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毎日新聞 医療クライシス 第3報 

毎日新聞の連載、第三弾。やはり、少しずつ内容がおかしくなってきている。

ますは、記事を転載・・・以下、引用

医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/3 訴訟倍増、薄れる信頼

 ◇「患者の話も聞く余裕なく」

 東京都内の大学病院に勤める男性医師(31)は、3年たっても立てない女児の姿を見てがくぜんとした。アルバイト先の病院で01年、当直中に出産に立ち会った女児を巡る医療訴訟の法廷。書面で読んではいたが、傍聴席で母親に抱かれた女児は驚くほど小さい。

 主治医から引き継いだ時にはへその緒が胎児の体に巻きついている以外は異状なかった。しかし、分べん室に移るころ、急に胎児の心音が落ちた。

 破水すると、羊水がにごって胎児が苦しんでいた。すぐに酸素投与などをしたが「新生児仮死」の状態。小児科医師に引き継ぎ、翌日には大学病院に転送されたが、重い障害が残った。

 両親には病院幹部が経過を説明し、カルテも開示したが訴訟となった。直接説明する機会がなかった男性医師は「自分が説明しなかったから不信感を持たれたのではないか」と悔やむ。訴訟では、専門医の鑑定で産科のミスは認められず、「期待権の侵害」として1000万円を支払うことで和解した

 100%の安全性を望む患者と、不確実さがつきまとう医療の現実のギャップ。結果が悪いとすぐ訴訟というケースもある。男性医師は「『元気で生まれてくるのは当たり前』というイメージだが、本来は命がけのものだ」と話す。

 それでも女児の姿を思うと「自分も足りなかったことを責めなくてはいけない」と感じる。「和解といっても憎しみあって終わっている」。近く家族を訪ね、結果について謝罪するつもりだ。

   ■   ■

 最高裁判所の統計によると、96年に575件だった新規の医療訴訟は、05年には倍近い999件になった。医師の病院離れを促す要因になっているとの指摘があるが、病院側が十分に説明していないケースもある。

 輿水(こしみず)健治・埼玉医科大総合医療センター助教授は以前に勤務したことがある病院で、入院中の患者から「高血圧の薬が処方されず、具合が悪くなった」と言われたケースを経験した。担当医師は「処方した」と話し、看護師らも「訴えが多い患者さんね」と取り合わない。しかし、輿水医師が確認すると、担当医が処方を忘れていた。

 輿水医師が本人や家族に数回にわたって説明し、文書で謝罪して解決した。「確認して薬を処方すれば済んだこと。米国などに比べ、日本では医師や看護師の数が少なく、多忙のためゆっくりと患者さんの話に耳を傾けることができない状態だ。お互いの会話が少ないうえ、社会的な要請や訴訟対策などで書面のやりとりが増えている。こういったことで医師と患者の信頼関係がこんなに薄れてしまったのかもしれない」とため息をつく。

   ■   ■

 厚生労働省は05年9月から、日本内科学会への補助事業として、診療に関連した死亡の調査分析事業を始めた。医療機関からの依頼で調査し、再発防止を目指す。しかし、1月23日現在、調査依頼は40例で、うち15例の評価結果報告書をまとめたにすぎない。

 患者にとっては、病院の説明で納得できない場合、訴訟以外に真相究明を期待できる場はないに等しい。医師不足で多忙な現場では、十分な説明の時間を取ることも簡単ではない。こうした実情が、医師と患者の関係を悪循環に追い込んでいる。=つづく

引用終り・・・

最初に引用された、新生児仮死の症例の問題は、詳細が分からないが、専門家の鑑定により医療側に責任はないのことだ。しかし、「期待権」の侵害により、医療機関が和解金を支払ったらしい。可笑しな結末だ。

期待権とは、将来得られるであろう権利を予め認めて、それを保護する法律上の概念らしい。一方、お産では、一定の確率で、合併症が生じえる。また、一定の確率で、障害を持った子が生まれてくる。医療には、100%がないのだ。新聞編集者はそれを言いつつ、この期待権に基づく和解が、おかしいことをなぜ指摘しないのだろうか。医師が全力を尽くしたのに、患者さんが良くならなかった時に感じる、医師の自責の念と、法的な責任とを混同してはならない。この症例を担当した医師に、法的な責任はないのだ。

こうした医療側にとって理不尽な判決・和解勧告が出るから、急性期医療・産科医療から医師が撤退を始めている。それは、患者さんが、急病になったときに、急変したときに医療にかかれなくなるということを意味する。

そうして急性期医療から撤退する医師を非難する方もいる。過日、NHKのクローズアップ現代で「産婦人科医療の崩壊」を取り上げたときにも、最後にキャスターが、そうした現場から逃げ出す医師は責任がないと言っていた。果たしてそうだろうか。全力を尽くして、正しい対応をしても結果がわるいと、民事上の責任、場合によっては、刑事責任を追及される。そのような仕事をする者はいなくなるのは当然のことだ。

こうして、医師を追い詰めてきたのは政財界・官僚の隠れた意図だ。しかし、それに国民を気づかないように仕向け、医療への国民の不信を煽ってきたのは、マスコミそのものだ。患者さんに医療不信の念を抱くように煽ってきたことはないと、マスコミは言えるのか。毎日新聞の特集をする編集者に言いたい、まず大淀病院報道を検証せよ、と。毎日新聞が、こうして医療危機を語るのは、その後にしてほしい。

コメント

自己レスになりますが、「期待権の侵害」が成立するためには、医療に過失があることが前提だそうです。(確かに、期待できるものが失われているのでなければ、侵害ということにはならないはず。)

すると、この記事は、裁判官の和解勧告が間違っているか、記者が間違っているかのいずれかでしょう。いずれにせよ、お粗末です。

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