FC2ブログ

原子力安全委員会はシステムエラーを起こしていた 

原子力安全委員会のワーキンググループが、原発における全交流電源喪失事象Station Black Out(SBO)について、平成5年に報告書をまとめていたことが、公表された。下記の新聞記事によると、これまでこの検討がされたこと自体が公開されていなかったらしい。

以下、読売新聞から引用~~~ 

原発の電源喪失、安全委93年に検討…公表せず

2011年7月16日(土)8時51分配信 読売新聞 

 東京電力の福島第一原子力発電所事故の原因となった全交流電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が1993年に国内の原発の実態を検討し、「原子炉が重大な事態に至る可能性は低い」とする報告書をまとめていたことが15日、明らかになった。

 同日開かれた内閣府の原子力安全委員会の安全設計審査指針等検討小委員会で、同委員会が報告した。報告書は、原子力施設事故・故障分析評価検討会の全交流電源喪失事象検討ワーキンググループがまとめた。メンバーは5人の専門委員のほか日本原子力研究所、東京電力、関西電力からの各1人。同報告書の存在を含め、当時は作業部会で検討した事実すら公表されなかった。


引用終わり~~~

この新聞記事を書いた記者は、この件の報告書(こちら)にきちんと目を通したのだろうか。その報告書では、外国のSBOないしそれの部分的な事象を、わが国のそれと比較し、わが国の原発が如何に安全であるかを強調する内容になっている。

全交流喪失事象の起きる予想される頻度は、一原発一年当たり、米国では0.1であるのに、わが国では0.01である、といった具合だ。このようにリスクが、外国と比べて一桁小さいという判断に戸惑いを感じる。結論が先にありきの議論なのではないか。

さらに、安全性を確保する設備が幾重にも設置されているとあるが、その各々の故障・機能不全に陥る確率があたかも独立の事象であるかのように扱われている。電気回路や、機械設備の内在的な故障の場合は、独立と考えても良いのかもしれないが、自然災害等外的な現象によって、施設全体に問題が同時に起きる可能性もある。諸システムが同時に機能不全に陥る可能性を検討しているようには見えない。

わが国の原発の安全施設が優秀であるから、SBOの起きる可能性は無視できるほどに小さい、という結論が最初にあって、その結論に向けて、論旨を組み立てているようにしか読めない。

確率的に如何に低くても、今回の東電福島原発で起きたようなカタストロフに陥ると、その回復のためには、多くの作業員の健康の犠牲、周辺に住む人々の被曝・故郷喪失、さらに天文学的なコストと数十年にわたる時間が必要となる。その犠牲と負担は、計り知れぬほど大きい。それを常に念頭において、原発の安全を考えてもらいたいものだ。

原子力安全委員会が、原発の安全性について、このレベルの検討しかできなかったのは、知識や技術の不足というよりも、原発推進という基本的な政策に沿った形でしか結論を出すことができなかった、システムの問題だろう。国の存亡にかかわる安全を検討する組織として失格だ。原発推進の立場を離れて、安全を厳しく問う原子力安全委員会にしなければならない。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/2203-3dcecb1f