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診療報酬請求電子化のもたらす弊害 

医療機関から支払基金への診療報酬請求が電子化され、今春から、縦覧点検というチェックを行政サイドで行うようになったようだ。それにより、医療現場では混乱が生じているらしい。

所謂、レセプト病名が通用しなくなった、しがたくなったということがある。特定の薬剤には、公的に認められた適応症が決められており、それ以外で用いると、医療機関にペナルティが課せられることになっている。ただ、適応症だけで診療がすべてうまくゆくかというと、そのようなことはない。

例えば、鼻閉を主訴とする乳児・新生児は結構頻繁にみられる。その鼻腔所見はアレルギー性鼻炎と似ている。治療薬もアレルギー性鼻炎のものが有効だ(それしか効かない)。しかし、この年齢層では、典型的なアレルギー検査所見は出ないことが多い。行政的な厳密さでいうなら、アレルギー性鼻炎の診断名は、レセプト病名に近いものになる。

また、精神科領域では、うつ病の患者で、抗鬱剤で良くならずに、抗精神病薬を少量用いると改善することがある。その際に、これまでは統合失調症という病名を便宜的に用いてきたらしい。だが、レセプト病名が認められないとなると、適応症外のうつ病には、そうした薬剤は使えないことになる。

検査の領域でも、薬の副作用をチェックする正当な検査が、撥ねられることが起きている(これは縦覧点検とは直接関係ないが、縦覧点検によってさらに厳しくチェックされることになるだろう)。医学的に、検査が、頻繁に必要なものも、診療報酬上削られる事態が生じている。

要するに、行政は、医療機関・医師を性悪説で捉え、その臨床上の工夫、最新の知見に基づく適応症外の治療等、医師の裁量を認めぬ立場に立っている。医師は、保険診療の制度下で仕事を続けるために、この硬直化した医療行政に従わざるを得ない。すると、結局、割を食うのは患者ということになるのだ。

裁量をどこまで認めるかというのは難しい線引きになるし、医療費をなんとしても抑えたい行政の意向もある程度分からないでもない。でも、電子化によってもたらされた、機械的な診療報酬支払い制度では、そのもたらすマイナスの面の方が圧倒的に大きいように思える。

そのマイナスはすべて患者が被ることになるのだ。その事態について、患者・国民は知らされることはない。行政が、医療の内容の詳細にまで立ち入って規制をかけることによる弊害は、知らぬ間に拡大し、それが世間に知れるまでに多くの犠牲者が出ることだろう。行政による医療の破壊だ。

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