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震災復興関連予算という蜜に群がる蟻達 

当地で300床の三次医療機関建設が計画されていることは、ここですでに二回ほど記した。

その計画が具体化の第一歩を踏み出した。この市の東端に建設することが本決まりになった。その2kmほど東側に、過去30年間以上地域医療を行ってきた同規模の民間病院がある。周辺は、高齢化の進む農村地帯だ。都市部も人口の増加はない。新たな病院は、三次救急を謳い文句にしているが、医師が集まらないのは目に見えている。さらに、この民間病院にあまりに近い。医師会や、影響を受ける医療機関には何も知らせず立ち上げたこの新病院構想、どのような結末になるのか・・・は私はあまり関心がない。

このための予算の大部分が、大震災復興のための国家予算からくることが、腹立たしい。大震災復興にはほとんど関係ない。単に箱ものを作るだけのことだ

東大児玉教授が危惧していた通り、「除染作業」が、国家予算を手に入れるための利権を漁る公共事業のようになってしまっている、という声も聞こえてくる。

東北大学の打ち出した、東北メディカル・メガバンク構想も、MRICで小松秀樹氏が批判しているように、釈然としないものを感じる。被災地の人々の震災復興には結びつかない事業でしかない。大学だけでなく、官と民の関連省庁・組織が、震災復興の名を借りて、利権にありつこうとしているのではないだろうか。

11兆円超の震災復興関連予算。それの財源は、所得税・住民税の増税が当てられる様子。法人税も増税といっているが、減税分を少なくするという見かけ上の増税(実質減税)だ。この大きな国家予算を自らの利権の拡大にだけつなげようという官民の動きに厳しい目を向ける必要がある。


以下、MRICより引用~~~

東北メディカル・メガバンク構想の倫理的欠陥

小松秀樹

2011年9月13日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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政治状況が多少落ち着きましたが、国難ともいうべき状況は変わっていません。
私は、東日本大震災の救援活動に関わってきたこともあり、復興に個人的な思い入れがあります。
東北大学を中心に、東北メディカル・メガバンク構想が提案されています。これを復興計画に含めるには無理があります。この計画で、実際に実施することは、下記、2点だけです。いずれも、同様の試みが既にあり、オリジナリティはありません。予算獲得のための付け焼刃の構想に見えます。

1 ヒトの遺伝子情報を集積する研究センターを作ること
2 医療情報の電子化とネットワーク化

この二つは独立したものであって、互いに直接関係ありません。目的として大きいのは遺伝子研究のようです。医療情報のネットワーク化はおまけです。全体として、研究者主導です。
あるいは、研究内容と無関係に、単に研究費が欲しい人たちが計画を進めているのかもしれません。
背景として、日本では、高等教育、科学研究費の予算が徹底して削減されていることがあります。東北大学を含めて、日本の大学が疲弊していることは間違いありません。予算の削減は、日本が急速に貧しくなり、さらに貧しくなりつつあること、高齢化によって、社会保障費に莫大なお金が必要になったことによります。

一番目のヒトの遺伝子情報の集積については、研究者、大手建設会社、研究関連の企業には確実にメリットがあります。逆に、最も疲弊している被災地、すなわち、福島県の浜通り、宮城県の石巻・女川から気仙沼まで、岩手県の三陸海岸の被災者にはまったくメリットがありません。つらい思いをして、故郷を離れた被災者にも何のメリットもありません。
創薬研究、橋渡し研究がうたわれていますが、日本の大学の研究者は実用化を安易に考え、臨床家から見ると信じられないような夢を見ます。現実を踏まえた実務能力に欠けるため、研究者主導の試みが実用化することはほとんどありません。実用化、産業化は別のステージの研究です。別の組織と研究者が必要になります。本構想に予算を付けることは、研究のための研究に予算を付けることに他なりません。

二番目の医療情報のネットワーク化によって最も利益を受けるのは、大手のIT企業です。被災者に一切メリットはありません
医療情報のネットワーク化は、本来、特定地域の医療に大きな影響力のある大病院が地元の開業医や自治体と協力して開始すべきものです。患者情報の医療機関同士でのやりとりの構図が単純で、実用化のための協力体制を構築しやすいからです。確実な成果を得た上で、徐々に拡げていくべきものです。この分野でほとんど実績のない基礎研究者が思いつきで言い出したものに予算をつけても、無駄になる可能性が高いと思われます。結局、大会社にお金が渡るだけです。これが回りまわって、被災者のメリットにつながるという意見もあろうかと思いますが、それを認めるとあらゆるものが復興計画になってしまいます。県単位に拡げるとすれば、先行研究で実績を残したところが担当すべきです。

この構想を説明するための東北大学のスライドには、「東北メディカル・メガバンクの医師・コメディカルスタッフを被災地域の病院に派遣・常駐させて地域医療復興を支援する」と書かれています。
研究者が派遣業まで開業しようというのでしょうか。この枠組みでは、遺伝子研究をしたい基礎医学者しか集まりません。被災地で働こうという医師は、臨床医学を中心にした教育、地域での地道な医療活動から生まれます。研究者主導のメガバンクから地域に派遣されるとなれば、臨床医は参加しません。ましてや、コメディカルスタッフを「派遣・常駐」させることなど絵空事です。麻酔医の確保もままならない大学が、過疎の被災地で働く医師を集められるとは思いません。無理すると、大学全体から、真面目な臨床医が立ち去ることになります。

私は、復興財源を使うことを正当化するための4条件を提案します。すくなくとも、どれかを満たす必要があります。

1.地元の被災者の生活の維持と再建に直結すること
2.被災者の雇用に直結すること
3.被災者を多数雇用する地元企業にお金が落ちること
4.被災地を後にした被災者の再就職と生活再建に直結すること

増税までして復興に回そうとするお金が、研究者と大企業だけを潤すのは許されることではありません。
私は被災地の復興を望みますが、被災者の生活再建が最も重要だと考えています。地域に立派な建物が建つだけでは、復興とは言えません。ある地域が繁栄するための必須条件は、その地で生活する住民の幸福度の総和が大きくなることです。これは、被災地の住民数を多くし、一人当たりの収入を多くできれば、ある程度達成できます。

しかし、東日本大震災の復興は、地域の繁栄だけを目指すべきではありません。東日本大震災では、故郷にとどまりたくてもとどまれない被災者が、多数故郷をあとにしています。この人たちを含めた復興が必要です。
私には、東北メディカル・メガバンク構想の予算要求は火事場泥棒に見えます。大学の予算が足りないからといって、誇りまで捨てた行動をとると、未来を失うことになりかねません。遺伝子情報の集積については、本来、震災復興と関係なく、科学研究として文部科学省に予算要求すべきものです。
医療情報のネットワーク化については、震災復興とは関係なく、総務省に予算要求すべきものです。
この構想に1000億円から1500億円もの予算が必要だと伝えられています。これが本当なら、被災者を冒涜するものと言ってよいのではないでしょうか。この構想に予算が付くとすれば、復興予算全体の論理が歪みます。

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