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晩発性障害に備えよ 

被災者が、将来血液・悪性疾患等を発症したとして、それが内部被曝による晩発性障害かどうかを判断することは難しくなる。政府・行政は、被曝時点以降定期的に、住民の内部被曝量を測定すべきだったが、それを怠っている。チェルノブイリでは、小児の甲状腺がんという疫学的に明白な疾患以外、被曝と発症の関連を、IAEA等は認めていない。政府が『すぐに健康に問題を生じるレベルではない・・・』というのは、将来健康被害を生じる可能性があることを意味している。内部被曝を明らかにすると、将来の賠償が増える可能性があるから、現在、内部被曝量を測定しないと疑われても仕方がない。内部被曝を測定する機器を備えているに関わらず、政府・行政は住民のために動こうとしない。

一方で、福島県の被災住民15万人の健康状態を今後30年間観察することを決めている。その理由は、住民を「安心させる」ため、とのこと。このプロジェクトには、長崎大学の山下教授が加わっている。彼は、福島県各地で、国が定めた「基準値」内であれば放射能汚染は心配ないと繰り返し講演して周った一方、自らのサイトでは、被災者のことを『ヒバクシャ』と記載している。このような研究者が、住民を安心させるために健康診断を続ける意味は一体何なのか。内部被曝量の測定をすぐにでも始めることこそ、まずやるべきことなのではないか。このプロジェクトは、住民ではなく、政府・行政と業界を「安心させる」ために立ち上げられたのではないだろうか。


以下、MRICより引用~~~

将来、内部被曝による晩発性障害か否か判定するために毛髪等の試料保存を

共立耳鼻咽喉科 山野辺滋晴

2011年5月26日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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福島第一原発事故発生当初、3月12日から16日にかけて原子炉建屋の爆発・火災が続きました。この時に大量の放射性物質が大気中に拡散し、原発北西部40キロ近辺まで高濃度の放射能汚染地帯が拡がっています。こうした原発から半径20キロ以遠で後に計画的避難区域に指定された地域では、多くの住民が避難することなく日常生活を続けてきました。今回のように深刻な原発事故が発生した場合には、周辺住民が被曝している可能性が高いので、空間線量率から外部被曝を推測するだけではなく、様々な方法で内部被曝を実測することが、本来は日本政府の方針でした。

こうした被曝測定の方針に従って、原子力安全委員会は「ホールボディカウンタ等の維持・管理等において踏まえるべき事項について」協議し指針案を公開しています[1]。この案には、被災住民の内部被曝を測定するために用意された「移動式ホールボディカウンタ車」についての記述があり、「独立行政法人日本原子力研究開発機構では、移動式ホールボディカウンタ車を3台所有している。移動式ホールボディカウンタ車は、原子力施設に係る災害時において周辺住民が放射性物質を体内に取り込んだ可能性がある場合に、救護所、避難所等において全身の測定を可能とし、多数の人々について体内汚染の有無の迅速な判断に活用するためのものである。性能としては、Co-60 及びCs-137について、2分間測定の場合で検出下限は130Bq程度である。」と書かれています。

にもかかわらず、政府は、今回の原発事故の対応では、前述のように3台も準備されていた移動式ホールボディカウンタ車を原発周辺住民の内部被曝を測定するためには派遣していません。平成23年4月15日に開かれた衆議院・内閣委員会の議事録によれば、原発作業員の内部被曝を測定するために、福島県いわき市の東京電力(株)小名浜コールセンターに一台派遣しているのみです。なぜ派遣していないのか理由は判りませんが、政府が以前から用意してあった移動式ホールボディカウンタ車を被災住民のために福島県に派遣してこなかったため、今となっては、原発事故発生直後の内部被曝量を正確に評価することは残念ながら困難となっています。なぜなら、3月中旬に体内に入った放射性物質は実効半減期に従って減少しており、ヨウ素131を例に挙げれば、現在は当初の1000分の1以下になっているはずだからです。

