FC2ブログ

医療費削減が目的? 

1999年から2008年にかけて、向精神薬の大量服用で救急出動が増えた、その背景には、精神科・心療内科診療所の増加がある、という内容の毎日新聞の記事。

この記事には、不明な点、おかしな点がいくつかある。

○薬物の大量服用が、途中から専ら向精神薬の大量服薬にすりかえられている。向精神薬以外の薬物の大量服用は、どうなのだろうか。

○恰も自殺者がこの10年間で増加しているように思わせる内容だが、実際は、ほぼ横ばいで高止まりしている。この記事の内容は、自殺企図の手段の割合が、薬物の大量服用にシフトしている可能性を示しているに過ぎない。薬物が手元にあるから大量服用したということは事実かもしれないが、その背後には、自殺企図をする人々の抱える個々の問題がある。薬物、ましてや向精神薬が出回っていることだけを問題にしても解決しない。

○精神科・心療内科診療所が、向精神薬を投与していることが問題であるかのような内容だが、そうした診療所で自殺企図を起こしうる方々に医療を行っている、自殺企図に至らぬように努力していることは無視している。また、最近、専ら医療費削減のために、薬物の長期間投与が医療行政上進められており、それの弊害を何らこの記事は論じていない。

薬物の大量服用で救急出動が増えたということだけをもって、精神科・心療内科診療所での向精神薬投与が問題であるかのように結論付けるのは、短絡的過ぎる。

うがった見方をすれば・・・というか、この見方が当を得ていると思うのだが、精神科・心療内科診療所での向精神薬の投与を抑制することで、医療費をさらに削減しようと考えた、厚生労働省官僚と毎日新聞記者の為にする記事と思える。

毎年3万人が自殺している。その家族や親族も含めると、数十万人の規模の方々が、自殺により大きな影響を受けている。これは異常な事態だ。それを解決するかのように見せかけて、医療費削減を目論もうとするさもしい人間が、マスコミと官僚の中にいる、ということだ。


以下、引用~~~


向精神薬の大量服用で救急出動倍増 東京、大阪など10年で
10/06/25
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


過量服薬:向精神薬の大量服用で救急出動倍増 東京、大阪など10年で



 自殺や自傷目的で向精神薬などの薬物を大量に飲んだとして消防が救急出動した件数が東京都と3政令市で08年までの10年間で約2倍に増えたことが毎日新聞の調べで分かった。向精神薬を主に処方する精神科や心療内科の診療所が同時期に1・5倍に急増し、受診の機会が増えたことが背景にあるとみられる。厚生労働省研究班も向精神薬乱用の実態調査に乗り出した。

 本紙の調査は、東京都と政令市、県庁所在地の計52自治体の消防局と消防本部を対象に実施。自殺や自傷目的で向精神薬や市販薬を過量服薬したとして救急出動した件数(一部は搬送件数。農薬など毒物もわずかに含む)を尋ねたところ、7割にあたる37都市から回答を得た。うち99~08年の10年間のデータを回答した札幌市、東京都、大阪市、北九州市の4都市について出動件数の推移をまとめた。

 調査結果によると、4都市の救急出動の総数は05年の96万9517件をピークに減少に転じ、08年は05年比で約1割減った。一方、過量服薬による出動は99年には2217件だったが、05年に4000件を超え、08年には過去最多の4213件となった。

 また08年の36都市(09年分のみ回答した山口市を除く)の過量服薬による出動は計8424件に上った。都市別では最多は東京都の1615件(搬送数)、次いで大阪市の1473件だった。【堀智行、奥山智己】

コメント

眠剤では死にませんよね

 眠剤100錠飲んでも死にませんが。かつて自殺目的で使われたバルビツール系の薬剤は今は手に入りませんし。ベンゾジアゼピン系なら胃洗浄しなくても大抵は大丈夫でした。
 この報道見ていて小生も違和感を感じました。精神科診療に対するしめつけをおこなう予兆でしょうかねぇ?

この記事から、しばらく前からマスコミを使って、うつ病に抗欝剤を用いず認知療法を実施しようというキャペーンを思い起しました。

新しい抗欝剤はかなり高価なようですね。それを使わせないようにしようという、官僚の魂胆なのではないでしょうか。

薬価を自ら高く決めておいて、あまり使うなという、官僚のいい加減さには呆れます。

向精神薬の大量服用で救急出動倍増

これだけ読んだらどう見ても救急車の出動が倍増し、その原因は向精神薬の大量服用と勘違いしますね。意図的なミスリードなんでしょうか。以下を読めば間違いであることはすぐに分かりますが、そうであっても最初のインパクトは大きく、刷り込まれてしまいます。ましてや見出しだけで読み飛ばした人はいわずもがな、です。

マスコミと官僚が意図的にミスリードしようとしているように思えますね。

「なんちゃって」精神科・心療内科の問題もないことはないのだと思いますが、患者さんのことは二の次のキャンペーンのような気がします。

自殺数が高止まりしていることへの抜本的な対策が必要だと思うのですが、それは決してやろうとはしないのですね。医療事故の表面的な対策にも似ているような気がします。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1798-2ae53d6c