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北米西海岸への旅 (5) 

サンノゼ空港は、新しく建て替えられていた。といっても、20数年前の記憶は殆どのこっていないのだが・・・。荷物を受け取り、ロビーに出ると、昔と殆ど変らぬBob W6CYXが待っていてくれた。21年ぶりにお目にかかる。会う早々、カメラのことは聞いたか、と尋ねられた。私がカメラをHilton Bellevueに置き忘れたというのだ。慌てて、ウェストポーチのなかを探したが、確かにカメラが見当たらない。あちらでは、写っている中身から、私のカメラだと判断し、その後、Rick N6XIが、Bobの家に届けてくれることになったのだった。Rickの家は近いとはいえ、車で1時間程度はかかるのではないだろうか。カメラ自体の価値はないにしても、せっかく撮り貯めた写真は貴重なものだった。大したことでもないかのように、カメラを届けてくださったRickには感謝あるのみだ。

Bobに連れられ宿舎となるホテルへ。ビジネスホテルの豪華版というところだが、とても感じの良いホテルだった。近くに日本レストランや日本の商品を扱うスーパーもあった。スタッフも感じが良く、各階にPCが備えられて便利。朝食のバイキング料理もとても美味しい。Bobが推薦してくれたホテルだったが、彼自身は利用したことがないのでちょっと心配していた様子だった。とても気に入ったことを伝えると、Bobも喜んでいた。ホテル名はMoorpark Hotel。

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昼食・チェックインを済ませ、Bobのお宅へ。シリコンバレーの東側にそびえるMt. Hamiltonの中腹にある。より太平洋に近い、半島側の山並みに比べると、降雨量が圧倒的に少ないらしく、冬の数か月を除いて、周囲の草原は枯れた状態が続く。最後に訪ねた21年前に比べて、彼の家の敷地にうっそうと木々が茂り、様々な果樹の木に実がたわわになっていることに驚いた。毎日、奥様とその姉にあたる方が、水やり等の世話を続けている成果らしい。高い常緑樹は、redowoodである。

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Bobご夫妻。奥様のMarikoさんはブラジル出身の日系人である。お二人とも少し白髪が増えた様子だが、若々しくお元気そうだった。

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Bobのアンテナ。上が昔懐かしいKT34A、下がWARCバンドのビーム。マストごと回している。何しろ、南東から北東にかけて全面眼下にシリコンバレーからサンフランシスコの方面まで広がるような場所なので、”飛び”は抜群である。その昔、ベイエリアの他の町に住む友人から、Bobの信号はなぜあれほど良く飛ぶのかと怪訝そうに尋ねられたことがあったほどである。これに写っていないが、確かバターナットが別にある。それより下のバンドのアンテナは、前の写真に写っているredwoodを利用してワイアーアンテナを上げているようだ。

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彼の庭からシリコンバレー南部を望む。

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夜は、彼のお手製の(?)ロブスターの豪快な料理をご馳走になった。ダイニングルームから望むシリコンバレーの夜景。最初に彼の家を訪ねたときに、この夜景を観て、度肝を抜かれた記憶がある。30年近く前
の思い出が蘇った。食事を頂きながら、彼の話しをいろいろと伺った。彼は、Rickも認める保守主義の論客であり、また官僚批判が鋭い。社会保障は自らが自らを助けるべきだというのが彼の論。政府に期待するのは、国防・教育等限られる、とのことだ。「社会主義」のオバマ政権により、社会保障が十分あるために、人々は働く意欲を失っている、そのために見かけ上の失業率が高止まりしている、というのが彼の主張である。

官僚批判については、私も同じように感じることがあった。高速道路上に歩行者の横断歩道をかけているが、だれもそれを利用していない、またサンノゼ市内を南北に走る電車が作られたが、それも利用する人々は限られている、すべて官僚による無駄遣いであり、その背後には業界との癒着がある、とのことだ。仕事をしていたころ、数百人の被雇用者の記録に「人種」を記録してはいけないと言われたのだが、別な官僚には、人種別の雇用者の統計を出せと言われたことがある。トンデもないと抗議したら、それっきりなにも言ってこなくなった等々。彼の大きな政府批判は留まるところをしらない。

彼のこの考えは、アメリカの中流から上流階級の人々にかなり普遍的にみられるもののように思える。オバマに大きな期待をかけ、それが外れたことも、こうした考えが広く行き渡る要因になっているのだろう。

一方では、満足に医療を受けられぬ数千万人単位の人々がいる。また、フェアであることを倫理学的に追求したRawlsの思想を生み出した文化的な背景も、アメリカにはある。小さな政府の論は、これまで多くの問題を現実に産んできたことも事実だろう。バブルと、その崩壊を繰り返し、世界経済は、現在の停滞に陥り、持てる者はより多く持ち、持たざる者はより多く失う世界が出現している。国際的な金融制度に何らかの秩序が必要になっていることも事実だろう。小さい政府と自力で生き抜くことへの飽くなき信条をBobが述べるのを聞きながら、これから米国がどのような方向に向かうのかと思いを巡らしていた。

話しが前後するが、サンノゼ空港に到着してすぐに、Los AltosやPalo Alto等の町、それにスタンフォード大学のキャンパスを見せて頂いた。想像していた、売りに出された家屋はほとんど見当たらず、美しい街並みが続いていた。Bobは、マスコミの伝える経済状況は一面的すぎると言っていた。米国の経済が落ち込み、どうしようもなくなっているかのような報道は間違いである、と。不動産の経済状況の良い、シリコンバレーのごく一部を観たにすぎないが、確かに米国の経済がどうしようもなくなっている、ということはなさそうに思えた。スタンフォード大学は、30年近く前短期間研修に訪れた時からガラッと変わっているように思えた。多くの新しい建物が立ち並び、旧い病院も間もなく使用されなくなるらしい。

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翌日は、Santa Cruzのredwood tree parkに連れて行って頂いた。樹齢2000年以上という巨大な針葉樹がたくさんある。この木は、シロアリ等に食われないので、家屋の材料に大量に使われてしまったのだが、この一体に残ったものだけが州立公園として保存された由。redwood treeの表面が赤い理由は、タンニンを含むためであり、その成分が害虫からの被害を防いでいると、訪問者のための建物内にある説明文にあった。Bobは、これらの樹の寿命が長いことに盛んに感心していた。

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昼食を, Santa Cruzの海岸桟橋突端のレストランで頂く。カラマリ・・・小型のイカ・・・のフライである。桟橋では釣りをしている人々がいた。Bobが釣れているかと気軽に尋ねていた。帰路は、これまた懐かしい17号線を東に向けて走る。7月下旬に行われた、Carmelでのバッハフェスティバルの様子を伺っtた。ロ短調ミサがテーマだったらしい。ホザナ(だったかしら)の三連符が三位一体を表現しているので、しっかりそれを演奏した方が良いとか、終局の最後の音をティンパニは単一音で奏しているが、ロールインした方がよいのではないかとか・・・。後者については、リハの時に、Bobは果敢にステージに上がり、指揮者に言ったのだが、ていねいに断られたとか・・・。リハの間の休み時間に、外でティンパニ奏者を捕まえて、同じことを進言してみた、だが、同奏者は、だまってそうすることはできるが、演奏が終わった後で、指揮者から微笑みながら「次にそのようなことをするときは、許可を得てからにしてくれたまえ」と言われることだろうと、Bobは聞かされたとか、いろいろと面白い話があった。

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何か記録し忘れたことがあるようにも思えたが、一応このポストはこれまでにしておこう。翌、7月29日に、最後の目的地、LAに向かうことになる。

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