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産科医療補償制度は一体誰のために? 

産科医療補償制度に基づく、日本医療機能評価機構の報告書。

この奥歯に物がはさまったような言い方は一体何なのだろう?曰く、「投与が直接脳性まひ発症の原因になったものではない」「それ自体が脳障害につながったとは言えないが」。ならば、このように「まとめて」公表する意味はないのではないか。この後だしのコメントが、医療現場で行われている医療そのものを改善するとは思えない。医療現場の問題は、学会の出す指針だけで解決しない。スタッフの労働環境、医療環境等すべてを考えて、ケースバイケースで解決しなければならない。このように、ペーパーの上だけで検討し、何事かを医療現場に対して忠告するかのような体裁の報告は、この機構の権威付けをすることを目指しているのではないか。一般の方が読めば、医療現場は何をしているという疑念の眼差しを向けることになる。脳性まひの大多数は、胎内で生じることが知られているのだ。

もう一つ、保険料と給付の問題。一件のお産で3万円を医療機関が同機構に支払う。毎年、200億円以上が、同機構に振り込まれる。厚生労働省の制度設計では、毎年800名の脳性まひ児に補償金を支払うことになっていた。こちらを参照。一人、トータル3000万円である(この額自体が、脳性まひ児の一生の生活費には全く足りない)。ところが、この制度で補償が認められたのが、予測の1/4に過ぎない。60億円ほどが同機構と契約した民間保険会社から補償金として支払われる。残り100数十億円は一体どうなるのだろうか。事務費に52億円が計上されているが、これもベラボウな気がする。民間保険会社は、この事業でもきっと数十億円のマージンを取っている。このように公的な性格の強い事業に、民間企業を参入させることには賛成できない。

同機構は、毎年100億円前後の内部留保をため込むことになる

お産の費用は、日本は、ヨーロッパの1/2前後、米国の1/5前後である。お産の現場には医療資源が足りない。それでいて、ミスは決して許されない

この制度は、お産の現場を、さらに疲弊させている。


以下、引用~~~

出産時の指針逸脱が多発 促進剤投与や蘇生処置
11/08/23
記事:共同通信社
提供:共同通信社

 出産で赤ちゃんが重い脳性まひになった場合に、過失の有無にかかわらず補償金が支払われる「産科医療補償制度」を運営する日本医療機能評価機構は22日、再発防止に向けて初めてまとめた報告書を公表。学会の指針を逸脱した陣痛促進剤の過剰投与や、心肺蘇生処置が不十分だった例が相次いでいたとして、関係学会や医療機関に注意喚起した。

 制度は2009年に始まり、機構はこれまでに208件を審査、うち192件の補償が決まった。報告書は、原因の分析が終わった13都府県の15件について、どんな問題があったかを分析した。

 陣痛促進剤を使用したのは15件中6件で、投与の量が日本産科婦人科学会が定めた指針より多かったり、投与の間隔が短かったりした。報告書は「投与が直接脳性まひ発症の原因になったものではない」とする一方「過剰な陣痛などを引き起こした可能性を否定できない事例がある」と指摘した。

 新生児の蘇生では「蘇生方法が不十分」「必要な器具や酸素が常備されていない」「蘇生できる医療関係者が不在」など7件で問題があった。胎児の異変を察知する心拍数モニタリングが十分でなかった例も8件あった。

 再発防止委員会の池ノ上克(いけのうえ・つよむ)委員長(宮崎大病院長)は「一部ではあるが、極めて基本的なことが守られていなかった。それ自体が脳障害につながったとは言えないが、産科医療の質向上のために、指針順守の徹底などを求めたい」と話した。

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