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非人間性を曖昧な衣に隠して 

来月から、地域貢献加算という診療報酬が新設される。既に、ここでも記したが、24時間365日診療時間外対応をすると、再診料に30円加算できるという制度だ。

今回、診療所の再診料が20円安くされたので、その低下分を補填する、さらに時間外の救急患者対応を診療所に促すことを期待する、という二重の目的がある。

この制度を導入した張本人である、足立信也議員(厚生労働省政務官)に対して、梅村聡議員が、参議院予算委員会で質問している。お二人共に、医師である。

梅村議員は、この制度によって、24時間365日時間外対応を診療所医師が迫られることになるが、それは過重な負担ではないかと質問している。足立議員は、診療時間外の対応である、詳細はこれから事務方から公表される、実際に診療所医師が対応しているかどうかの評価は、準夜帯(夜12時まで)の診療報酬請求の多寡で行なう、と答弁している。

実際のところ、梅村議員の疑問が、医療現場の声でもある。特に、時間外救急の半数の症例が、小児科患者である。小児科診療所への負担は計り知れない。また、24時間365日、医師を拘束しようという制度が、医療崩壊の拡大策そのものではないだろうか。この加算を算定しなければ良いと言えるのかもしれない。が、マスコミは、24時間365日診療所は対応をすべきであるというキャンペーンを張ることだろう。そうした状況になると、加算不算定だけで済まなくなる。

さらに、行政の良く行う手法として、小額の加算を認めておいて、時間外の無制限対応が一応多くの診療所で行なわれるようになると、加算そのものを取りやめ、時間外無制限対応を行なわない診療所にはペナルティを課すという対応を行なう。そうした朝礼暮改に対する危惧を抱く。

それに対する、足立議員の答弁は、一見曖昧である。「一言で言うと二十四時間三百六十五日全部ということではない」と言いつつ、診療時間外の対応要求である、即ち24時間365日拘束であることは明言している。何たる自己撞着。事務方は、この加算を算定しようとする診療所は全体の1/3と踏んでいるらしい。要するに、一見曖昧なままで制度を始め、多くの医療機関が算定すれば、算定要件を満たしていないとして、切るという意思表示である。足立議員は、医療現場の状況、さらに再診料下げと抱き合わせで、こうした制度を導入する非人間性を理解しているのだろうか。大いに疑問だ。

行政は、曖昧なルールを設定し、その運用で如何様にもできる余地を残すことをしばしば行なう。一種の裁量行政だ。

そうした曖昧なルールで、医療現場がどれだけ苦しもうが、お構いなしである。

それにしても、30円の加算で、24時間365日の拘束とは、何という制度なのだろうか。



以下、引用~~~

衆議院議事録情報 第174回国会 予算委員会 第10号(下記アドレス)より抜粋

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0114/174/1740311001
4010c.html

○梅村聡君 予防接種法改正についてはまた厚生労働委員会で取り上げたいと思います。
いずれにしても、厚労省含めて皆様方も中央危機管理のプロですけれども、現場もそれぞれ現場のプロがおられますから、ここはどう力を合わせていくのかが大切ではないかなと 考えております。
それでは次に、診療報酬改定について質問をしたいと思っております。
今回はネットで〇・一九%増ということができたわけでありますが、この中で、いわゆる地域医療貢献加算、これは、地域医療で開業医の先生が夜間、休日、時間外、こういった ものを対応いただけた方に加算される診療報酬加算でありますけれども、この加算のそもそものねらいと算定要件をお教えください。

○大臣政務官(足立信也君) ねらいということからまずお答えいたします。
私は、今地域の医療の状態、特に医師不足の地域の状況を見ていると、昔から、私が子供のときなんかは、いつでも対応してくれる、電話でも結構なんですが、いつでも対応して くれる地域のお医者さんがいた。その方々と、今はそうではない、ある標榜時間が過ぎたらもうあと一切連絡が付かない、どこにいるのかもはっきり分からないというような方々 もいらっしゃる。これは診療報酬の面で私は区別が必要だろうと、そういうふうに思っておりましたし、中医協の中の議論でもやはりそれは違いがあるだろうという、違いの評価 を取り入れようということの議論になったと思っております。
そして、その主な要件は、緊急時の連絡先について患者さんにお知らせしている、それから緊急時の患者さんからの問い合わせに対して対応ができる状況にあること、これは必ず しも個人ではなくて二、三の医療機関でということも入りますけれども、そして対応ができている。具体的には、要件の中で書かれていること以外に私は検証がこれ必要だと思い ます。みんながみんなこの加算を取ろうとして、対応できていないのにできているようなことになってはやっぱりいけないわけで、検証は必要だと思います。
少なくとも、今患者数、患者さんが非常に多いと言われている例えば午後十一時あるいは十二時までの準夜帯、ここら辺りの対応は少なくとも必要であろうと、そのように私は考 えております。

