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行政による、精神科医師の支配 

今回の診療報酬改定で、精神科診療所に365日24時間、自らのところで診ている患者の救急対応をすることが求められる、と聞いた。精神科病院の救急が大変なのに、診療所では夜間救急対応をしないのはけしからんという議論らしい。

自院で診ている患者の救急対応を診療所にも求めることはある程度理解はできる。が、24時間365日というと、それはあまりに過酷な負担である。精神科救急は、診療所外来ではなじまない。様々な処置、治療、投薬を夜間人数が圧倒的に少ない診療所でどうするのだろうか。元来、診療所を開業する医師は、大学・病院等で経験を積んだ医師であり、そこで積んだ経験を地域医療に生かす立場にある。若い時代に一睡もせずに当直業務をこなし、相当の年齢に達した医師達である。そのような精神科医に、勤務医以上にハードな負担を求めることは、社会的な公序良俗に反する医療行政と言わなければならない。診療所院長が、管理者の立場にあり、労働基準法に守られる立場にないことを良いことに、こうした過大な負担を、医療現場に平気な顔をして要求する行政がここにある。これは行政による反社会的な施策だ。

そうした過酷な負担を医療現場に要求し、それに医療現場が沿えぬ場合は、懲罰的に診療報酬上の減額を行う。最近しばしば取られるネガティブな動機付けである。精神科診療所は、これまで診療報酬改定のたびに、狙い撃ちにされるように診療報酬を減額され続けてきたようだ。ここにきて過酷な要求を飲まなければ、さらに診療報酬を減額するという要求を、行政は医療現場に行っているわけだ。診療報酬を、懲罰的な手段として用いることには制限があってしかるべきである。特に、今回行政が実現しようと画策している、365日24時間医師を義務で縛るような反社会的な施策にこの手法が用いられるのは、行政の犯罪と言わなければならない。むしろ、精神科救急体制構築に医療資源を回すべきなのだ。

精神科救急が、医療制度のなかで置き去りにされている行政的な失策の尻拭いを、懲罰的な手法で末端の医療現場に押し付けることは決して許されるべきではない。

こうした反社会的・非人間的な行政を、日医が黙認するとしたら、精神科医・他科医師の開業を阻止したい病院経営者が幹部の多数を占める日医も、医師を非道な行政に売り渡し、加担していると言わざるを得ない。

行政は、精神保健指定医制度で、精神科医師を資格上統御する味を占めた。今度は、診療報酬の懲罰的減額という経済的な手法で精神科医を縛り上げることに乗り出した。

これは、精神科だけの問題ではないことを、医師全体が認識すべきだ。味を占めた行政は、同じことを順次他科に拡大してゆくことだろう

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