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Unruhige Nacht 

アマゾンで医学書を注文しようとして、ふと、昔読んだ小説をサイトで検索してみた。アルブレヒト ゲースの『不安の夜』。みすず書房から出されていた小ぶりの翻訳書で、三つか四つの中短編が納められていた。とっくに絶版になっていたことも知っていた。

案の定、翻訳書は絶版。中古本に、定価の10倍位の値段がついていた。あまりな値段なので、それはパス。原書のコーナーに行くと、ソフトカバーの『Unruhige Nacht』が、ヒットした・・・でも、このタイトルの表記と言うことは、ドイツ語である。値段もとても安い・・・安かったからというわけでもないのだが、注文ボタンをつい押してしまった。さて、ウン十年ぶりのドイツ語、原書で読めるかしらん・・・。アマゾンのサイトではUnruhigeが、Ururuhigeとなっていて、苦笑してしまった。

さて、この『不安の夜』を記したアルブレヒト ゲースという作家は、第二次世界大戦中、従軍牧師として仕事をし、戦後、戦争体験を、人間を深く洞察する眼差しで小説として書き記した。『バッハ頌』というバッハを褒め称える歴史上の人物の文章を集めた本のなかで、ゲースは、マタイ受難曲について記している。マタイ受難曲が、平凡な農村で演奏される様子を瑞々しいタッチで記していた。『不安の夜』を読んでしばらくしてから、『バッハ頌』のなかに、ゲースのこの詩的な文章を偶然見出して喜んだ記憶がある。

さて、『不安の夜』の内容は・・・記憶にある限りで記すと・・・第二次世界大戦中、ドイツ軍の戦況が不利になりつつあるころ、ある従軍牧師が、ある年若い兵士の軍法会議による銃殺刑に立ち会うために、ウクライナの某所に向かおうとしている。翌日の飛行敏を待つホテルで、その銃殺刑を受ける若者の人生を、受け取った書類から読み解こうとしている。その青年は、やむにやまれぬ事情から、戦線離脱をすることを選んだのだった。ホテルが混雑していて、カップルが牧師と同じ部屋でカーテンを隔てて、夜を過ごしている。レニングラードに明日飛び、そこでの絶望的な戦いに加わる将校と、その恋人だ。明日、銃殺される青年と、死地に赴こうとする青年将校と・・・。徹夜して、銃殺刑になる青年の人生を理解し、朝、レニングラードに旅立つ将校に、軍隊で何時も交わされる挨拶の言葉、「大たい骨骨折!」という表向き不吉な言葉を投げかけ(不吉さを予め言葉にすることでそのような事態に会わぬことを祈るのだ)、無事を祈って、別れを告げた。ウクライナへ向かう飛行機に搭乗し、流れる雲を見つめる従軍牧師。彼は、そこで全ての不条理と和解する・・・といった筋書きだったような・・・。

こうして短いヘタな文章で記すと、ゲースの詩情溢れる、人間への暖かな眼差しがちっとも生きてこないのだが・・・。学生時代にこの小説を読んで、震えるほどに感動したことを覚えている。他の短編も、珠玉の作品だった。

ほとんど忘れかけたドイツ語、辞書を片手に、もう一度チャレンジするか・・・。みすず書房にも是非翻訳書を復刊してもらいたいものだ。

コメント

不安な夜

 いつも拝見して教えられています。
 今日の所を読み、すぐにアマゾンにきましたら、585円+送料む250円で翻訳ものが買えました。確か、584円や1000円もありましたよ。
 これからもいろんな情報を楽しみにしています。
 今回の原発事故で、日本はマモン拝跪から目覚めることはできないのでしょうね。

pistisさん

そうでしたか・・・それは買い得ですね。私は、原書の方をポチッとしてしまったので、原書の到着を待ちたいと思います・・・でも、その値段の翻訳物の綺麗なものだったら買いでしょうかね・・・。

ゲースの作品はお読みになったことがあるのでしょうか。もし読まれたら、感想をお聞かせください。私の荒筋紹介などゲースへの冒涜みたいなもので、小説の魅力はやはりそのものに当っていただかないと・・・。

原発を建設し続けてきた、社会的なシステムを構築し直すことが必要なのでしょうね。もう一つ、同じような事故が起きたら、国が持たないのではないかと思います。財界の人々や、政治家が、それに気付いてほしいものです。

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