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院内感染をめぐる講演会 

今夜は、医師会主催の講演会に出かけた。山形大学の森兼啓太氏が「院内感染」について話された。例の、多剤耐性アシネトバクター(MRAB)の問題が主要なテーマ。MRABの院内感染問題について、今年発覚した帝京大学の事例と、昨年から今年にかけての福岡大学での事例を比較して、分かりやすく話された。

帝京大学では、今年4月まで院内感染を制御する部門に専任のスタッフがいなかった、それで培養検査の結果を院内で共有する体制が整っていなかったことが問題だった、ということらしい。一方、福岡大学では最初のMRAB症例の集積から40日程度で問題を把握し、対応を積極的にとったらしい。感染の多発したERの閉鎖、スタッフ教育、標準的感染予防対策、キャリアー・患者への対応等々。ERで用いるバイトブロックが主要な感染源になっていたらしい。最終的には、院内全体の消毒まで行なった様子。感染制御部門が独立した部門となること、感染の情報が院内で共有されることが重要とのことだった。

それにしても、ガウン・手袋を処置毎に交換し、様々な器具はできるだけディスポにし、できなければ中央で滅菌し、一人の患者には同じ器具を用いる・・・大変な手間である。勿論、医療の安全を確保するためには、その手間をかけ、それに十分なスタッフを配置することは必要なのだが、そのための医療費はどうなっているのかについても、是非お聞きしたかった。今年4月まで、実質上診療報酬上、院内感染対策に対して手当てが行なわれてこなかった、その手当ては到底必要な額とは言えないことも、是非言及して頂きたかった。

院内感染の報道に関わる話しが興味深かった。「何々菌の院内感染何例」というタイトルのすぐ後に、「何例死亡」としばしば続けて報道される。その報道に接する一般人は、院内感染によって、死亡したと受け取る。例のがんワクチン報道の有害事象の問題と同じ。だが、その死亡は、院内感染が関わっていないことの方が圧倒的に多いということらしい。そのような報道の仕方についてマスコミに変えるように森兼氏は何度も言っているのだが、変えようとしないということのようだ。医療関係者がマスコミに強い不信感を抱くのは、マスコミのこうしたセンセーショナリズムによる。

会場は、パラメディカルスタッフと思われる方々で満杯。でも、小規模の診療所で仕事をする私のようなものには、あまり関係のない話だったなと思いながら帰路についた。耐性菌の問題については、抗生剤をむやみに投与しないこと、使うとすれば、できるだけ感受性スペクトラムの狭い抗生剤を必要十分な期間用いるだけにすること。それに、「出来る範囲で」感染予防策をとること程度だろうか。

会場の建物を出て車に向かって歩いていると、その建物のある部屋に煌々と明かりが灯り、四名の方が弦楽四重奏と思われるアンサンブルをしているのを見つけた。音までは聞こえてこなかったが、しばし足を止めて、四名の若い方々が熱心に弾く姿を眺めていた。あと数年したら、私はこうした講演会ではなく、あのようなアンサンブルに入り、音楽のことだけに集中して過ごすことができる・・・はずだ、そうなりたいものだと思った。どうなることだろう・・・。

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