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Faure Piano Trio 

フォーレ最晩年78歳のときの作品。余分なものを省いた簡素な枠組みのなかに、決め細やかでエレガントな優雅さを聴くことができる。晦渋さ、気難しさも隠そうとはしない。この晦渋さは、彼の晩年の作品、例えば、1番のチェロソナタ等でしばしば聴くことができる。フォーレは、晩年、高音域は低く、低音域は高めに聞こえる聴覚障害を生じていたといわれている。この作品を作曲したころには、聴覚障害も高度なものに進んでいたのだろう。「だから」すばらしいというわけではないが、そうした健康状態で、このように静謐な美しさをたたえた作品を生むことが出来たというのは、奇跡のように思える。フォーレは、晩年、次男に「自分の作品は時間が経てば忘れ去られる」と語っていたらしいが、フォーレの音楽、特に室内楽への評価は高まりこそすれ、落ちることは決してない。

私は、学生時代から、この作品、それにこの次に作曲された弦楽四重奏曲をしばしば聴いてきた。静かな夜、フォーレのこころに染み入るような旋律に耳を傾けていた。この曲の2楽章を聴くと、懐かしさに耐えられなくなるような気持ちになる。自分の人生を一旦脇において、いや人生を省みながら、若い時代に親しんだこうした音楽に耳を傾ける・・・若い頃からの友人と再び出会ったような気持ちになる。


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