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内部被曝の予測・実測を 

福島県内の学校等における小児への放射能被曝が問題とされ、文科省が当初年間20mSvという基準値を設けたが、住民の抗議にあい、それを1mSvに近づけるように「務める」ということになったようだ。これも単なる努力目標である。

が、これすら、3月23日までの最も被曝の多かった時期を「除いた」、それ以降の基準値だ。さらに、外部放射線による被曝だけを問題にしており、内部被曝を考慮していない。

今後は、内部被曝が大きな問題になる。下記の山野氏の記述によると、原発近傍では、驚くべき内部被曝量に達していることが予測されているらしい。彼の主張する通り、小児だけでも内部被曝の予測・実測を行うべきだ。それができる技術・機器があるのに、行わないのは、明らかな不作為だ。

この不作為は、将来の東電・政府による賠償の問題を見据えて、賠償をできるだけ小さくしたいと考えてのことなのではないだろうか。行政も、その賠償の結果次第では、大きな利権を失うことになる。

今、内部被曝のデータを得なければ、将来長期にわたる賠償請求訴訟という不毛な手続きが必要になる。また、住民の間に、本来不要な不安を増大させることにつながる。



以下、MRICより引用~~~


SPEEDIによる内部被曝予測を正しく活用し、直ちに内部被曝の実測を

共立耳鼻咽喉科 山野辺滋晴

2011年6月14日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)は、文部科学省管轄の財団法人原子力安全技術センターが運用しており、SPEEDIに関するパンフレットを公開しています[1]。このパンフレットには、次のような記述があります。

・降雨および乾燥沈着ならびに放射能の減衰を考慮し、放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の予測計算を行います。
・放射性物質の大気中濃度および地表蓄積量の計算結果から、空気吸収線量率を計算します。空気吸収線量率は、各核種からの複数のγ線による寄与を個別に計算して合計する詳細な手法により計算されます。
・空気吸収線量率の計算結果から外部被ばく実効線量を計算します。
・放射性物質の大気中濃度の計算結果から、吸収による臓器等価線量や内部被ばく実行線量等を計算します。

このパンフレットによれば、炉心溶融やコア・コンクリート反応などの重大事故が発生した場合、燃料種別、炉心溶融割合、炉心温度、コンクリート反応の有無、格納容器からの漏出割合を想定し、核種の組成比率データが格納されたデータベースから放出源情報を入力するか、希ガス、ヨウ素、セシウム、プルトニウムなど核種ごとの単位時間放出量等を入力すれば、日本各地における事故発生後の外部被曝実効線量と内部被曝実効線量をSPEEDIで予測できていることがわかります。また、出力図形一覧を参照すると、1歳児、成人といった年齢別の内部被曝量も、甲状腺や肺といった臓器別の内部被曝量も、具体的に予測できることもわかります。

実際に、原子力安全委員会は3月23日、1歳児が屋外にい続けた場合、事故発生から12日間で甲状腺の内部被曝が100ミリシーベルトを上まわるというSPEEDI試算を公開しました[2]。さらに、この3月23日の試算結果と同じ放出源情報に基づいて文部科学省が試算したWSPEEDIによる予測結果では、茨城県東部から千葉県東部まで1歳未満児の場合に、10~50ミリシーベルトの甲状腺内部被曝が予測されています[3]。

しかし、その後は、なぜか、放射性物質の放出量をヨウ素単独で1ベクレル/時の単位量放出と限定して、5000枚のSPEEDI試算結果が公開されました。この5000枚では、日々放出され続けた実際の放射性物質総量を入力していませんから、SPEEDI本来の能力は活用されていません。また、燃料の温度上昇による放出+溶融炉心・コンクリート反応による放出を想定した文部科学省の解析予測でも[4]、気象データは昨年4月から9月までの過去データによる試算しか行っておらず、なぜか、今年3月12日から現在までの気象データを利用していません実際の放出量と気象データを用いた予測が必要だと思います。。

最近になって、事故直後から3月16日までに大気中に放出された放射性物質の量は、77京ベクレルと推定量が2倍になりましたから、実際のダストサンプリング結果と今年の気象データに基づいて、SPEEDIを正しく活用し、年齢別、臓器別に、原発周辺地域において事故発生から現在までの内部被曝累積の予測結果を公表して頂くよう切に要望します。さらに、実際の放出量を入力した上で、明日および明後日のSPEEDI予測も毎日公表すべきだと思います。そうすれば、学校等での被曝防護対策に活用できるはずです。

住民への情報開示の観点からも、こうしたSPEEDIによる現実的予測を活用し、これまでに各地の住民が被爆した内部被曝総量を予測して、直ちに内部被曝の実測を開始すべきでしょう。ホールボディカウンタ検査だけではなく、バイオアッセイの試料に毛髪を利用すれば、内部被曝を時系列で推測できますし、今後の食物由来の内部被曝実測にも活用できる可能性があります。実際に、人の毛髪を使い、飲み水中のウランによる内部被曝を予測する報告もありますし[5]、毛髪だけではなく爪でも内部被曝を実測できるという報告もあります。また、独立行政法人産業技術総合研究所は、セシウムの微少濃度変化を測定するため、極微量の金属元素分析が可能な誘導結合プラズマ質量分析装置を発注していますから[6]、仮に、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて内部被曝を測定するとすれば、下記のように毛髪を保存、検査機関に郵送して、内部被爆を計測可能でしょう。

1.毛髪0.2g保存。できれば、多い方が良い。
2.採取量0.2gは、長さ3~4cmで150本程度。
3.出来るだけ毛根近くの毛髪を採取。陰毛でも測定可。
4.本人確認のDNA鑑定に備え、一部は毛根も含めて採取。
5.採取日を記載したジッパー付きビニール袋に毛髪を入れ、さらに封筒に入れ暗所保存。

残念ながら、上記の方法は私見ですので、将来、内部被曝を解析できなかった場合の責任は負えません。ぜひ、SPEEDIを正しく活用し、内部被曝が高い地域を推定して、政府および原子力防災関連機関の指導の下、原発周辺住民の被曝を低減する目安とするために、尿、毛髪、爪などを用い、内部被曝の実測を開始して頂きますようお願い致します。


[1] http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/download_data/speedi.pdf
[2] http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/0312-0324_in.pdf
[3]http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/05/10/1305799_0324.pdf
[4] http://www.nsc.go.jp/mext_speedi/index.html
[5] A compartmental model of uranium in human hair for protractedingestion of natural
uranium in drinking water.:14:Health Phys. 2009 Jun; 96(6):636-45.
[6] http://unit.aist.go.jp/fad/ci/supplyinfo/detail/45819172/


コメント

今後のリスクは内部被曝

 内部被曝もっと声を上げた方がよいと思います。地上50cmでガンマ線測ってもなんにもなりません。内部被曝こそ重要です。
 すでに明らかな土壌汚染、湖沼、河川の汚染があるわけですから、すでに東日本の多くの農産物や畜産物が小児や妊婦には危険です。測定しないことは不作為の犯罪です。

おっしゃられる通りですね。今後は、内部被曝が一番の問題になるはずです。低い放射線量の長期被曝がどのような影響をもたらすかわからぬとしても、測定するといった手を打っておくべきでしょう。

福島県では、学童にフィルムバッジを持たせて「被曝」を調査するとのことですが、これからはフィルムバッジでは捉えられぬ内部被曝が問題なのに、大分ずれています。これも、何事かをしたという見せかけのパフォーマンスでしかありません。

官僚のなかにきちんと物を言う人がいないのでしょうかね・・・。

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