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新自由主義経済が医療に入り込むと・・・ 

AIGという巨大な保険資本がある。リーマンショック以前は、優良企業とされていた米国の大企業だ。かって、この保険会社は、決算報告に載せる必要のない影の銀行と呼ばれる関連会社を用いるなどの手法を用いて、derivativeの技術で莫大な投資を行い、利潤を得ていた。その投資額は、天文学的な額に上った。が、リーマンショックによって、金融バブルが崩壊し、信用収縮が始まり、この保険会社は、実質経営破たんした。ところが、米政府・FRBは、too big to failとして、AIGを初めとする大企業を救済した。AIGの株の8割弱を国が保有し、巨大な額の公的資金を投入し続けている。資本主義社会では、経営破たんした企業は、市場から退場をしてもらうことが原則ではなかったか。

AIGは、公的資金の注入を受けながら、一方では、400名の役員に160億円のボーナスを支給したとして、米国内でも批判を受けている。AIGの経営は、新自由主義経済に則ったもので、利益を上げることを至上命題にしていた。グローバルスタンダードとして、米国が他国に強要した経営規則を、米国はAIG等には実質免除していた。いわば、ダブルスタンダードである。日本や、他の国々の金融行政を、crony capitalismとして、批判した米国が、ウォールナット街の金融機関と実は現在同じ金融行政を行っているのだ。新自由主義経済が敗北したことを示す出来事だ。

AIGの傘下の保険資本がAIUである。AIUの日本支社が、理解しがたい「医療」訴訟を起こした。ある交通事故を起こした方がAIUの損害保険に加入していた。車に同乗していた方が、不幸なことに、おそらく頸椎損傷を起こしたのだろうか、四肢麻痺の後遺症を残した。この四肢麻痺を患った方が、運転者に民事訴訟を起こし、巨額の損害賠償を得た。それを支払うことになったAIUが、頸部固定が遅れたとして救急医療を行った香川大学医学部に対して、保険金の半額に相当する額の支払いを求めて訴訟を起こした、ということのようだ。

医療過程に問題があったのかどうかは、分からないが、頸部固定が行われなかったことを問題にするなら、救急隊員の対応に問題があったのではなかったか。入院当初は、四肢麻痺の症状はなかったようなので、四肢麻痺という「結果」を救急医療の責任にするのは如何なものだろうか。専門外なので、これ以上は言及しがたいが、このように表面的な結果責任を問われるなら、救急医療を行うことが難しくなるのではないだろうか。

それ以上に、損害保険会社が、医療機関を訴えるという構図に驚きを禁じ得ない。損害保険会社は、運転者との間で契約を結び、運転者が事故を起こした時に、それに対して保険金を支払うという関係だけなのではないか。保険をヘッジする保険にAIUが入っており、こうした保険金支払いをカバーするのではないだろうか。利益の確保を至上命題とし、こうした訴訟が医療制度へ及ぼす影響等は微塵も考慮しないやり方には
強い不快感を感じる。

TPPが批准されると、こうした資本がどっと日本に押し寄せる。医療機関は、医療保険巨大資本の傘下に入り、自由の利かない医療を強制されるか、または彼らと医療費の支払いで消耗するやり取りを強要されるようになるのだろう。そして、結局は、国民に痛みは回されることになる。

以下、引用~~~

香川・損保が病院を提訴 「医療ミス、保険金負担を」
11/11/07
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


提訴:損保が病院を 「医療ミス、保険金負担を」--香川



 香川大医学部付属病院(香川県三木町)に救急搬送された女性患者を巡り、損害保険大手のAIU保険日本支社(東京都千代田区)が「適切な措置を取らなかったため、重度の四肢まひの後遺症が残り、多額の保険金を支払わされた」などとして同大を相手取り、1億7438万円の支払いを求める訴訟を高松地裁に起こした。医療ミスを主張して損保が病院に保険金の負担を求める訴訟は珍しいという。

 訴状によると、女性は03年9月、同県坂出市の高速道路で、知人の運転する車に乗っていて事故に遭い、同病院に運ばれた。入院した日の夜、搬送時にはなかった重度の四肢まひが確認された。病院が首を固定したのは、翌日の午前8時だった。女性は運転していた知人女性に損害賠償を求める訴訟を起こし、10年1月に高松高裁で2億2575万円の損害賠償を認める判決が確定。事故を起こした車にAIU保険の保険が掛けられていたため、同保険は、治療費など計3億4876万円を支払った。

 同保険は「病院が速やかに首を固定しなかったため、脊髄(せきずい)損傷が広がった」として過失を指摘したうえで、病院に5割の負担を求めている。

 香川大医学部総務課は「係争中のことで具体的なことは答えられない」とし、AIU保険日本支社は「法廷のみで事実を明らかにしたいのでコメントできない」と話している。

 医療過誤訴訟に詳しい久留米大法科大学院、朝見行弘教授は「損保はこれまで煩雑な訴訟を避けるケースが多かったが、保険金が膨大で病院側に過失があると判断すれば、今後も訴訟を起こすことが考えられる」と話している。【広沢まゆみ、鈴木理之】

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