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医療社会福祉の切り下げ 

昨夜、Steve N6TTと久しぶりに交信した。家族のことなど様々なことを話したのだが、印象に残ったのは、ご両親が救急医療にかかった話。母上が82歳、父上はそれ以上なのだろ思う。母上の具合が悪くなり、近くの病院のERに駆け込んだ。でも、3時間半待たされても診てもらえそうになかったので、そこで診療を受けることを諦め、父上は、母上を80Kmはなれた別な病院に車で連れて行った、とのことだった。

米国の医療は、患者がとりわけ裕福でなければ、こうしたものだと言うことは知っていた。あの映画「シッコ」の世界だ。でも、身近な人物から、高齢者の救急医療の酷さを聞くと、改めて、米国流の医療の歪を身近に感じる。

以前から何度もここでアップしてきたが、少子高齢化の急激な進展と、小泉構造改革以来の「自己責任」の思想によって、わが国の医療も、米国化されつつある。在宅医療を進めるのが行政の基本方針だが、いよいよの最後の時になって、自宅で死を迎える、国民の意識と、家族の体制は整っているのだろうか。これまで年100万人前後が亡くなっていたものが、今後は160万人前後が死亡してゆくことになる。やはり、いよいよのときは、医療機関に駆け込むことになるのではないだろうか。しかし、医療機関にはそれを受ける人的・施設上の余裕はない。

医療を受けることなく、高齢者が自宅で死亡することが頻繁に起きるようになるのではないだろうか。県の医師会が、「死体検案」の講習会を開催するという連絡が、つい先日入っていた。こうした講習会は、これまで聞いたことがなかった。行政が、医療の関わらぬ自宅での死が多くなる事態を見越していることを思わせる。開業医を即席の司法医学者にしたてて、この事態を乗り切ろうということなのだろう。お粗末なことだ。

地域医療のさらなる窮乏化に繋がる具体的な事実がさらに二つある。一つは、TPPを批准する方向に向かっていることだ。TPPについては、以前にオーストラリアでどのような批判があるかを紹介したが、TPPを主導する米国は、グローバルスタンダードとして、医療の市場化をさらに求めてくるだろう。それは一部の財界の意向にも一致する。

さらに、最近、民主党は、懲りもせず、また事業仕分けを行なうと言明した。その対象は、原発と、医療社会福祉である由。重点が医療社会福祉に置かれるのは確実だ。厚生年金の受給年齢を68歳から70歳に引き上げる案が既に行政から出されている。また、行政は、医療機関受診時に定額を自己負担させる制度の導入も画策している。これは、医療費の公的部分を縮小することと、自費診療の更なる導入へのきっかけになることだろう。

社会のセーフティネットが、破壊された今の状況で、社会福祉医療の切り下げが進むと、出現するのは、社会の荒廃そのものだ。年金財政の逼迫を、国民を早く死亡するに任せることで緩和しようという、冗談のような考えが、行政のなかで真面目に議論されているのかもしれない。

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