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対日年次改革要望書からTPPへ 

「TPPと日本の論点」農文協ブックレットに、に菊池英博氏が「TPPは日本国民の金融資産の簒奪をねらうアメリカ仕立てのトロイの木馬だ」という、なかなか刺激的なタイトルの論考を記している。菊池氏のエコノミストとしての考えは、さておいて、彼がTPPが歴史的にどのような性格のものであるのかを述べている点が参考になる。

日米貿易摩擦が激しくなった1980年代を経て、1994年以降、日本への要望を米国が毎年送ってくるようになった。「対日年次改革要望書」である。その内容は、あまり報道されることがなかったが、新自由主義経済体制に日本を組み込もうという内容であり、経済社会体制のみならず、医療・農業・司法制度にまで詳細な指示を与えるものであった。2007年の同要望書では、通信・情報技術・医療機器・医薬品・金融サービス・流通等の分野にわたり、それらに関する法律・規制・制度等の改変を要望している。その結果、独占禁止法改正による競争の促進、会社買収の簡略化、裁判員制度、検察審査会による強制起訴、郵政公社民営化等国の根幹にかかわる制度が改変されることになった、と菊池氏は述べている。

同要望書の要求は、日本の三権(立法・行政・司法)にかかわり、日本の国家としての独立性にかかわる問題であった。医療制度についていえば、私自身もこのブログで何度も挙げた問題だが、公的保険の縮小・混合診療の導入が繰り返し要望されている。2006年には、医療法改正により、その方向への舵が切られた。

同要望書は、2008年を最後に日本に送られることはなくなったが、実質的に2010年から「日米経済調和対話」と名を変えて、同様の要望が続けられている、と菊池氏は述べている。この延長上にTPPが位置づけられる。各産業分野での関税撤廃だけでなく、金融・サービス・医療等の規制撤廃・自由化を、米国は求めてくるだろう。それは日本の国の形を変えることになるというのだ。菊池氏は、特に金融自由化により、米国が日本の資産を簒奪するだろうことに注意を喚起している。

まとめると、米国の新自由主義的な日本への要求は、対日年次改革要望書から日米経済調和対話に続き、それに続くのがTPPだろうということだ。

1990年台から続くデフレと不況は、この路線にそった市場原理主義的「改革」、さらには小泉政権時代の構造「改革」に由来するところが大なのではないか。それをきちんと反省、整理しないで、また米国の要求に乗って良いのか。政府の規制改革会議等に、小泉構造改革を担った人物や、利益追求だけを旨とする商事会社等の人間が入っているのを見ると、暗澹たる思いになる。気が付いたら、日本国民の資産が海外に流出し、社会共通資本である農業・医療・介護・教育等のシステムが、グローバル営利企業に乗っ取られてしまった、ということにならねば良いのだが・・・。

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