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審議会・委員会の制度エラー 

経済産業省・原子力安全・保安院の下に、「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ」という長い名称の審議会がある。そこで、地震・津波について、電力会社担当者・行政担当者が専門家を交えて議論を行っている。平成19年10月12日が初回、平成22年11月16日が第56回。議事録等のサイトはこちら

当然のことながら、経済産業省の建物内で定期的に行われている。原発推進の行政の要である、同省に所属し、かつ同省の建物内で行われる審議会で、原発の安全・保安を議論することに限界があるのではないか、とまず思える。

さらに、委員の半数以上出席が、審議会成立要件らしいが、毎回、半数をようやく上回る程度の人数が集まっているに過ぎない。この参加者数からして、問題の大きさに比し、行政・委員に熱意に乏しいのではないかと思わざるを得ない。

審議内容の詳細は、素人でもあり、また分かりやすい記載ではないので、理解し難いが、大体において、電力会社担当者か、行政担当者が説明を行い、それに対し、委員が質問ないし訂正をするというやり方で進行される。前二者の説明に費やす時間が圧倒的に長いことが分かる。また、地震・地盤についての報告が多く、津波については殆ど議論されていない(後でも触れる)。

このワーキンググループは、中越地震に伴う柏崎刈羽原発の問題が発端になって立ち上げられたものらしく、ざっと議題に目を通したところ、同原発、さらに以前から東海地震によって被災する可能性が取りざたされている浜岡原発についての議論が主だ。福島原発については、私の気の付いた限りでは、平成21年6月24日と、同7月13日に議論されているだけだ。その議論の中で、岡村行信委員が、津波のリスク評価について突っ込んでいる。彼は、津波について議論が足りないことを指摘し、歴史的な「貞観の津波」が、福島原発の地域を襲っていることを指摘した。それに対し、東電の担当者は、その津波では「被害が生じていない」と述べている。結局、その次の審議会で、さらに検討することにされたようだが、東電が津波自体を「想定外」にしていたことが良く分かる。

で、現状に対する過去の犯人探しをしようという積りはない。行政と業者、それに一部の学者が一体となって、原発を推し進め、根本的なリスク評価を怠っていた可能性がないのか、それの背景に、システムのエラーがあるのではないかという疑念を抱く。行政の設置する委員会・審議会は、行政、それに行政と深く連携した業界の意向を追認する、形式的な組織に成り下がっているのではないか、ということだ。

福島原発の事故を、こうした側面から検証し、現に稼動している原発の安全を確保する方策を根本的に検討してもらいたいものだ。


以下、MRICより引用~~~

原子力安全委員会の存在意義はどこに?―御用学者は必要ない―
木村 盛世
2011年4月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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原子力安全委員会は1978年に原子力の安全体制を充実させるためできた、専門家集団です。現在の、原子力行政は、経済産業省原子力安全・保安院、文部科学省と共に、原子力安全委員会が関わっています。経産省、文科省には、原子力に関わる審議会があり、所謂「専門家」と呼ばれる人たちで構成されています。

既に、専門家の集まりがあるにも関わらず、なぜ、もう一つの専門家集団が必要かと言えば、行政から独立した中立的な立場で原子力行政をチェックする、という意味合いを持っています。原子力安全委員会だけでなく、食品の安全について政府に意見を言うための「食品安全委員会」というものもあります。果たして、このような委員会は必要なのでしょうか。

本来の目的である「行政と一線を画し中立的な立場での専門家」というのは必要な事です。しかし、現実はといえば以下のような状態です。

原子力安全委員会。定例会議は週1回。委員は常勤の特別職公務員。委員への報酬は年間約1650万円(月給93万6000円とボーナス)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E5%AE%89%E5%85%A8%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A
しかも、その議事録を見れば、「本当に必要なのか」と頸をかしげたくなる状況です。
http://www.nsc.go.jp/anzen/shidai/index.htm

原子力や食品などの安全を確保すべく立ちあがった委員会が、なぜ、このような「開店休業」状態にあるのでしょうか。それは、委員会が中立ではなく、官僚たちの意向を代弁するために作られた組織だからです。

