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寺澤盾著「英語の歴史」過去から未来への物語 

中公新書の上記の本を読んだ。

英語の歴史を、1500年余り前の起源から、現在、そして未来という流れで記した著作である。古英語が、5世紀のブリテン島へのゲルマン民族の移動、さらにキリスト教の伝来によって、ゲルマン語他の言語・キリスト教を通したラテン語から大きな影響を受け、中英語の時代に入る。さらに11世紀の所謂ノルマンコンクェストによりフランス語が公用語となり、英語の復活は13世紀まで待たなければならなくなる。近代英語にはフランス語から影響が色濃く見られるという。

様々な民族と言語がダイナミックに影響しあい、現在の英語が形作られる過程を、文法や、語彙の面から明らかにしている。現代の英語は、英国・オーストラリア・米国の英語で差がある面もあるが、米国の英語がその他の英語に強い影響を及ぼしているが記されている。さらに、現在の英語は、世界的にみて第二外国語・外国語として話されることが多い。英語帝国主義への反発等があるが、今後ともにlingua francaとして英語は存在し続けるだろう、というのが著者の見解である。

面白いと思ったのは、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」の場面の紹介。ロミオとジュリエットが初対面で出会うところは、ジュリエットが敬語としての二人称でロミオに語りかけるのに、あの有名なバルコニーのシーンでは、ジュリエットは親しい関係の二人称でロミオに語りかける。中英語では、ドイツ語と同じような文法構造があったのだ。さらに、今回の米国旅行でもしばしば耳にしたが、you guysという二人称複数の用法。単に、guy達よ、という呼びかけかと思っていたが、二人称は単数と複数が同じ形なので複数を単数形とは別な形にして文法的に落ち着こうとする「モーメント」が働いている、そのためにyou guysという言葉が用いられるようになってきている、とのことで、なるほどと納得したことだった。文法的に落ち着く方向に、文法が変化してゆくことはほかでも見られるらしい。

こうした英語の歴史を学んでいたら、学生時代にもっと奥行きのある学習が可能だったかもしれない。先にあげた、単に規則の列挙である「死んだ」文法ではなく、言葉や文法の「ニュアンス」を大切にする「生きた」文法の学習と併せて、こうした学習内容は、英語をもっと生き生きと、立体的に学ぶ契機を与えてくれることだろう。受験生達にも機会があれば、是非勧めたい内容の書物だ。英語に関心のある方にもご一読をお勧めしたい。

日本語の歴史も勉強しなければ・・・。

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