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「脳性まひ児は、出産時陣痛促進剤を用いられている」という日本医療機能評価機構の報告 

今朝の朝日新聞朝刊に、日本医療機能評価機構による報告について報道されていた。脳性まひ児188名出産時の陣痛促進剤の使用に関する報告である。

調査した脳性まひ児のうち、3割の例で、陣痛促進剤が用いられ、その内77%が産婦人科学会のガイドラインを守っていなかった、という内容である。最後に、愛育病院の岡田崇院長によるコメントがある。それによると、脳性まひ児の出産にはリスクがあり、出産を促進させなければならないこともある、とのこと。これが正しい認識だと思うのだが、この記事は、陣痛促進剤が脳性まひの成因であると誤った方向に誘導する。

脳性まひ症例の大部分は、胎内で生じる問題であり(従って、出産方法の問題でないことが圧倒的に多く)、その出産にはリスクが伴い、場合によっては陣痛促進剤を用いざるを得ない。陣痛促進剤投与がまるで脳性まひの原因・誘因であるかのように報告する日本医療機能評価機構、または/かつそれを誤解されやすいように報道するマスコミは、間違っている。ガイドラインはあくまでガイドラインである。その指示を超すかどうかは、医療現場の裁量の範囲であることが多い。マスコミは、センセーショナルな内容でないと、記事にできないのだろう・・・それにしても、困ったことだ。

ところで、日本医療機能評価機構は、産科医療補償制度によって、巨大な内部留保を毎年貯めこんでいる。詳細はこちら。その詳細を公表しないばかりか、集める補償金の金額を下げようとしない。こうした組織に、産科医療現場の状況を把握できるはずがない。同機構は、最近、ラジオでこの補償制度のことを宣伝している。その宣伝曰く、脳性まひの成因を究明する由。このような報告を出しているところをみると、成因究明など彼らの手に余ることに違いない。こちらの一件も、マスコミには是非突っ込んで報道してもらいたい。が、金の有り余る天下り法人、それもマスコミに宣伝を流す法人であると、批判的には取り上げにくいのだろう。持ちつ持たれつ、という関係である。

コメント

そうだったのですか。

今朝TVのニュース報道で、脳性麻痺の原因は、陣痛促進剤の使用量を学会の指針を守らなかったことが多かったという由に受け取りました。
OMの指摘で納得しました。

Re: そうだったのですか。

コメントをありがとうございます。

近いうちにここでも紹介しようと思っていますが、脳性まひの成因についての総説が、Lancet Neurolの最近号に載っていました。それによると・・・脳性まひという疾患概念が導入されたときに、新生児仮死(出生時の低酸素血症による脳障害)が脳性まひの成因として考えられたことが影響している様子です。過去40年間医療の飛躍的な進歩に関わらず、脳性まひ児の頻度は出生1000対2から3で一定になっています。これは、陣痛促進剤の使用で近年の遺伝学的な知見の脳性まひが増えていることを否定する根拠の一つではないかと思います。むしろ、遺伝学的な知見の集積により、遺伝的な異常がベースにあることが多いことが分かってきているようです。それ以外に、胎内での感染、母体の問題等も関与するようです。新生児仮死が問題であるとしても、その割合は決して多くありません。むしろ、胎内で問題を抱えた児の娩出を進めるために、陣痛促進剤を使うことが必要になると考えるべきなのでしょう。

今後ともよろしくお願いいたします。

訂正

陣痛促進剤の使用で近年の遺伝学的な知見の脳性まひが増えていることを否定する

>>

陣痛促進剤の使用で脳性まひが増えていることを否定する

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