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在宅医療介護に突き進む厚生労働省 

厚生労働省の概算要求予算額が、初めて30兆円を超えたとか。有効に使ってくれれば良いのだが、果たしてどうなることだろう。

在宅医療介護をあくまで推し進める積りらしい。その充実に105億円を見込んでいると報じられた。その金は、医療介護の現場に直接投資されるわけではなさそうだ。下記の報道記事を読むと、24時間往診可能な診療所を自治体が把握するシステムと、保健師の派遣事業が対象になるらしい。医師も薬剤師も24時間対応を迫られることになる。24時間対応に対する報酬上のメリットは最低限に留められ、むしろ厚生労働省の意図に反して24時間対応をしない医療機関にはペナルティとして診療報酬の削減を行うのが、彼らの常套手段だ。基本的には、行政の側のシステム作りに、この105億円の多くが用いられると考えて良いだろう。もしかしら、何とか機構の一つや二つを立ち上げる積りなのかもしれない。それは、天下り先となるはずだ。行政のシステム強化がいくら行われたところで、医療介護の現場は助からない。また、国民のためにもならない。

24時間対応は、医師一人の診療所ではまず不可能だ。24時間しばられることになる。薬局も同じだろう。で在宅対応をしない医療機関が療報酬上冷遇されるとなると、結局、チェーン化された医療機関だけが生き延びることになるのだろう。そこでも、医師の労働条件は、かなり厳しいものになるのではないだろうか。私が退職を決意したこの数年間だけでも、夜間休日診療所のdutyやら、検案医としての責務やらが、大幅に増えた。検案医のdutyは24時間だった。この先、どのような勤務形態であれ、24時間のしばりが出てくることは想像に難くない。平均年齢60歳を超えた開業医には、その対応は無理だろう。開業医が歯が抜けるように退職するなかで、行政はどのように対応しようとしているのだろうか。総合診療医なるよく分からぬ範疇の医師を作り、様々な縛りをかけた奨学金で医学生を吊り上げ、さらに専門医取得の条件としてこうした医療労働につくことを要求するのだろうか。

介護対象の政府の目算が甘いことが国会議論で明らかになったことは以前このブログでも言及した。認知症の症例数の推移も、以前の予測を上回っていることが昨日報じられていた。それでも、行政は在宅医療介護に突き進むようだ。それを国民が望むからというのが行政の言い分だが、国民の意識は原則はそうであっても、急変時には、または自宅での医療介護が不可能になれば、施設での医療介護を期待するということなのではないか。

行政は、医療介護を在宅で行えば、それだけ医療費を削減できると見込んでいるのだろう。医療介護の人件費を、費用が表面上発生しない、家族による在宅医療介護に置き換えようとしているのだ。これが、現在の家族構成で実際可能なのかどうか。また、本当に経済的なのか。実は、親戚に認知症の老人を抱えて、在宅介護を行っているが、介護保険等でカバーされる範囲はごく限られており、老々介護にならざるをえなかったので、結局、24時間ヘルパーに頼っているケースがある。経済的な負担は、大人一人がフルに働いてえられる給与の額を大幅に超す。在宅介護をそうした形で行えなければ、家族が仕事を辞めて、看ることになる。それが国家経済に与える影響はかなりのものになるのではないだろうか。それでなくても、労働人口が減っており、一方数百万人規模で認知症が生じる状況では、現実的な策とは思えない。

行政は、全体を見渡していない、そして自分たちの利権だけ考えているように思えてならない。


以下、引用~~~

在宅医療充実に105億円 容体急変時の対応強化
共同通信社 9月5日(水)

 厚生労働省は5日公表した2013年度予算の概算要求に、在宅医療を充実させるため、地域の医療・介護の連携を進める事業費として105億円を盛り込んだ。市町村が中心となって、在宅の患者が容体急変した際の対応を強化したモデル事業などを実施する。予算が重点配分される特別枠の要求。

 厚労省は11年度から2年間の計画で、在宅医療の拠点を整備するモデル事業を実施。24時間往診できる診療所などを拠点に、医療や介護の専門職が患者の情報を共有して連携する取り組みで、13年度からは「急変時対応」や「薬物療法の提供」などを強化して、引き続き実施する。

 「急変時対応強化モデル」は、在宅の患者の容体急変に備え、受け入れ可能な医療機関を市町村があらかじめ把握。一方で患者が重症化しないよう保健師が定期的に巡回するようにする。

 「薬物療法強化モデル」は、地域の複数の薬局が連携し、抗がん剤を含む薬剤を、在宅の患者に24時間提供できる仕組みづくりを進める。

 このほか、自治体がドクターヘリに衛星利用測位システム(GPS)やデジタル無線を搭載する際の費用を補助するための予算も盛り込んだ。

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