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フォーレ ピアノ五重奏曲第二番ハ短調作品115 

先日、日曜日の朝、ラジオからこの曲が流れてきた。1楽章アレグロモデラート。曲の美しさに、はっとさせられた。と同時に、懐かしい。

フォーレ晩年の作品で、無駄を省き、旋律を重ね合わせるようにして、抒情的な世界を紡いでいる。学生時代に、ジャンユボーのピアノ、ヴィアノヴァ弦楽四重奏団の演奏の音源で繰り返し聴いた。実家の狭い自室で、カセットに納めたこの曲を何度となく聴いた情景をまざまざと思い起こす。

フォーレは、その晩年、高い音は低く、低い音は高く聞こえる聴力障害に悩まされていたと聞いていたが、この番組の解説によると、最晩年は聴力自体を失っていたという。そうした状況で、この流れるような美しい音楽をどのように作曲したのだろうか。彼の息子による自伝には、フォーレは晩年自分の作品はやがて忘れ去られるだろうと述べていたとあった。その痛切な思いを思い返しつつ、再びこの曲に耳を傾ける。でも、この四楽章の昂揚感を伴う生命の漲りは、どうして生まれたのだろうか。フォーレが、おそらく自らの生命を削りつつ作曲したのではあるまいか。

一頃は、こうした室内楽を何とか自分でものにしたいとあくせくしていたが、楽器から少し距離を置いて、再び音楽そのものに沈潜できるような気がしてきた。若い日に繰り返し聴いた、こうした音楽に再び耳を傾けよう。

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