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警察の罪、厚生労働省の罪 

帝京大病院の院内感染問題が公表されて、すぐに警察が捜査に動き出した。

担当したのは、警視庁捜査一課であるという。

警視庁のサイトで、刑事警察の仕事の説明が次のようになされている。

刑事警察の仕事
 人々の生活形態の多様化といった社会の変容に伴い、巧妙化、複雑化、高度化の度合いを深める犯罪。その最前線で、日夜「悪」と対峙しているのが、「刑事」です。

 事件発生とともに現場に急行し、鑑識係員とともに綿密な現場検証を行い、証拠資料を収集し、同時に被害者や目撃者等の話を聞き取り、有形・無形の証拠を一つ一つ積み重ね、地道な努力により、犯人を割り出し検挙します。

 犯人の取調べを徹底し、供述に基づく裏付捜査を行って事件の真相を明らかにし、これを法のレールに乗せ、犯した罪を償わせて被害者の無念の思いに応えることが刑事の仕事です。



刑事警察が捜査に入ることは、医療のなかに「悪」が存在し、「犯人」がいることを想定している。そして、彼らは、犯人を検挙し、罪を償わせることを目的としている。そこには、医学的な検討や、再発防止の方策を見出す作業はない。

警視庁捜査一課について下記のように説明されている。

刑事警察の種類
 警視庁刑事部では、罪種によって担当するセクションが決められ、それぞれの専門性を活かした捜査活動が展開されています。
捜査第一課

 殺人、強盗、傷害、放火といった「強行犯捜査」のほか、誘拐、ハイジャック、爆破事件等の「特殊犯捜査」


殺人強盗のような重大犯罪、また特殊捜査が必要になる重大犯罪が対象のようだ。

院内感染問題のような医療上の困難な問題が生じた時に、捜査一課が、重大犯罪として捜査に「乗り出す」という可能性がある、としたら、院内感染が問題となる重症患者の医療を、医療現場では忌避する傾向が生じる。困難に立ち向かい、少しでも予期せぬ結果が出たら、捜査一課によって重大犯罪の可能性があるとして捜査されることが分かったら、そのような医療には、医療人は手を出さないことになる。

今回の問題で、警察がこのような行動に出たこと自体が問題だが、何としても解せないのは、問題が公になるや否や、捜査を開始したことだ。警察が捜査の対象にすることで、上記のように重大な影響を医療に及ぼすことを理解していないのか、理解した上で、何らかの意図の下に捜査に取り掛かったのか。

郷原信郎氏が、検察のあり方に警鐘を鳴らしたことと同じことが、警察のこうした行動にも言えるのではないだろうか。社会の辺縁にある犯罪事象を社会から消し去る時には、社会は検察の正義に信頼を置いてきた。が、社会の中枢の問題に、検察が安易に手をつけることによって、社会に負の甚大な影響を及ぼすことになった、ということだ。警察は、社会システムの微妙な問題に手を出すことによって、その問題の関連するシステム全体に大きな悪影響を及ぼすことになる。そうした検察や、警察は強い批判にさらされることになる。

もし、この警察の行動が、厚生労働省の医系技官の意図の下に仕組まれたとしたら、医系技官の罪は重い。これは、想像の域を出ていないが、帝京大学から権益を得ることを医系技官が意図していた可能性があると言われている。医療事故調に反対した帝京大学病院の新院長を失脚させ頓挫している医療事故調を医系技官の意図通りに立ち上げ、そこに天下り先等医系技官自身の権益を得る、という可能性もnyamajuさんが、コメントし教えてくださった。こうした可能性が否定できるのか、「捜査」をすべきは、むしろ厚生労働省の方だ。

院内感染防止のための実質的な診療報酬上の手当てを、今春まで行なってこなかった。また、院内感染のサーベーランスを十分機能させず、院内感染が生じたときの医療機関へのバックアップ体制を取ってこなかったこと等も、医系技官の怠慢だろう。こうした不作為の罪を、誰かが暴き、裁いてくれないのだろうか。それをしてもらえないと、医療はますます悪い方向に向かってしまう。

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