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「夕張モデル」の怪 

「夕張希望の杜」が、財政破たんした夕張市の医療を劇的に改善した、という報道が、NHK・日経等で最近なされた。

その内容が、医学的にみてどうにも理解しがたいものであることが、m3等医師の間で話題になっている。例えば、ピロリ菌除菌で胃がんのケースが劇的に少なくなったというが、ピロリ菌が胃がんを起こすには10年程度かかるはずで、ピロリ菌除菌の効果などではない、とか、「夕張希望の杜」が設置されてから、医療費が劇的に下がったと報道では記されているが、医療費の動きを見てみると、最初の2年間で下がり、その後は徐々に上昇、最近少し下がっているだけである、即ち医療内容の効果というよりも、人口構成の変化等による医療費の減少なのではないかと、批判されている。実際、「夕張希望の杜」では、糖尿病による透析の症例は、診ないことにしている、ということらしい。高コストの症例を市内で診なければ、医療費は下がるわけだ。

上記の批判は、m3での意見の受け売りに過ぎない。どこまでその妥当性があるのか、厳密な検証が必要だ。だが、常識的に考えて、夕張モデルというような劇的な医療費の効率化が行われたとは考えにくい。それをあたかも事実であるかのように、マスコミに売り込む(という刺激的な表現をあえてつかわせてもらう)関係者、それを無批判に報道するマスコミは一体何を意図しているのだろうか。マスコミは無能なのか、それとも行政のからむこうした宣伝に無批判に乗る体質があるのか。「夕張希望の杜」の背後に、天下り法人が控えていて、その存在意義のPRのためではないか、という意見もあるようだ。

財政破たんの地方自治体で、医療が奇跡的に復活するなどという夢物語は、あくまで夢の世界のことだ。その夢を、あたかも現実であるかのように喧伝し、何事かの意図を実現しようとしているとしたら、それは地道に地域医療で苦労し、何とか踏みとどまっている人々に対する卑劣な行為だ。



2月26日の日経に載った記事から引用~~~

5年前、夕張市は財政破綻に伴い、171床の総合病院を19床の診療所に縮小しました。救急機能の維持には、医師や看護師を24時間配置し、検査体制も整備しなければなら ず、予算も人員もない市は救急指定を外さざるを得ませんでした。

閉鎖された病院の後を受けた「夕張希望の杜」は限られた資源を最大限に生かすため、病気の予防と、生活を「支える医療」に特化。ワクチンや早期発見で予防を進め、総合病院 から退院した身体の不自由な患者や、糖尿病などの慢性期医療の患者へのケアを主体にしました。急性期医療は近隣の総合病院に頼らざるを得ないので、患者が急性期に移行する のを未然に防ごうとしたのです。

そして市民の健康はどう変わったのでしょうか。私たちがこのほどまとめた、5年前と現在を比較したデータから見えてきたのは財政破綻の危機から生まれた“夕張モデル”が持 つ可能性です。

この5年で死因の第1位であるがんの死亡率(SMR、標準化死亡比)は低下していました。なかでも胃がんの死亡率は3割以上の低下でした。これは「ピロリ除菌での胃がん予 防」や「がん検診を通じたがん全般の早期発見」など、市民の努力の成果です・・・・。

S&Pが警告した高齢者医療費はどうでしょうか? 日本の1人あたりの高齢者医療費は上昇を続ける一方で、もちろん夕張の高齢者にかかる医療費も以前は右肩上がりに上昇していました。しかし5年前を境に徐々に低下し、現在 では当時より1人当たり約10万円も安くなっています

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