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地域医療支援センターは、鵜飼になれるか? 

厚労省は、地域医療支援センターをこれまでの20か所から30か所に拡充するため、9億6千万円の予算を組んだ。このセンターについての説明は、こちら

要するに、この数年間で各地の医学部の導入された地域医療枠という制度での卒業生を受け入れ、それによって促成教育された医師を僻地に派遣する組織だ。一応、それ以外に、地域医療を志す一般の医師を募集しているようだが、うまく集まっているという話は寡聞にして聞いたことが無い。

さて、この10億円近い予算が何に使われるのかに興味が湧く。この組織は、厚労省により人事枠まで決められており、「専任医師2名、専任事務官3名」のようだ。設置場所は、行政機関・大学・公的病院であるとされている。医師は、専任とは言っても、どこかの医療機関ないし公的機関で仕事をし、そこで給与を得るはずだ。この予算は、事務官の給与として大部分が使われる可能性が高い。すると、事務官一人当たり、1000万円前後の年収となる。この待遇の公務員、ないし公務員を退職なさった方のポストが、今のところ「90」できたということになる。これが、他の都道府県にも及ぶので、センターは90前後に増えるはずだ。すると、近い将来、そのポストは「270」前後にまで増える。

この組織の目的は、地域医療に従事する医師を、各医療機関に派遣することだ。ありていに言えば、医学部を地域医療枠で卒業し、「金で縛られた」医師を、あちこちの僻地医療機関に派遣する派遣業だ。そこで、派遣する際に医療機関からコストをとるのかどうかは分からない。だが、何らかの利権のやり取りが発生する可能性は十分にある。昔、大学の医局が担っていた医師派遣機能を、医局を弱体化させた上で、行政が取り上げた、というところだ。鵜をたくさん飼う鵜匠の地位を、行政が得たという積りなのだろう。

これで上手くいくなら、官僚の多少の利権の種になったとしても目をつぶっても良いのかもしれない。が、どうしてもうまくいくようには思えない。以前にも何度か記したが、大学医局には負の側面もあったが、知識・技術の優れた先輩医師と子弟関係を結び、さらに技術や業績を徐々に自分のものにできる、医師同士の狭い意味での利害関係を超えたものがあった。厚労省が若い医師を金で縛り自由に使うことで、医局と同じことをできると思ったら、かなりピントはずれだろう。まず、このセンター制度は失敗する。

若い医師諸君は、鵜ではないのである。

コメント

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nさん

早速のコメントをありがとうござます。現場の様子がもう一つ分からないので、参考になります。ただ、基本的な認識としては、地域医療枠で促成教育された医師を、「鵜」にして何か利益を得ようとしているようにしか見えないのですが・・・。「地元住民代表としての都道府県行政が人員を派遣する」という言葉をそのまま受け入れるのは無理です。

何故、現にへき地医療に携わっている医師の労働環境、キャリアーパスを向上しようとしないのでしょうか。僻地は、普通の市民も生活しがたい場所です。そこに医師を「強制的に」派遣しようという発想が理解しがたいです。

金の力で若い医師を縛るとして、金の縛りがなくなれば、その医師はどこかに行ってしまわないでしょうか。

医師の大量増産体制が整いましたが、これから増産される医師が、一人前になる20、30年後を見据えての政策なのでしょうか。

いといろと分からぬ医療政策ではあります。

そのとおりです

OM、こんにちは。お返事ありがとうございます。おっしゃるとおりです。地方の病院に医師を確保することの大変さを実感しています。

国は、医療機関の経営も医師やそのほかの医療スタッフの待遇改善や福利厚生も、診療報酬で稼ぐことを前提にしか考えていません。それでさえも管理するしくみです。今の政策を私はすべて受け入れているわけではありません。

国の予算を見るときに、診療報酬ではない手当ての方法として医療再生計画があるとみています。その中にも、なんとか成功例に持っていこうとしている県もあることをお伝えしたかったのです。

ご指摘の通り、20年、30年先の医師政策は、国は持っていないでしょう。まして、医師を養成している大学はそんなことを考えていません。

OMには寄付講座をとおして地域の現状を伝える仕組みがある。地域をみる目を医師養成の卒前卒後教育の中に取り込む努力をしている寄付講座があることを知ってほしいと思いました。これも医療再生計画があればこそです。

医局員の病院派遣をとおして地域の実情を知る医局制度が崩壊するなかで、大学まかせにしておくと大変だということです。

このブログに書かれるOMのご意見はとても参考になります。今後とも、よろしくお願いします。

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