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福島の苦難 

福島第二原発で健康管理の仕事に従事されている医師の報告。現地で原子炉を最悪の状況にならぬように仕事をなさっている方々、またその現地スタッフのために仕事をされている医師のことを知ると、胸が熱くなる。下記MRICの記事は、淡々とした報告だが、現地の過酷な状況を伝えてくれる。

東電の上層部には、今回の問題について大きな責任があるが、現地の東電・関連会社の方々は全く別だ。現地スタッフの仕事がなければ、大きなカタストロフに陥る、今もそうした状況になる可能性は大きい

一方、福島県人に対する偏見も、時々見聞きする。ある方のブログで、福島県民は、原発のために巨額の金を手に入れていたのだから、福島に住めなくなっても同情はしない、という書き込みがあった。原発誘致のために、関連する市町村に巨額の交付金が与えられてきたことは事実だろう。原発が誘致されると、その地域に他の企業が来たがらず、現地の方々の就業の機会を奪われるから、その交付金はそれを補償するためだったと聞く。さらに、誘致前後には年間100億円超の交付金が与えられるが、誘致後年数が経つと漸減されていく。実質は、地方自治体に交付され、主に箱物を作るために使われた、原発誘致のための掴み金だったのだろう。青森県六ヶ所村のように、他の自治体に比べて、住民の所得が高いという例もあるようだが、福島県では原発の有無で各地域を比較しても、住民の所得に明らかな差はない。

その金は、住民に直接配られたわけではない。就業の機会が補償されるとしても、大多数が原発関連の事業の仕事だ。今も、現地スタッフとして仕事をされている方々の多くは、地元出身の方々ではないのか。彼等は自ら率先して原発での仕事を志望し、仕事が死に至る可能性のあるものになっても仕事をし続けることを、当初から予測していたのだろうか。

とてもそうは思えない。が、これまでの経緯、そして、自分の町を守るためにと、彼等は危険な現場で踏みとどまってくれているのではないだろうか。大体において、これまで多少経済的な利益を得ていたからといって、故郷と生活基盤を奪われることが正当化される理屈にはならない。

福島原発で発電される電力は、福島県に供給されるものではなく、東京電力管内だけに供給されたことも忘れてはなるまい。

福島県民の大多数は、福島原発から直接の利益を得たりはしていなかったのではないか。あの狭い避難地域外にも、多大な損害を受け、生活基盤を破壊されている地域がある。そうした地域で生活している方々にも、福島県民だから、福島原発の被害を蒙っても同情の余地なしという言葉を投げかけるのか。

福島県民は、第一の被害者であり、我々が本来受けるべき苦難に代って立ち向かっている方々であることを忘れるべきでない。彼等と共同し、彼等の苦難にこころを何時も向けるようにしたいものだ。


以下、引用~~~

福島原発からの報告

愛媛大学大学院医学系研究科公衆衛生・健康医学分野
谷川 武

2011年4月18日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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4月16日午後から19日午前の予定で非常勤産業医として福島第二原子力発電所(以下F2)に寝泊まりして健康管理を支援しています。これまでの状況を要約します。

福島第一原子力発電所(以下F1)のみならず、F2ももう少しでF1と同様の事態になるところでした。F2も震災当初から不眠不休で皆がんばっています。確かに東京電力は今回の原発事故の当事者であり、広範囲の放射能汚染の加害者ですが、F1,F2で働く所員の多くも自宅、家族を失ったり、自宅が避難指示区域にあったりする被災者です10日以上、震災から一度も戻れず、家族の安否も電話がつながらずに確認できないまま、電気が供給されない原発で命を張って事態収拾に努めた方々です。その中には九死に一生を得た方々もいます。しかし、避難所では露骨な批判を浴び、風呂も入れない状態で通常勤務以上のストレスの高い激務をこなしています。これまでは、急性期でしたがこれからは慢性のストレス状態が続きます。

17日に長期ビジョンが東電本社から示されましたが、フェーズが変わったことから震災当初から激務をこなした所員に長期休暇をとらすことや、復旧を進めるF1の所長以外に長期ビジョン担当の所長(前所長が適任か)を現地に常駐させることが適切と思います。

また、F2の状況も次もし津波が襲えばF1と同様の状態になることは避けられず、所員が一丸となって対策を進めています。そのため、F2からF1に応援を出す余裕はありません。F1はすでにレベル7です。一企業が事態収拾する事態ではありません。東電本店をはじめ、ALL JAPANでF1を応援することが求められます

産業保健に関してもこの一ヶ月の対応は現場では必死でやっていますが、これからは計画的な健康管理体制が求められます。現地の医療スタッフは産業医科大学から2人の医師の常駐を希望しています。本日産業医科大学の森学長補佐に連絡したところ、東電本社の要請があれば検討すると回答を得ましたのでF2増田所長から本店に現地からの声を届けてもらうことを依頼しました。今後、従来からの東電の産業保健体制ではなく外部からきちんとF1,F2の所員の健康管理(通常の労働安全衛生法に基づくもの以外にストレス対策、放射線被曝対策も含めたもの)を実施することが求められます。これは、原発周辺地域住民も含めた国の枠組みが必要です。

谷口プロジェクト(原発作業員の自己末梢血幹細胞採取)について両所長とも感謝しており、本日午後F2の副所長が担当として詳細な説明を求めて来室します。虎の門病院谷口医師の現地での説明も実施する予定です。

F2の体育館がF1所員の宿泊所になっています。夜間巡視すると重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者による強烈ないびきにより、睡眠を妨げられている状況でした。昨日、フィリップス社に支援を要請し、CPAPの提供を受け、これまでCPAPを使用していた2名に装着し、さらにSASが強く疑われる大きないびきを発している方々に置き手紙を置きました。今晩からそれらの方にCPAPを装着する予定です。


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