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三題話 

今日は、週一回の非常勤の仕事の日だった。出だしはさほどではなかったが、夕方、特に午後4時過ぎは、この仕事場としては格段に忙しくなった。ディスプレーに未診療の患者の名前がどんどん並ぶ。午前中に診た子が、熱性けいれんを起こして、救急車で運ばれる、といった具合だ。この患者数が、自分の仕事場で顔見知りの患者達であれば、そうたいした仕事ではない。が、以前に記したとおり、殆ど全員が、「初対面」「初診」なのである。かすむ目でディスプレーを必死に覗き込み、「時々」患者に目をやり、仕事を進める。「ごめんね、ディスプレーばっかり見ていて・・・。」と、冗談半分に謝りながら。

この仕事場では、初診が大半であることと併せて、他の日に仕事をする医師との共同作業になるためと、患者へベストな診療を提供したいと考えて、詳細に病歴を聴き、ていねいな診察をすることを心がけている。何しろ、医師として本当に最後の仕事場になるかもしれぬ場所なのだ。大げさに言えば、毎回、手抜きは全くなしの真剣勝負だ。

咳と鼻水という、よくある症状で来院した小学生の病歴を詳細に母親に聴いていたところ、母親がぽつりと、「こんなにしつっこく訊かれたこと、ない・・・」と呟いた。少しイラッとしながらも、できるだけ冷静に、咳の成因には、感染と気道の過敏性、その両者の合併の問題があり、また病像の場が上気道と下気道に分けられる、という説明をした。その区別のために、詳細な病歴の聴取が必要なのだ。咳・鼻水で生命にかかわることはないが、これを「風邪」と一言で片づけてはならない、というのが私の考えなのだ。丁寧に診察を受けることに意外感を抱く親を目の前にして、何か力がふっと抜けてしまうように感じだ。でも、咳と鼻水の子を連れてきた親が、「先生風邪なんです」というのを聴いて、「風邪ですね、風邪薬をだしておきましょう」、という三題話みたいなことはやりたくないのだ。

どれだけの親が、私の診療の態度を理解してくれているのだろうか。勿論、このやり方を変えるつもりはないが、私のやり方が理解されていないとしたら、間違っているのは、私なのか、それとも小児診療でよくある「風邪」の三題話診療なのか・・・。

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