○梅村聡君 そうすると、イメージとしては二十四時間ということではないということでよろしいでしょうか。

○大臣政務官(足立信也君) 通知で原則としてと書かれているという意味だと今思いますが、これは、対処の仕方としてはQアンドAの形でしっかり分かっていただくことが重要だろうと私は思っております 。ですから、原則二十四時間というものをどうとらえるかでありますけれども、私自身は、やはり少なくとも標榜時間外でも対応できるという表現、答えにとどめておいて、やは り集中する時間帯というのは当然あるわけですから、そこの要件が大事になってくるんではなかろうかと思っております。
実際これは、検証という話ししましたけれども、じゃ電話対応あるいは訪れてきた場合に、いずれ準夜加算とかあるいは深夜帯の加算ということがレセプトで出てまいります。本 当にやられているかということが後でだんだん分かってくると思います。そういうことも踏まえながら、一言で言うと二十四時間三百六十五日全部ということではないと私は思っ ています。

○梅村聡君 それでは、例えば一つの例ですけれども、一つの町とか市とかで、百とか二百でもいいんですけれども、医療機関がそれぞれ輪番制を決める、そして二十四時間三百六十五日必ず どなたかが対応できるようにする、あるいは休日夜間診療所にどなたかが必ず詰めていただく。そして、そのことをきっちり市民の方に広報すれば、足立政務官が今おっしゃった ような体制というのは組めると思いますが、こういった体制の組み方でこの診療加算というものを取れるようにできるのかどうか、教えていただきたいと思います。

○大臣政務官(足立信也君) 先ほどの地域貢献加算のことと、今輪番制のことがございました。私はどちらも大事だと思っております。
そういう形で、地域連携夜間・休日診療料ということで点数もちゃんと付いておりますし、在宅当番医制はこれはもう既に六百四十三地区で行われております。こういうことも診 療報酬の中で反映される部分だと思います。
大事なことは、その病院に連絡している例えば何千人とかすべての方に対応するんではなくて、二、三のグループで対応しようとする場合等は、その方の情報を前もって伝えてあ るとか、その患者さんにこの間はここに行くようにしてくださいねという情報も伝えてあると、そういうことがこの貢献加算においては大事なんだろうと思います。

○梅村聡君 ただ、この評価を見てみますと、これ緊急時の対応体制や連絡先等を院内掲示、連絡先を記載した文書の交付、診察券への記載等ということが書かれておりますから、現実的には 数千人の方に連絡先が知らされて、そして電話の転送等で二十四時間三百六十五日これやっぱり掛かってくるわけですよね。それで、例えば三千人、四千人の方にお教えして、過 去にかかられた方もこれは全部その情報を知っておられるわけですから、そうしますと、一年に一回お一人の方が問い合わせても、一日十人ぐらいの方からは二十四時間三百六十 五日これやっぱり掛かってくる、連絡が来るわけですよね。それを、あなたはかかりつけじゃないから駄目ですとか、あなたは一年前の方だから駄目ですとか、そういうことはや はり電話とか対応とかでは区別できないと思うわけですね。
だから、現実的にこの対応策を取ると、実際問題としては二十四時間三百六十五日になるのではないかと思いますが、そういうことに実際なるんですけれども、その点に関しては いかがでしょうか。

○大臣政務官(足立信也君) 実際問題と今おっしゃいましたけれども、それは例えば加算をした場合にレセプト上で査定されるかどうかということにかかわってくると思うんですね。全員に対応できているか どうかということは、恐らくそれは査定のしようがない、評価のしようがないことだと思うんです。後々で分かってくるということは、そういう連絡先やあるいは対応ができてい るということが、例えば先ほど申しましたように、準夜帯加算が実際上のレセプト上表れているというようなことでこの方はきちっとやられているんだろうなという評価になって きて、全員が全員それに対応していなければ認められないというようなものではない。
そして、実際上、今全員から掛かってくる可能性があるのではないですかということをおっしゃいましたけれども、掛かってくる可能性としては私はそれは否定できないと、そう 思います。しかし、その方々に全部対応しないと加算は一切駄目なのかというと、それはQアンドAでこれから示していきますけれども、運用上はそうではないと私は思っていま す。

