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個別医療 

気管支喘息の患者にとって、ステロイドの吸入薬が、この20年来の大きな福音だった。副作用が少なく、その一方、効果は優れている。しかし、ステロイドへの反応が良くない例が、少なからず存在する。その臨床的な知見の理由を、遺伝子レベルで明らかにした報告が、New Engl J Medの最新号に載った。それを踏まえて、個別医療の可能性を論じた総説がこちら

核酸の一つが異なる変異遺伝子の有無で、ステロイド吸入への治療効果が大きく左右されることに驚かされる。抗IL16単クローン抗体への効果にもpolymorphismがある、とのこと。leucotriene受容体拮抗薬の感受性にも遺伝的な多型性があったはず。こうした知見を個別に当てはめて、ベストなテーラーメイドの治療を進める、ということになってゆくのだろうか。

医療経済学の観点からすると、効果の期待できる治療の組み合わせを最初に確定するためのコストと、その後の経過で行う治療のコストとを考え併せて、この個別的な医療は、医療費の膨張を起こすことにはならないだろうか。最初の紹介した論文を生むきっかけになった、CAMPという、長期間気管支喘息の小児をフォローした研究では、ステロイド療法が、疫学的に見て、長期予後に影響を及ぼさないということも明らかにされていたと記憶する。それも考えると、個別医療は、個々の症例にとっては福音だろうが、医療全体としてみると大きな前進になると言えるのかどうか、複雑なところだ。

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