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TPP議論における政府の不誠実さ 

野田首相が、APECの会議でTPP交渉に参加する意向を表明する前、国会審議で、自民党議員の質問に答えて「ISD条項を知らない」と発言していた。まさか、首相が、大きな問題点である、この条項を知らないわけがない。恐らく、国会で議論すれば、TPP交渉参加への逆風が吹くと分かって、「知らない振り」をしたのだろう。国会と、国民を軽視する態度ではないか。

TPPの大きな問題であるISD条項は、例えばオーストラリア等でも問題にされていた。以前のポストにもアップしたが、投資家・企業が、他の国の市場に出る場合、そこで経済的な不利益を被ったと判断したら、当該国の政府を相手に訴訟を起こせるということを規定したのが、この条項だ。訴える裁定組織は、WTOの下部機関であり、そこでは非公開で審議が行われ、当該企業が経済的な不利益を被ったかどうかという点に絞って判断されるという。当該国の公共の利益や、環境への影響といったことは勘案されぬということだ。上告制度はない。NAFTAでは、この条項に基づき、カナダ等が米国企業から訴えられて、巨額の損害賠償をさせられている。国内に一種の治外法権ができるのだ。

また、昨夕、同じ国会審議では、TPP交渉の対象から外すネガティブリストについては現段階で明らかにしない(交渉の中で明らかにしてゆく)と、外務大臣と首相が、社会民主党の質問者に答えていた。TPPは、まな板に載せる項目を検討するのではなく、載せない項目を検討する、ネガティブリスト方式を取っている。参加するとして、何をネガティブリストに載せるかということは、国民にとって極めて重要な検討事項のはずだ。それを国会で議論しないで良いのだろうか。ここにも、国民を軽視する姿勢がある。

すでに、TPPの枠組みは決まっているように思える。関税が問題になるのは、農産物の分野だ。工業製品はすでに、ほとんど無視できるほどに関税が低くなっている。米国が明言しているのは、農業分野に加えて、医療福祉の分野、即ち医療保険分野での市場開放、を要求するとしている。現政権は、皆保険制度は死守すると言いつつ、米国が、それを撤廃せよと要求する交渉の場に出てゆこうとしている。米国が重点を置くと言う、この要求にどう対処するのか、保険をネガティブリストに入れるのかどうか、政府は明言しない。

このTPPの中身について議論を避けようとする態度と、上記の「知らない振り」から見えてくるのは、既に決められたTPPの枠組みに、どうしても入らなければならないという政府の強い意思だ。本音を語ることは外交交渉ではできないのかもしれないが、国民生活に密接にかかわることについては明らかにし、議論すべきだ。

TPP参加を表明するかどうかの議論を直前までほとんどしてこなかった、マスコミも、その方向での世論誘導に参加しているのだろう。

TPPは、沈みかけた米国が、起死回生の策として、日本の国民の資産に狙いをつけ、医療分野でその資産を簒奪しようとするものだ。国民は、それを知らされていない。日本がこれから大切にし、経済的な連携を深めるべき相手は、経済発展を続けるアジア諸国、特に、中国とインド、だろう。そうした国には目を向けようとしないのは、大きな判断の誤りだろう。

混合診療になると、国民は、医療に多大の支出を強いられる・・・医療界の中には、現在の低医療費から脱却できるとして、この制度が実現することを待ち望んでいる向きもある。でも、国民も医療界も結局米国の巨大保険資本の餌食になるだけだ。

この予測が当たらないことを祈るが、TPPへ参加をした時には、国民はこれが実現するのを目の当たりにすることになるだろう。TPPに参加したら、逆戻りはできないようになっていることも知らないのだろう。

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