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高齢者終末期医療 

長野に住む遠縁に当たる方、既に90歳近くなのだが、が骨折で入院し、入院中に脳梗塞と心筋梗塞を併発した。先日、ご家族に当たる従兄弟の方から電話があり、彼女の病状について伺った。意識レベルは、家族が行くとようやく分かる程度で、普段は、意識障害が強い様子。胃瘻を造設するようになる、とのこと。胃瘻とは、腹部の皮膚から直接胃に穴を開け、そこから栄養補給する方法だ。従兄弟と、そのご家族は、その方のことを大切になさり、これまで一緒に仲良く生きてこられたことを良く知っている。その従兄弟が、彼女の胃瘻造設について、少し言葉を濁しながらも、「そこまでしなくてもと思うのだけれどね・・・」と言っていた。

何故胃瘻を作らなければいけないのかと私が問うと、「そうしなければ入院を続けられない」との返答が返ってきた。驚いた。高齢者医療に疎かったので迂闊なことだったが、現実問題として、胃瘻を作らないとすると、特別養護老人ホームに入所するか、在宅で介護するしかないことを知った。

この方の場合、従兄弟夫婦も80歳代で各々健康問題を抱えており、在宅介護は不可能だ。特別養護老人ホームも、まず空きはないだろう。胃瘻を作らざるを得ない状況だ。

胃瘻の造設については、高齢患者の延命効果がないというデータもあるらしいが、医療現場では、社会的な要請から胃瘻を作らざるを得ない状況もあるらしい。胃瘻を設置しないで亡くなられた場合に、ご家族から訴訟を起こされる可能性もある、ということだ。医療現場はそのリスクを冒してまで、胃瘻造設を避けることは出来ないのだろう。また、療養系の病床では、看護人員が少なく、胃瘻ではなく胃管での管理は無理なのだろう。

高齢者医療のマンパワーの不足が、患者への医療自体を悪くさせることは望ましくない。それと同時に、高齢者になった時に、各自がどのような医療を望むのかを考えておく必要がある。高齢者の終末期医療を、一つのやり方でくくることは当然できないだろうが、胃瘻を造設したりしない、死を苦しむことなく受容できるような、本当に患者のことを考えた医療にする努力が必要だろう。これは、医療の側の問題ではなく、医療を受ける側個々人に投げかけられている問題だ。

国立長寿医療研究センターの理事長である、大島伸一氏は、最近の民主党「高齢者医療制度改革ワーキングチーム」会合で、高齢者医療に関して以下のように述べている。

「胃瘻の新規導入は年間約20万人、現在実施しているのは約40万人に上るとされている。こんな国は 世界にどこにもない。今は、制度内であれば何でも許され、本人あるいは家族が望めば胃瘻ができる。しかし、日本の医療は今後どのような方向に進むか、財源論だけでは済まず 、生き方の価値感、死生観まで含めて議論していくことが必要ではないか」

胃瘻造設を受けられたこの方は、私の学生時代、夏に信州を訪れた際に、時々お目にかかり、お世話になった方だ。従弟夫婦の家に同居し、家業である農業を手伝いながら、キリスト教信仰に依り頼んで静かな独身の人生を送ってこられた方だ。高ボッチ高原の景色と共に、この方の控えめで暖かな人柄を、夏の信州を思い出すたびに思い起こす。近いうちにお見舞いに行きたいと思っている。

コメント

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うちの場合

わたしの両親の場合は延命らしい延命治療はなしでいかせていただきました。チューブはつきませんでした。
弁護士が明瞭な意思を表明していたら医師も安心かもしれません。

そうですね、法曹界、それ以前に国民のコンセンサスとして、高齢者終末期医療のあり方を考え、方向性を持たせないといけませんね。

もう自分の問題でもあります。家内と、胃婁だけは止めようと相談しています。

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