができるようになるように、できることをしてゆきたいものだと思います。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1676-98fcdcf4