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原発過酷事故の被害予測 

石橋克彦編『原発を終わらせる』(岩波新書)は、タイトルこそ政治的プロパガンダのように読めるが、内容は、なぜ原発が危険なのか、東電福島原発で何が起きたのか、原発をなくすために行うべきことは何かと分かりやすく教えてくれる好著だ(そのサマリーを何時かこのブログでもアップしたいと考えている)。脱原発が、歴史的な必然であることを示しているのだ。

で、その中で、京大の今中氏が、1966年に始まる東海原発の稼働を前にして、原子力損害賠償法を制定するために、原発事故による被害を予測する研究が行われたことを記している。日本原子力産業会議が、1960年にまとめた「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害に関する試算」である。

この報告は、結果があまりに大きな被害を予測する内容だったために、当時の国会でも、一部が公表されただけで、全体が一般に公開されたのは1973年になってからだったらしい。

東海原発での事故を想定し、周囲の人口密度・都市の位置・放射性物質の放出パターン・気象条件・拡散と沈降の条件・被曝量計算(この報告では、地表に沈降した放射性物質からの外部被ばく・飲食物による内部被曝が考慮されていない)・人的被害区分(急性障害だけを見積もり、晩発性障害を考慮していない、死亡時賠償金額は83万円と試算)と賠償額・物的損害区分と賠償額等が検討されている。

事故被害の様相が、放出条件と気象条件により大きく変化することが示されている。

東電福島原発事故に近い条件は、放出条件が「揮発性・粒子小」で、気象条件が「温度逓減・雨あり」の場合だろうと、今中氏は記している。この場合、人的被害が、要観察3100人、6カ月以上の退避・移住が360万人、1年間の農業制限が37500平方K(日本の面積の約1割)、損害額5650億円。

被害額が最も大きいのは、「全組成・粒度小」「逓減・雨あり」の場合で、損害額は、3兆7300億円に上る。

1960年の日本の国家予算が、1兆7000億円だった。

日本の原子力発電は、万一の場合は、原子力事業者のみならず、国家経済が破たんすることを前提にして開始された、と今中氏は記している。

人的被害が少ないように思えるかもしれないが、晩発障害は長い時間をかけて、広範に起き、多くの国民を苦しめることになる。

上記のことを頭に入れて、下記のニュースを読むと、この予測が、現実性をもって我々に迫ってくる。行政・政府・業者は、こうした大事故の確率を小さく見積もり、さらに起きた場合の被害を小さく見積もろうとすることを覚えておく必要がある。


以下、引用~~~

原発事故、首都圏も避難対象 菅氏、最悪予測で3千万人

  菅直人前首相は18日までに共同通信のインタビューに応じ、3月11日の東京電力福島第1原発事故発生を受け、事故がどう進行するか予測するよう複数の機関に求め、最悪のケースでは東京を含む首都圏の3千万人も避難対象になるとの結果を得ていたことを明らかにした。

 発生直後には、現場の第1原発の担当者と意思疎通できないなど対応が困難を極めたことを強調。原因究明を進める第三者機関「事故調査・検証委員会」(畑村洋太郎委員長)は菅氏から事情を聴く方針で、事故対応をめぐる発言は、再発防止の鍵になりそうだ。

2011/09/18 16:09 【共同通信】

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