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返戻 

先日、国保の支払基金から、2万数千円を返還せよという書類が届いた。私が3月に診療した2例について、診療報酬を支払ったのが間違っていたということらしい。診療報酬請求書は、金を支払えば、私に送り返すということらしい。

一般の方には、診療報酬の仕組みが分からないと思えるので、簡単に解説を・・・

診療をすると、その診療報酬(医療機関が対価として受け取る収入)は、自費分以外を、支払基金に請求する。小児の場合は、大体自費は少額の定額制であって、殆どが保険請求することになる。その場合、国保と社保に分れる。各々の支払基金は、診療報酬が妥当であると認めると、各保険者(地方自治体であったり、各企業であったりの保険を実際に扱っている部署)にそのコストを請求する。一方で、支払基金は、診療報酬を医療機関に支払う。

こんな仕組みになっている。保険医療の財政がひっ迫していることもあり、支払基金、および保険者から、医療行為を正当なものとして認めないということが多くなってきている。だが、それ以上に多いのは、診療している月に、患者が保険を変更したために、その診療報酬請求は認められぬという返戻だ。昔、「不正請求」とされていたものの大多数がこちらに属する。

後者の場合、医療機関は良い迷惑である。大体、最低月一回は、保険証を確認することにしているが、それでも保険の変更を把握できぬことはしょっちゅう起きる。患者さんには、保険を変更すると、そのままでは診療が受けられぬことが十分周知されていない。本来ならば、保険者が、旧い保険証をきちんと戻してもらい、旧い保険証では診療が受けられぬことを説明すべきなのだ。それをいい加減にしているために、医療機関が、一時的ではあれ、診療報酬を支払基金に戻さなくてはならなくなる。行政・ないし保険者のいい加減な仕事のしりぬぐいを、医療機関がさせられているのである。

で、今回の返戻について、支払基金に尋ねたところ、どうも患者が3月中に国保から社保に変更になったためと分かった。それで国保を運用する地方自治体から、診療報酬を返還すべしと言ってきたというのである。

私は、それは地方自治体が患者にきちんと説明し、旧い保険証を返却してもらわなかったために起きた問題であり、医療機関が責任を負うべきことがらではない、と主張した。さらに、すでに閉院してしまっており、新たに社保に請求することが事実上不可能である、とも申し上げた。地方自治体から私の方に書類で正式に問い合わせてもらいたい、と。たいした金額でもないし、払ってしまおうかとも思ったのだが、もしこうした「返戻」が五月雨式に私に対してなされると、経済的な損失はバカにならない。さらに、行政・保険者の怠慢を医療機関に尻拭いさせる悪習に対して異を唱えるという原則を曲げることになる。

行政は、これまで通りの習慣に基づく処理を、ただ機械的に進めているだけなのだろう。近い将来、消費税が増税されても、医療機関では消費税が取れないことになっていること等も同じだ。医療機関は、叩いても、行政上の指導等が怖くて何もしない、何も異を唱えないと考えられているのだろう。

こうした行政とのやり取りを終えることができたと思って、ほっとしていたのだが、医院を運営していた頃の苦い思いがまたふっと蘇った。・・・これではいけない。

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