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「国会版社会保障制度改革国民会議」の中間とりまとめ 

河野太郎氏が、「国会版社会保障制度改革国民会議」の中間とりまとめを公表している。こちら

「持続可能な」医療介護制度を確保するために、医療では、まず総合診療医がすべての患者を診る、さらに総合診療医が必要に応じて、「正しい」専門医へ紹介するという制度を考えているようだ。持続可能性を言い換えると、医療費は削減するということだ。この提言の肝は、医療費削減政策である。総合診療医には、住民の一定数を割り当て、その報酬は定額制にする、という。これは、医療崩壊をきたした英国の制度にそっくりである。患者が医療機関を選べるフリーアクセスを維持すると述べているが、本音は違うだろう。現状であっても、国民は専門医志向が強く、様々な情報を得て、大病院・専門医にかかる傾向がある。この現状を、総合診療医をゲートキーパーとする制度に改めるためには、フリーアクセスは取りやめにせざるを得ないからだ。

この二昔、三昔前の英国風の制度にすると、確かに、医療費の削減は容易になることだろう。だが、そこで何が始まるかと言うと、現状を上回る医療の崩壊だ。総合診療医の診療予約をとるのに時間がかかり、専門医に容易に紹介してもらえない、紹介されたとしても数カ月、下手をすると一年以上待ちという状況になる。大多数の医師にとっては、やりがいが失われ、かなりの数が外国に仕事を求めて出てゆくことになるだろう。英国では、この医療崩壊から脱するために、ブレアー政権になって、結局大幅な医療費の増加を余儀なくされた。それを、河野氏らは繰り返そうとしているのだ。

また、この報告には詳述されていないが、介護の面でも、要介護度の低いケースは介護保険が使えぬことにするらしい。医療介護の地域包括ケアである。介護保険対象から外れる方々をどうするのか。介護保険が担ってきた介護を、地域のボランティアに担わせる積りらしい。地域でケアすると言えば聞こえが良いが、軽症要介護者のケアから行政・政府は撤退するということだ。

「正しい」医療や、「地域全体で」ケアする介護、そして医療介護を国民の手に、というスローガンは虚しい。診療報酬の出来高制によって、医療機関に設備投資のインセンティブを与えているという現状認識の乏しさ。そしてあたかも国民の立場にたったかのようでいて、結局、行政の描く医療介護体制に変えようというやり方が、どれほど欺瞞的なことか、政治家として恥を知るべきだ。政府は、これまでの失政によって、これまで通りの医療介護を提供できなくなった、故に今後は、これだけの医療介護しか提供できないと、謝罪の上、説明すべきだ。この中間とりまとめでも提言されている、70から74歳までの医療費自己負担が特例で1割負担になっていたものを、元来の2割負担に戻す決定を、「選挙後」まで先延ばしすることに、政府与党は決めたらしい。この有り様では、腰の据わった医療介護政策の改革などできるはずがない。

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