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15周年 

先月中に記そうと思っていたことだが、先月6日で、開業後15年間経った。特に感慨があるわけではないが、このところ、この15年間を幾度と無く思い起こしていた。

私は、元々開業を志向していたのではなかった。スタッフとして仕事をしていた大学を出ることになり、近くの市中病院で5年間近くお世話になった。その後、小児科だけを診る勤務医としての将来に見切りをつけ、また業者から工務店や、現在地の土地の紹介があったこともあり、開業することになった。開業して、斯く斯く云々の仕事をしたいという明確なビジョンがあったわけではなかった。

開業直前まで務めていた病院の好意もあり、そこで診ていた患児のかなりの方々が私の新しい仕事場に通ってくださることになった。まだ準備万端とはとても言えなかった、開業初日に56名もの患児達が受診してくれて、てんてこ舞いをしたことだった。開業当初は、この地域に小児科専門の開業医が、一人、二人しかいなかったこともあって、とても忙しい毎日だった。だが、4,5年目のピークを境に、その後競合医療機関が増えたこともあり、徐々に患者数は減少してきている。診療報酬上も外来小児科は、当初かなり優遇されていたように思うが、徐々に厳しい扱いに変化しつつある。

最初の数年間は、大きな借金を抱えたこともあり、無我夢中で仕事をした。日曜日も必ず仕事場に来ていた。年末年始もなし。仕事自体は、大学・病院勤務医時代に比べて楽にはなったが、仕事に拘束される時間と、医療以外の雑用は多くなった。

開業当初は、人事・経理等すべてが未知・未経験のことだった。よくぞ騙されたりしなかったものだ。取引銀行も途中変更した。借金返済について議論しようとしたら、某地銀は、すぐに全額返済しろと強硬に言ってきたのでびっくりしたことがあった。また、私の言うことを聞いてくれないスタッフも、当初いたのだが、そうした方々は、何やかんやで辞めて行き、今残るスタッフは一人を除いて、7,8年以上前から務めている方々ばかりだ。中には、子育てを終えたり、一旦辞めて他の施設で仕事をしてから戻ってこられた方もいる。

このように書いていくと、まるで成功物語みたいだが、書ききれぬほどの失敗もあった。特に開業当初は、年齢からくる更年期の軽い欝もあり、軽い不安感をいつも抱えていた。決して、上首尾にここまで来れたのではない。でも、途中でこけることなく、曲りなりにもここまでこれたのは、多くの方々との出会い、彼らのサポートがあったからだ。

開業時、個人的には殆ど存じ上げなかった、工務店の社長さんが、銀行の借金の保証人になって下さった。あの時代、まだ開業のリスクはそれほど高くなかったのかもしれないが、今になって思うと、仕事の関係を超えた彼の善意に感動する。また、スタッフ、特に今残ってくれているスタッフには、私は家族同然の気持ちを抱いている。彼等はどう思っているか知る由もないが、これまでとても良く仕事をして下さっている。開業当初、晩年の父が、何くれと無く手伝ってくれた。以前にも記したが、東側の槿の木や、北側のカナメモチの木も、彼が植えてくれたもの。今では、大きく育っている。この画像は、彼が整えてくれた、待合室の蔵書棚。本が壊れかかると、背表紙にテープを張って、直してくれた。具体的には書けないが、家族の物心両面での支援も大きかった。

さて、これからリタイアに向けてソフトランディングするために、少しずつ準備をして行かなければならない。社会の情勢、医療の状況、それに患者・スタッフのこと、私の家族のこと、すべてに目を配りながら、スムースに少しずつ戦線縮小をして行こう・・・でも、始めるときよりも難しいことを痛感する・・・。


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コメント

おめでとうございます

15周年、おめでとうございます。

体は楽になるとのことですが、自分が開業するというのを想像すると、
しっかり続けていくことの忍耐力
自分が休んでしまっては成り立たないという責任感

などなどが必要であるだろうなぁと思います

様々な人の助けを借りての15周年、すばらしいですね。本当におめでとうございます。

kanoさん

そうなんです・・・自分が体調崩したら仕事がすぐにストップしてしまうという事実は、かなりのストレスでした。休診による減収をカバーしてくれる保険等にも入りましたが、万能ではありませんし、ね。

もし開業される場合は、これまでの開業形態に囚われず、複数の医師でチームを組んでやるとか、いろいろと考えて始めた方が良さそうです。実際、開業時米国の循環器内科の医師である友人には、パートナーはいないのかと不思議がられたことがありました。複数の医師での開業は、収入等の面で問題もありますが、2,3人で仕事ができたら、心理的に楽だったろうなとは思います。

kanoさんは、学究の世界で活躍なさっているわけですから、開業はまだまだですね。でも、時々は、開業医の生活や、仕事に触れるのも良いことかもしれません。将来kanoさんが開業されるころには、医療事情が改善していることを期待したいものです。

コメントをありがとうございました。

15周年おめでとうございます

無事に15周年をお迎えになられて、おめでとうございます。

人事や経理も先生がご自身で関わってこられたのですか?
それは大変でしたでしょうね。
うちは夫は診療にできるだけ専念できるよう、
妻である私が裏方として手伝っていますが、
一難去ってまた一難という感じで、
なかなか心労が絶えないものですね。
開業前の勤務医時代にはわからない苦労でした。

先生がこれまで、ご両親ご家族・スタッフ・患者さん達
みんなに助けられ支えられて15年続けてこられたとおっしゃっているのは、
ご自身が誠実に生きてこられた事を表わす何よりの証左ではないかと思いました。

自分が正しいと思うことを続けていればきっとうまく行くと信じて、
うちはまだ今年で4周年ですが、
先生のように長く地域に貢献できるよう、何とか頑張っていきたいと思います。
真面目に誠実にやっていれば、何かトラブルがあったとしても、
周りに助けられて乗り切れるのではないかと信じて。

うちなどはアラ還の年齢なのに、開業医としてはまだ新入り(遅れてきた新人)で、
これから10年以上も借金返済をしていかなければなりませんが、
逆に開業が遅かった分、子供も成人していて後は自分達だけですので、
あくせくしないで自分の望むような診療ができるのではないかと夫は申しております。
これから医院を大きくしようとか、
もっともっと患者さんを増やしていこうとか思わないので、儲ける必要もなく、
夫が地道に好きな事を続けていければいいと思っています。

先生がこれからも小児とその親御さん達のためにも、
まだまだご活躍されることを願っています。

15年間、無事過ごせたことが、決して当然のことではないように、振り返ると思えます。

先日、毎年の決算のための準備に追われたのですが、よく言えば、最近は、流れ作業になっている、実態はいい加減になっていると改めて感じました。毎月のようにしっかり事務作業をこなせばよいのですが、資料・書類を年度末にファイルする作業に追われてしまいます。気持ちの底には、もう先が見えたという思いがあるのだろうと思います。

福寿草さんにおかれましても、お二人お体を大切になさりながら、自分のこれぞと思う医療を実践されますように。子育ての義務から解放されていることも羨ましいです・・・。

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