○梅村聡君 しかし、標榜していると、連絡が来たら必ず対応しないと私はいけないと思います。そうやってしまうとですね。
少し私と政務官の一つの認識の違いが一点浮き彫りになったと思います。私は、もちろん昔の先生方は二十四時間三百六十五日対応しておられた、今はそうじゃないと。それも一 つあるのかもしれませんが、今回のこの評価ということは何かというと、これは病院勤務医の負担につながる取組だということで取り組んでおられるわけなんですよね。
そういうことから考えると、私、自分が勤めていた病院で実はすごく助かった例がありました。これは、病院のすぐ目の前の医師会館で一次救急をすべて開業医の先生が輪番を組 んでいただいてやっていただいたと。そうすると我々二次救急だけに集中することができましたから、これ非常に有用な取組でした。大阪府の箕面市という町でありますけれども 。
そういうことから考えると、夜間に結果として二十四時間になるかもしれませんが対応されることよりも、むしろ輪番制であったり夜間休日診療所をきちっと機能させるというこ との方が私は重要度が高いと思っています。もちろんこれまでも評価をされていたとおっしゃられますが、現実的には、そこに参加をしていただけない先生方、もっと言えば医師 会の活動も含めて、そこに来ていただけない先生方が増えてきていると、ここに私は問題点があると思っています。つまり、ここのこういった地域としての輪番制とか休日夜間診 療所含めて、そういった公益活動にもう一度多くの医療機関の先生方が参加していただく、もっと言えば、医療コミュニティーというか、そういうものを今再構築することが私は 一番最重要だと思っています。
そういう意味から考えると、私は、この加算は、もちろん算定はこれから基準を決められるということですけれども、どうもお話を聞いていると、ただ個々の方が疲れるだけでは ないかと。それだったら、そのコミュニティーをもう一度再生させることにこの三点を使えば、私は非常に有用な取組ではないかと思っております。
このことについては、私の最後の感想ですので、政務官からも見解を聞いて、私からの質問を終わりたいと思います。

○大臣政務官(足立信也君) 小児科の医師不足ということが顕著になったときに、各地域で開業をされている小児科の方々が二次救急、三次救急をやられている病院の外来を使って初期救急を担当していたと 、こういうことがありましたし、その評価もしております。これを今回は、小児科だけに限らず、あらゆる科で開業医さんがその病院の外来を利用して初期救急に対応するという ことを評価を新設をいたしました。そのことも大事だと、これもネットワークづくりの一つだと思います。先生のおっしゃるとおりだと思います。

○梅村聡君 もう終わりますが、これ電話対応、すべて転送されて二十四時間対応する、やっぱり物すごく大変なことです。厚生労働省でも各部署に掛かってきた電話が全部役人の方に二十四 時間三百六十五日転送されたらこれはもう大変なことになるわけで、そこは地域コミュニティーを、医療コミュニティーを壊さないような、そういったしっかりした取組をお願い して、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

コメント

「実際に診療所医師が対応しているかどうかの評価は、準夜帯(夜12時まで)の診療報酬請求の多寡で行なう」

24時間電話番させていったい何になるんだろうと思っていたのですが、ちゃんと24時間診療をさせることを念頭に置いているわけですな。当院の様な弱小診療所には土台無理。金をかけずに救急をナントカしようという気持ちは分かりますが、少々虫が良すぎるんじゃないでしょうかね。これが義務化されるようなら、そのときは引退するまでです。

準夜帯だけに限定するということも検討しているとのことですが、それにしても、365日対応しろという発想には呆れますね。

これで思い出したのが、年功序列という日本的なシステムの淵源が、戦時中の労働者への給与カットにあったということです。それは、職業の変更不可という条件と一緒に、実行されたのでした。医師の強制配置論といい、365日拘束の強制といい、官僚システムの発想そのものだと言う事です。何しろ、厚生労働省官僚は、戦前の内務省官僚の末裔ですから。

このように非人間的な制度設計を行って恥じない官僚の精神性は、根が深いように思います。

医療から足を洗うべき時期が、そう遠くは無いと感じさせられますね。

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