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足元から崩壊が始まっている 

高齢者が住民登録・戸籍上生きているのに、実際は行方不明、中には既に亡くなられている方もいると報道されている。何ともやるせなく、暗い気持ちにさせられる問題だ。

行政の杜撰さがまず目に付く。行政は、金の動きがからむことには、医療機関に対して、恐らく他の民間の組織に対しても、極めて厳格だ。だが、年金受給がからむ、この問題には、行政は積極的に動いた気配がない。おかしいと感じながらも、行政は放置していたのだろう。物事の深刻さを判断し、柔軟に対応することができない、行政の硬直性を感じる。

でも、行政批判をして済む問題ではない。日本の社会構造が、崩れ始めていることを表しているような気がする。先日、長野に行って、幸せそうなご夫婦にお目にかかった帰り道、雄大な北アルプスの山並みを見ながら走っているときに、NHKのニュース解説がこの問題を取り上げていた。解説者によると、この問題は、高齢者の貧困と大きく関わっているということだった。貧困によって、家族の絆が崩れ去っていることは十分に想像がつく。

また、現在結婚可能年齢の男女(特に男だったか)の未婚率が、2割弱なのだそうだ。それが、20年後には、男女共に3割前後に到達するらしい。この現象の背景にも、貧困の問題があるらしい。現在少子化が問題になっているが、この結婚しない(できない)人々が貧困状態のまま高齢化した場合に新たな社会保障の枠組みが必要になるということだった。

また、松谷明彦・藤正巌著「人口減少社会の設計」によれば、労働人口は、2001年から2030になると、ほぼ20%減少すると予測されている。この未婚率の高さは、少子化と共に、その後の世代に重い負担を負わせることになるだろう。(個人の選択で、結婚しないことを選択することの是非ではなく、社会全体としてみた場合の議論だ。)

1980年代から、こうした事態は、予測できた(そして、実際予測されていた)はずだが、政治の行ってきたことは、地方での公共事業の積み増しばかりだった。消費税も、高齢化社会に備えるとして導入されたが、十分な準備が行われた様子はみられない。行政は、硬直化し、自らの組織の温存だけを考えているように思える。

「人口減少社会の設計」という著作は、元行政官が記した書物だが、この人口減少社会でも、ソフトランディングすることは可能だという結論が記されている。が、例えば、医療に関しては、混合診療を導入することによって、神の見えざる手により、医療費の伸びは抑えられ、持続可能な医療制度が実現するといった、極めて楽観的な見通しが述べられている。

残念ながら、今、希望を語ることはできない。経済規模は、確実に縮小し、当面は現状の生活水準を保っていても、貧困化は徐々に進んで行くことだろう。人口は既に減少に転じており、今後高齢化が進展し、労働人口は減少の一途を辿る。その後に、何が来るのか、どうしたら希望を持てるのか、我々一人一人が事実を冷静に見つめ、考えてゆく必要がある。

この行方不明高齢者の問題は、例外的な問題ではなく、我々の足元が崩壊し始めている予兆だ。


以下、引用~~~

不明「100歳以上」242人…読売全国調査
8月15日3時5分配信 読売新聞


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読売新聞
 全国で「100歳以上」の高齢者が相次いで所在不明になっている問題で、不明者の数は14日現在、20都道府県(52市区町)で計242人に上っていることが、読売新聞の全国調査で判明した。

 世帯構成が確認できた中で、住民登録上、家族と「同居」している世帯が過半数を占めた。所在確認の調査を継続している自治体もあり、不明者数はさらに増えるとみられる。

 全国調査では、住民登録上の「現住所」に住んでいないか、家自体がなくなっていた「100歳以上」の高齢者で、親族でも所在を知らなかったり、親族とも連絡が取れなかったりしたケースを集計。自治体が「居住実態がない」として職権で住民登録を抹消した場合も含めたが、死亡が確認された人は除外した。都道府県別では、兵庫県の108人が最多。市区町村別では、神戸市の102人、大阪市45人、京都市18人と続いた。東北・北陸を含む27県での所在不明は判明していない。

 神戸市で「125歳」の女性の不明が確認されたほか、大阪市の「119歳」男性や、いずれも大阪府東大阪市の「119歳」の女性と「115歳」の男性が相次いで所在不明となっていた。

 厚生労働省によると、生存が確認されている国内最高齢者は佐賀県在住の113歳の女性だが、今回の調査では、この女性と同じ年齢かそれ以上の高齢者の不明が、少なくとも20人以上、確認された。

 住民登録上の世帯構成と不明になったとみられる時期の居住実態についても、各自治体に調査した。判明した78人のうち、42人が妻や子供らとの同居で、36人が独居と、同居が過半数を占めた。

 こうした同居家族の多くは、自治体の調査に対し、「(本人が)家を出て行ったまま、居場所は知らない」などと話していた。残る164人については、自治体が明らかにしないか未調査のケース。

 調査結果を公表していない自治体を含め、多くの自治体が、「さらに詳しい調査を進める」としている。

 ◆外国人35人◆

 今回の調査では、242人の不明高齢者のほかに、外国人登録上、「100歳」以上の外国人男女も6都府県で35人が所在不明になっていることが判明した。都道府県別では、大阪府の22人が最多で、東京都と兵庫県が4人ずつ。

 東京都清瀬市の「104歳」の男性のケースでは、同市が4年前、男性が100歳を迎えたため、長寿祝いのために自宅を訪問して所在不明が判明していたが、登録はそのままになっていた。 最終更新:8月15日3時5分

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