FC2ブログ

音楽を語ること・グールドのゴールトベルク変奏曲 

Tさん

昨夜は、交信をありがとうございました。いつも刺激的な・・・私の方が一方的に刺激的にしているという話もありますが・・・内容の交信で、愉しんでいます。

さて、「音楽を語る」ということについて、昨夜ご紹介した岡田暁生氏の「音楽の聴き方」に面白く記されています。一般の人々が音楽について語ることを止めたのは、二つの事柄が関係していると岡田氏は記します。一つは、近代のロマン派の作曲家達の主張です。彼等は、音楽を神聖なものとして奉り、音楽について安易に語るべきではないとしました。同時に、同じ時期に、音楽での分業・・・演奏する、聴く、それに批評するという作業が、別々な人間によって担われるようになったことも関係しています。批評することは、批評家に任せればよいというわけです。これは、音楽が産業化されることと密接に関係していると、岡田氏は記しています。

仰られる通り、音楽を聴くのは自分自身であり、自分の感性に正直に愉しめば良いのでしょう。しかし、それだけでは音楽経験は不十分です。音楽経験の原初の形は、言葉にならぬ感性すべてを動員するもので、圧倒される経験だと、岡田氏は言います。でも、音楽を作ったり、演奏したりすること自体に、言葉での分析・表現が密接に関わっている、また音楽経験を他の人間と共有することによって、より深い音楽経験をすることができる、としています。

音楽について語ることは、具体的なイメージを湧かせる言葉(わざ言語といったか・・・)によって自由闊達になされるべきだ、ということを、実際の演奏家・指揮者の例を挙げて、岡田氏は語ります。

結局、音楽について、自分の言葉で大いに語ろう、演奏ができるのであれば、たとえ下手であっても愉しもうではないかというのが、岡田氏の結語であったような気がします。音楽を語ることの復権とでもいいましょうか・・・。手元に、彼のこの著作がないので、うろ覚えかついい加減なサマリーですが、彼の該博な知識と、音楽への愛情が行間から感じられる優れた著作だと思います。確か、吉田秀和賞を受賞された作品だったように記憶しています。もし機会がありましたら、是非手にとって一読されますように。私も、もうすこしきちんとサマリーをしたいと思いつつ、何か学校の宿題みたいになってしまい、のびのびになっています・・・その内、きちんと要約と感想を記したいと思っています。

グールドのドキュメンタリー番組も、とても印象深いものでした。彼の最後のゴールトベルク変奏曲の録音が、番組の中で流されており、あたたかさと高貴さを感じさせる演奏でした(わざ言語からは外れた通り一遍の感想 笑)。このゴールトベルクの演奏を評して、この世に信じるに値する神が存在することを指し示してくれるような演奏だとグールドのファンのお一人が話しておられましたが、なるほどと納得させられることでした。グールドは、しかし、精神的に病んでいたような印象がありました。交信中も申し上げましたが、途中で演奏会活動をピタッと止めてしまったのは、彼の完璧主義とともに、人間関係への恐怖心のようなものがあったのではなかったかと想像していました。あれほどに感性鋭く、音楽に切り込む能力を与えられた一方で、きっと苦しむこともあった人生を送られたのではないかと、(見当違いかもしれませんが・・・)想像しておりました。

この話の続きは、また7メガで・・・お返事は、その節で結構です。この所、ブログ更改が遅れており、本来個人メールで送るべき内容を、ブログに載せさせていただきました。また、近いうちにお目にかかります。

コメント

Shinさん、いつもQSO有り難うございます。音楽知識が乏しく、また演奏経験もない小生には、なかなか難しい話題であります。が、ともかくGouldの演奏に強く心が動くという点では共通していますね。以前、Du PreとSol Gabettaのセロが話題になりました。Du Preは悲劇の人ですが、そうなる前もどこか人付き合いがへただったようで、Gouldはそれに輪をかけたような人だったのでしょう。彼は、アインシュタインのようにアスペルガー症候群であったとか、そういう話も読んだことがあります。いずれにせよ、彼のGoldberg(1981)は、本当に崇高な作品で、聞く度に演奏に引き込まれカタルシスを感じます。QSOでお返事するにはボキャブラリー不足なので、ここをお借りしました。なお、岡田氏の本はAmazonに頼みました。ご紹介有り難うございました。では、また7メガでお会いします。

Tさん、初コメントをありがとうございます。何か、引きずり出してしまったようで、恐縮です。豪雨はもう去ったでしょうか。

確かに、無線でこうした話題を話そうとすると、表現や語彙の壁に突き当たりますが、それでもとても刺激的に思えます。Bob W6CYXもブレークを掛けたくて、うずうずしていたようです。

Gouldの1981年の録音、入手してみたいと思います。ちょっとした変人みたいにしか思っていませんでしたが、改めて彼の演奏を聴いて、見直しました。DuPreにせよ、Gouldにせよ、偉大な才能を与えられた人物には、他の点で苦難の人生を歩むように仕向けられるのかもしれません。Gouldが鍵盤に頬をこすり付けんばかりに思い入れたっぷりに弾いている姿が印象的でした。

今日、Amazonから素敵な贈り物を頂戴しました。Amazonに注文したものないのになと思いながら、開封いたしました。読後感はまたオンエアーで・・・。森有正についても特集されているようで、そちらも楽しみです。

どうもありがとうございました。

私もグールドのバッハ大好きです

kanoさん

グールドのバッハを聴かれるのですね。Tさんが送ってくださった、彼に関する評論を読み終えたところです。彼は、音楽の構造と、推進力という観点から、既存の演奏スタイル、さらには音楽自体を場合によって自分の感性で作り変えたようですね。彼の演奏自体を聴かないで、評論から入るのは邪道中の邪道なので、少なくとも彼の晩年のゴールドベルクはじっくり聴いて見たいと思います。いわゆるクラシックの常識から外れたグールドの音楽が一体どのような世界を目の前に広げてくれるのか・・・。

暑いですが、体を大切にお過ごし下さい。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1811-b8f4bf08