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ワーク・ライフ・バランス推進 

萩医療圏地域医療再生推進協議会というものがあることを、Yosyanさんのブログで知った。何やら、そこで、地域医療再生基金という国家予算を用いて、救急診療所を作ったが、働く医師が見つからない、ということらしい。箱もの行政ということなのだろうか。

で、同協議会のサイトをサーフしていて、その地域に萩市民病院という中核病院があることを知った。中核とはいえ、ベッド数100で、常勤医師数は16名の、中小病院である。設置された医療機器、電子カルテの類は、すばらしい陣容だ。

だが、三次救急に近い仕事をする医療機関でありながら、この医師数では厳しいらしく、医師募集がかけられている。その募集条件で驚いたのが、「当直月6回」という条件だ。これは多い。日当直も当直も一緒くたに考えて、15名がこの回数当直を平均してこなすとすると、一日あたり3名の医師が当直することになる。が、この規模の医療機関ではありえない。また、2から3交代制なのかとちょっと考えたが、それだとすると、この医師数では足りないし、さらに、もしそうだとしても募集条件としては魅力的な条件なので、募集要項に必ず記載するはずだ。やはり考え得るのは、年配医師の当直回数を減らし、その分若手に多く当直をさせているということなのだろう。

月6回の当直というと、かなりキツイ。医師の当直は、丸一日仕事をし、当直、その次の日も仕事という、少なくとも32時間以上の連続勤務になるからだ。重症患者を当直帯で入院させ、その主治医にでもなった日には、その後も当直を続けるようなことになりかねない。月6回それがあるとすると、かなりの若手でも体力的かつ精神的に厳しいはずだ。

以前から記している通り、医師の当直は、実質夜間労働になっている。超過勤務を行う場合は、労使間で協議し、その条件等を決める必要がある。このような当直が、萩市民病院では夜間労働ときちんと位置づけられているのか、さらにそれに対して適切な対価が支払われているのだろうか。そうしたことの記載は、この募集要項、また同病院のウェブサイトに全く見当たらない。

これだけの情報だと、過疎地の中小病院の医師不足と、医師の過重労働のニュースにしかならないが、興味深い記載を、同じサイトで見つけた。

「2009(平成21)年11月には、次世代のための民間運動「ワーク・ライフ・バランス推進会議」(事務局=日本生産性本部内)が主催する第3回「ワーク・ライフ・バランス大賞」において、「組織活動」部門の優秀賞を医療機関で初めて当院が受賞しました。」

というのである。ワーク・ライフ・バランスとは、労働者の仕事と生活のバランスを保ち、その結果、仕事の効率と、生活の質を向上させようという運動らしい。大学関係・労働界それに実業界の人物からなる、推進会議というものがあり、その背後には行政もからんでいるようだ。

その「大賞」を時々医療機関も得ているようだが、この萩市民病院も含めて、結局、看護師不足を解消するためだけにワーク・ライフ・バランスを改善しようということのようだ。医師のワーク・ライフ・バランスは、同病院を含め、他の受賞病院でも問題にされていない。医師のワーク・ライフ・バランスを問題にできるほど、医師がいない、またそれを問題にし始めると、これまでただ同然で夜間働かせてきた医師の夜間労働に注目が集まり、医療機関にとっては、藪蛇になってしまうということなのだろうか。でも、崩壊した地域医療を再生させるためには、医師のワーク・ライフ・バランスをとりあげ、改善することが必須のことと思われるのだが。

ワーク・ライフ・バランス推進会議といっても、結局企業や医療機関にとって都合の良いワーク・ライフ・バランスの実現を目指すものなのかもしれない。

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