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レセプト並み明細書 

義務化された詳細な明細書の発行を、今月初めから開始した。義務化なのに、地方厚生局に「届け」を出す必要がある、という辺りが、いかにも官僚的な制度であることを思わせる。この明細書の発行を知らせるチラシを受け付けカウンターに張り出した。そこで、この制度が、複雑怪奇な診療報酬を患者さんに提示する「正しくない」制度であると、私は考えると記した。複雑な診療報酬を、2年毎の改訂によって、さらに複雑にしている。それを簡明でわかりやすいものにすることをまず行なうべきであることも記した。

この制度の問題点は、上記の点だけではない。

一枚の明細書の発行に対して、診療報酬上「1点」即ち「10円」の手当てがつく。しかし、手間や、プリントするコスト、プリンターのメインテナンスコストを到底カバーする金額ではない。大体において、役所でどれほど簡単な証明書であっても、200円や300円を徴収されるのではなかろうか。実質、無料でこうした新たな作業が強制されることにゲンナリする。

また、レセプト、診療報酬明細書は、一種の請求書であり、内容は確定したものではない。保険者に、医療機関から請求する書類にしか過ぎない。それを確定した内容であるかのように発行することは大きな問題だ。

一般診療所外来ではあまり起きない問題だが、この明細書の内容で、診断名が患者さんに知れることもありうる。認知症や、統合失調症、その他の難治の病気を、患者さんに告知する前に、診療明細書で患者さんが知り、それによって大きなショックを受けることも十分ありえる。患者さんが、「知らない」権利を侵されたときに、誰が責任を取るのだろうか。

で、我が診療所での発行の結果・・・今のところ、7,8割の患者さん・その親御さんは、明細書を不要であるとして帰られると聞いた。明細書を必要とする、または受け取られる方に、一定の傾向があるように思える。その一つの群は、新しく私の診療所にかかられた方である。また、もともと診療内容に対して疑念を持つかのような言動をされる方も、明細書を求められることが多い。

明細書を持ち帰られる方には、気心がお互いに知れたら、その明細書で一体何が分かったか、尋ねてみたいものだと思っている。

診療内容を、様々な意味で透明化すべきであることは言を待たない。これからも、そのように大いに努力する積りだ。しかし、現行の診療報酬体系は、つぎはぎだらけ、例外だらけの制度になってしまっている。あの明細書で理解できることは殆どないだろう。

むしろ、この明細書を受け取るかどうかで、医師患者関係の距離が自ずから明らかになったようで、それはそれで一つの収穫だったかもしれない。その距離を自覚しながら、診療することは余り楽しいことではない。こうした制度を作る、一部の患者代表の方や、官僚は、恐らく意識せずに、医師患者関係の距離を開けるように物事を決めているように思えてならない。

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