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東京医大茨城医療センター 保険診療停止処分 

茨城県県南部の基幹病院の一つである、東京医大茨城医療センターが、診療報酬請求上不正を行ったとのことで、保険診療停止処分を下されることになった。比較的近いところにある医療機関であるのと、不正内容と、処分とのバランスに関心があり、注目している。Yosyanさんが、分かりやすく問題をまとめてくださっている。こちら。

まずは、規則は、如何なるものであっても守ることが必要であり、その点で、同センターが犯した、故意と思われる違反は弁解の余地がない。この論の前提として、それは申し上げておきたい。

この一件、医療現場を知るものとしては、不可解かつ疑問に感じる点も多い。

保険診療停止処分は、5年間である。その間、同センターは、保険診療ができない。ということは、実質上医療ができないことを意味する。500病床の基幹病院、外来患者は一日1000人、救急患者を年間3000人以上受け入れている医療機関に対する処分として、違反事項を考えて適切なのかどうか、疑問に感じざるを得ない。処分を行った役所は、地方厚生局で、彼らは地域の医療事情等を考慮せず、保険診療規則に照らし合わせて、処分の軽重を決めるらしい。保険診療は、それ自体を目的として存在しているのではない。地域の医療が適切に確保されることが第一の目的のはずだ。それが、保険診療体制の整合性だけを考慮して処分するのは疑問だ。

さらに、違反のあった規則について。これらの規則は守ることが医療現場に要請されており、それを故意に破ることは許されないのはすでに述べた通りだ。ただし、一般論としては、それらの規則の公正さ、妥当性を問題にすべき点は少なくない。そうした指摘・議論を医療現場から提起する場・方法がない。あるとすれば、途方もない手間と費用のかかる行政訴訟だけだ。実際、行政訴訟を医療機関側から提訴し、行政が敗訴しているケースも出てきている。診療報酬体系は、時々の行政の意図を実現すべく、継ぎはぎだらけになっており、かつ特定の条件を認めた場合だけ得られる診療報酬というものが多々ある。その条件が、往々にして複雑怪奇かつ不明確で、地方厚生局の現場での判断にゆだねられ、結局恣意的に運用されることが多い。それに異議を唱えられぬ現状は、医療現場を苦しめ、歪めている。地方厚生局は、いわば、医療現場に対して圧倒的に優越する権力を与えられ、自身が法律であるかのごとき振る舞いをしている。

Yosyanさんの分析にある通り、外来診療の医師の事務補助に専任の事務員をつけた場合の加算は、先の診療報酬改定で、医療現場の医師の負担を減らすための新たな加算として華々しく登場した。が、現実問題として、専任の事務員を置くと、その給与は医療機関の持ち出しになる。要するに絵に描いた餅を、行政は定時しているのだ。そして、この絵に描いた餅で、医療現場を手厚く遇したと、行政・政府は主張する。診療報酬改定のたびに同じような詭弁がなされてきた。

どうも、同センターの幹部の発言等々からすると、保険診療停止期間を短くする方策が、現実には練られている気配がある。患者さん、それに同センターのスタッフのことを考えると、一遍に潰す影響は大きすぎるので、停止期間の短縮は、ありうることだろう。だが、そうだとすると、この処分は、ある意味、「見せかけだけ」、「見せしめ」として行われる茶番劇のように思えてくる。その茶番劇で高笑いをするのは、行政だ。地方厚生局の圧倒的な権力を誇示する茶番劇として仕組まれているのである。

診療報酬規則の簡素化、そしてそれを施行する行政機関の運営の透明化・法治化が求められる。

コメント

複雑なお話です

コメ欄にあったように入院時医学管理加算の施設条件は、

>(治癒退院患者+紹介退院患者(診療情報提供料添付加算算定患者)/総退院患者

これが40%以上です。言い換えれば退院患者の半分弱は外来フォローはするなになります。

でもって退院時に治癒なんてケースはごく少数です。そうなると茨城医療センターは年間9000人の退院患者のうち3600人ぐらいを紹介退院にする必要が出てきます。かなりの病疹診連携体制が必要なわけです。だが出来なかった。

そこで治癒の拡大に走ったわけですが、たぶん「軽快」を治癒に計上したと推測されます。退院後抜糸とか、以後何ヶ月かおきの外来フォローの類です。

これが治癒ではないの疑義解釈が示されたのは事件後です。宜しくはないのですが、複雑な心境です。




Yosyanさん

いつも先生のブログでは学ばせて頂いております。

今回の東京医大茨城医療センターの件、規則違反を故意にしたと思われることは弁明の仕様がありませんが、その規則が、仰られる通り、何とも微妙な設定になっており、さらに疑義解釈が出るまで理解しがたいものであったようですね。いつものことながら、ため息が出てしまいます。同センターだけの問題ではなく、どの医療機関でも起きそうな問題のように思います。

数か月で撤回せざるをえなかった「5分間ルール」を強引に医療現場に持ち込み、医療現場にひどい混乱を生じさせたお方が、現医政局長の座に座っておられますが、こうした官僚の責任は問わないのでしょうか。勿論、現体制では、官僚は職業上の責任を個人的に問われることはないようになっていますが、こうしたことにも官民格差があるような気がします。

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