核物質による内部被曝の測定は重要です。なぜなら、将来、被曝と発病の因果関係が問題となるからです。原爆被爆者では、被爆後長年が経過してからガンに罹患したにもかかわらず原爆症が発症したと認定されない人々が、内部被曝と晩発性障害の因果関係を争点に原爆症認定訴訟を提訴しています。こうした提訴は、被爆者にガンや白血病といった疾病が発病しても、被曝による晩発性障害なのか、被曝とは関係なく発病したのか簡単に判定できないことが原因でした。このように、原爆によって大量被曝した場合ですら訴訟となっていますから、今回の原発事故のように低線量被曝が長期間続いた後に、被曝と発病との因果関係を証明することは、さらに難しいと思われます。したがって、年間100mSv以下の低線量被曝で白血病やガンや先天性疾患が発病するかどうか、今回の原発事故における被曝と発病の因果関係について統計学的に正しく判定するためには、今のうちに被曝状況を正確に記録することが必要です。被曝した場所や被曝後の行動記録を残すことは当然ですが、こうした行動記録が正確な内部被曝量を反映するとは限りませんから、原発周辺住民の内部被曝量を実測?
$9$k$3$H$,5^L3$G$7$g$&!#

しかし、事故発生から既に2ヶ月以上が経過しているため、ホールボディカウンタ検査では、前述のように事故当初の内部被曝を正確に実測することは困難になってきています。次善の策として、現時点ではバイオアッセイを用いて内部被曝を実測する必要があるでしょう。財団法人原子力安全技術センターが編集した原子力防災基礎用語集にあるバイオアッセイの項目では「生体試料としては、血液、呼気、鼻汁、毛髪及び代謝機能により人体から排泄される汗、尿、糞などが試料として用いられ、これらに含まれる放射能量を測定することにより、摂取量あるいは体内の放射能を評価する。」と記載されています[2]。採尿して冷凍保存すればα線やβ線も測定できる利点はありますが、保存と検査機関への送付には困難が予想されますので、内部被曝の実測を希望する住民に対して毛髪の保存を広報すべきではないでしょうか。毛髪であれば簡便に長期間保存でき郵送も可能でしょう。

先日放映されたNHKのETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」の中では、各地に飛散して土壌に蓄積していた放射性核種についてのスペクトル解析が紹介されていました[3]。この放送の中では、観測された放射性核種における放射性ヨウ素やセシウムなどの比率は各地で同様であり、揮発性の放射性物質が中心だったと報道されています。この事実から、各地に同じ比率で放射性物質が飛散したと仮定すれば、毛髪には全ての放射性物質が残留していないとしても、毛髪の測定値から比例計算して各個人の内部被曝総量を実測できると思われます。こうした毛髪等の調査に加えて、文部科学省が調査する予定になっている土壌中の放射性ストロンチウムやプルトニウムの調査結果も参考にすれば、評価できる核種が増えて、さらに精度が上るでしょう。

残念ながら、今回の原発事故でホールボディカウンタ検査は実施されて来ませんでしたが、将来、被曝住民と政府との双方が被曝認定訴訟に無用の労力と経費を浪費しないためには、年間100mSv以下の被曝と晩発性障害との因果関係の有無を正しく解明する根拠として内部被曝の調査が必須です。つきましては、原発周辺住民に対し、尿や毛髪等をバイオアッセイ試料として使用するための保存方法を広報して頂きます様、原子力防災と被曝医療に携わる関係各位にお願い申し上げます。

参照[1] http://www.nsc.go.jp/box/bosyu100813/wbc_h22.pdf
参照[2] http://www.bousai.ne.jp/vis/bousai_kensyu/glossary/ha01.html
参照[3] http://www.nhk.or.jp/etv21c/file/2011/0515.html


コメント

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Yさん

コメントをありがとうございます。この医師は、ちょっと前にも、内部被曝・I、Cs以外の核種のデータの問題について、発言されていた方だと思いますが、正鵠を得た内容だと思いました。彼の発言を検索すると、多くの方が引用なさっておられているようです。ネットを通して、彼の言説が広まることを期待したいと思います。

確か、彼は被爆二世でいらっしゃるのではないかと思います。福島県およびその周辺で被曝された、されつつある方々には、他人事ならぬ思いを抱いておられるのでしょう。・・・長崎大学の山下教授とは大きな違いです。

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