FC2ブログ

テレビの「ドラマ」や「カンファレンスもどき番組」は、現実とは異なる 

NHKだったか、現役の医師が出演して、ある患者さんの臨床所見や、検査所見から、診断名を当てるという番組が放映されている。臨床医学の授業か、クリニカルカンファレンスかと見まごうばかりの内容のように思えるが、結論がすぐ出てくることや、ある程度の演出が施されていて、何か薄っぺらい印象だ。

昔流行った、『ER』という米国製のドラマは、なかなか迫真の筋書きと演技で少し関心を持ってみていたが、やはり臨床の本当の現場とは違うと感じた。

両者と、臨床現場とはどこが違うのか、等という問題設定自体が馬鹿げているかもしれないが・・・『問題がすぐに解決する』ところが、実際の臨床現場との違いなのではないだろうか。臨床現場では、問題の解決に時間がかかることが多く、時には、診断がつかないことも度々あるのだ。前記のNHKの番組は、症例を検討するカンファレンスの形式を取っているので、症例提示者が最後に正解を述べるということで良いのかもしれないが、それにしても、あのように問題が明快に解決しないことが実際の現場では多い。『ER』でも、良い結果であれ、悪い結末であれ、結論がすぐに出るところに違和感がつきまとった。

このようなお手軽な医療番組は、一般視聴者に、医療では、問題がすぐに解決して、診断がすぐにつくことが当然のことという予断を与えるのではないだろうか。夜間緊急入院させた患者の容態が悪く、十分な検査もできない状態で、一睡も出来ずに夜を明かす医師の憔悴と疲労とを全く捨象してしまっているのではないだろうか。また、たとえ時間をかけて経過を追い、検査を重ねても、明確な診断に到達できぬことは度々ある。

そうしたことにならぬように、医師は普段から病態について学び、多くの症例の検討を重ねるのだが、決して、問題をすぐに解決できることにはならない。病態は、個々人によって異なり、また我々がまだ科学的に理解できていないことも多くあるからだ。いわば、科学としての医学の不完全さが何時までも存在し続けるのだ。これを患者さん・そのご家族がしっかり受け止めていただけないと、医療をする人間には大きなストレスになる。

テレビで格好良く問題を解決する医師は、あくまで仮想の世界の存在なのだ。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/1821-fa59c997