こうした委員会にはたくさんの人たちが働いています。事務局のポストは官公庁からの出向です。そうした中で、官僚たちの意向に反して異を唱える事が出来るかと言われれば、難しいところがあります。なぜならば、官僚たちは委員会のメンバーを牛耳るすべを持っているからです。

委員会のメンバーは、大学の教官が主です。官僚たちは、こうした研究者たちに、研究するための費用(科研費)を、誰に分配するかという裁量権を持っています。つまり「お金を誰に、どれだけ与えるか」という事を決められるのです。この、科研費配分を決めるプロセスは誰にも明かされていません。つまり、官僚たちが秘密裏に行うのです。

「ホームページ等に、なぜこの人が選ばれたのか理由が書いてある」という意見もあるでしょう。しかし、理由づけなど後で何とでも出来る事です。官僚の得意技は「文書を作成すること」にありますから、何となく、もっともらしい文章にみな惑わされてしまうのです。そして、結果的には、官僚の意に染まぬ研究者は排除されてゆくのです。

具体的な例を挙げれば、ある委員会のメンバーが、事務局(官僚)が用意した筋書きに反対意見を唱えるとします。委員の任期は、大抵2、3年程度です。官僚にとって特に問題がない人材であれば、次も「継続」して委員任命されますが、問題児は次回からは入れない、と言う事になります。このような排除プロセスを繰り返す事によって、一部の高級官僚の言葉を「専門家」として代弁してくれる「御用学者」が生まれ、委員会は御用学者の塊になるわけです。

審議会の委員も、同じようなやり方で選ばれます。こうなってくると、審議会と委員会と言う2つの専門家集団は、どちらも官僚の言葉を伝えるイエスマンの塊と言う事が出来ます。

例えを少し日常的なことにしてみましょう。今回の震災でも多くの情報が流れました。例えば放射性ヨードについても「イソジンをのめば大丈夫」という意見がありました。イソジンにヨードが含まれています。ヨードは甲状腺に取り込まれやすいので、あらかじめ放射能を発しないヨードをたくさん摂っておけば、有害な放射性ヨードが入る余地がない、という考えです。これは「ヨードブロック」と呼ばれ、実際、医療現場で使われる事です。私自身は特別な状況下以外は、イソジンを服用する必要はないと思っています(ブログ主注;イソジンには、アルコール等の添加物があり、内服は元々不適だったと思われる)。ところが、「イソジンが効果がある」という噂が伝わると、その真偽は別にして「効果があるかも」と信じてしまいがちです。すなわち、言っている人が1人だけでなく、複数になると、人は納得してしまうものです。

専門家集団にしても同じような事が言えます。つまり、審議会と委員会、という2つのグループが同じ事を言っているとしたら、「その意見は正しい」と思うようになります。それが如何に、科学的に間違っていたとしてもです。何しろ、「専門家」と呼ばれる人たちが集まっているのですから、普通は信じてしまうのではないでしょうか。これが、官僚の手のうちです。

そんな事を、専門家たる人たちがすべきではない、という声が聞こえてきそうです。全くその通りだと思います。このような、御用学者だけが重宝されると「正しい事を言っているが、官僚の意見と合わないもの」や、「国益を考えて、反対意見を述べるもの」が排除されてゆくのです。

「これを読まれた方は、「本当にそんなことあるのか」と訝しがるかもしれません。しかし、実際、私は厚労省で新しい審議会を立ち上げた事もあります。委員を選ぶ際には、事前に「根回し」という事をし事務局が、委員から発言して欲しい事に関して打ち合わせをします。つまり、審議会自体が官僚の意見を通すためのセレモニーなのです。

また、科研費についても、分配担当の同僚のやり取りをよく見ていました。科研費は、表向きは公募になっていますが、実際は、既に厚労省の担当者が人を選んでおくのです。そして、その人に「公募」という名目で科研費申請をさせるのです。選ばれる人のほとんどが厚労省が内諾済みの、「政策に反対しない」研究結果を出してくれる人たちなのです。

こうした仕組みは、早急に変える必要があります。原発問題は、人の命に関わるものです。官僚を抑える事が出来るのは政治家です。そして、その政治家を選ぶのは、国民です。私たち一人一人が、この事実を認識し、問題意識をもって政治家を選ぶ、という事が必要な事なのです。

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