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診療をしながら 

一昨日は、非常勤で仕事をしている先での自分の検診。実を言うと、検診を受けるのは久しぶりなのである。結果は、白内障によると思われる視力低下が酷く、さらに血圧も正常上限一杯のところだった。血液検査等で何が引っかかるか、ヒヤヒヤものである。でも、まぁ、年齢相当なのだろう。

で、外来の仕事の方で、新生児が肛門周囲膿瘍でやってきた。元気いっぱいに泣く赤ちゃん。その処置をしながら、急に、昔繰り返して読んだ、ロマンロランの「ジャンクリストフ」の一節が思い起こされた。何も考えていないところに、その一節が咄嗟に思い出されたので、しばし呆然とした体であった。その一節とは、長いこの小説の最終章の最後の部分、ジャンクリストフが生涯を終えようとしているときに、何者かが先を行く、そこでクリストフが「一体貴方は何者なのか?」と問う、それは「生まれいずる日だ」と答える、という内容だったように記憶している。かってこの小説を読んだとき・・・20歳前後だったか・・・は、ジャンクリストフは、このように生きた、さぁ貴方が今度は生きる番だと、作者のロランに力づけられたように思ったものだった。しかし、今回は違う、生まれいずる者に対して、自分がしっかりとこの生命の流を受け渡すことだ、という声を聞いたように感じたのだ。

恐らく、生命力に溢れた先の赤ちゃんを目の前にして、老いつつある自分がいる、しっかりと生命の流れを次の世代に受け渡すことはできたのか、その時に備えよ、という啓示・・・大げさに聞こえるかもしれないが・・・だったような気がする。深い畏怖の念をもって、老いる意味を教授されたように感じた。小児科医として仕事をしてきて、初めての経験だった。

老いを恐れず受け入れること、次の世代に生命の流れをしっかりと伝達し終えること、それがこれからの私の課題だ。

それにしても、若い日に読んだ書物は記憶に残っているものだ。そうしためぐり合わせのあったことにも感謝したいものだ。

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