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官僚制は、必要悪 

野口雅弘著「官僚制批判の論理と心理」(中公新書)によると、民主主義それ自体から、官僚制が必然的に社会に必要とされる、とあった。民主主義による、平等でフェアな社会の実現の民衆の要求は、それを実現するために官僚制が必須なのだということだ。官僚制の弊害を糾弾し、脱官僚を目指すと、それは「小さな政府」を必然的に主張することにほかならず、これまた弊害が指摘されている新自由主義経済体制にくみすることになる、というのだ。マックスウェーバー等の政治思想がなかなか難解なのだが、近代から、後期資本主義の時代にあって、官僚制の問題が大きな問題であり続けたことを知り、私自身の問題意識が本質的なところを外していなかったことが分かった。それはそれで、スリリングな知的体験だったが、それにしても現実の官僚制の問題はあまりに大きく、我々の前に立ちはだかっている。

昨日、民主党副代表で、税と社会福祉の改革を担当する大臣でもある、岡田氏がラジオに出演し、今回の消費税増税法案について説明(弁明)していた。彼によると、増税の前に行うべき行財政改革もちゃんと行っているということだ。公務員の給与は7%引き下げ、国会議員の歳費も200数十万引き下げた、と自信たっぷりに語っていた。彼は、それらの引き下げが二年間」の期間限定の処置であることを全く語らなかった。こうしてまで増税法案を通そうとするのだろうか。

政治主導の掛け声のもと、国会答弁が、政治家だけによってなされると、民主党が政権についたときには決められたはずだが、過日国会中継を観ていたら、多くの官僚が実質的な答弁を行い、政治家は同じ総論を繰り返し述べているに過ぎない様子だった。あのような政治家は不要である。あれでは、官僚の傀儡といわれても仕方あるまい。

増税法案の中身は殆ど議論されていない。増税によって、社会保障の充実が図られると言うが、その見立てがかなりいい加減であることが明らかになっている。介護の必要性の具体的な見通しが、本来の半分以下であることが、自民党議員の質問で明らかにされている(過日、このブログでも取り上げた)。この法案は、財政規律を最優先とし、また歳入増によって利権を得る、財務省の発案であることは明らかで、そのためのキャンペーンが、マスコミを使って繰り広げられてきた。増税の中身は、知らしむべからず寄らしむべしという官僚によって、ブラックボックスのなかである。

官僚によって企画され、キャンペーンを張り、政治家を動かして、実施されようとしている増税だ。国民には、その中身(使途)も知らされず、虚偽と紙一重のキャンペーンに乗せられ、政治家の節操を欠いた離合集散をただ見せられるだけである。

民主主義という、絶対的な価値の必ずしもおけぬ政治体制にあって、官僚制の存在が必須のものであったとしても、官僚制の正当性は厳しく問われるべきだ。特に、マスコミを利用した、誤ったキャンペーンが、彼らの世論形成、ひいては国民の意識操作の手段となっていることに注意を向ける必要がある。マスコミに対抗する手段としてのネットでの個々の意見の発信が、官僚のそうした動きに抗し、官僚の誤った意図を挫くために重要になってきているのかもしれない。

岡田氏は、もうちょっとまともな政治家だと思っていたのだが・・・。

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