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ホワイトカラーエグゼンプション再び 

藻谷浩介著「デフレの正体」によれば、労働生産性とは、企業の生み出す付加価値額を、労働者数で割ったものだそうだ。

付加価値とは、企業の利益に、事業で用いたコストの一部(人件費・貸借料のように地元に落とすコスト)を加えたもの。企業がGDPの増大に寄与する度合いと考えてよいらしい。

これまで20年間、企業は、労働者数を減らし、非正規雇用を増やし、その一方、人件費を減らし続けてきた。それによって、企業利益を最大化し、ステークホルダーへ還元し、場合によっては、企業買収に明け暮れてきた。それが企業サイドで長期的にみてデフレに傾けさせる要因になっていた。最大の要因は、藻谷氏によると、ベビーブーマー世代が現役労働人口から引退し、需要を生み出さないようになることなのだが、この企業の近視眼的な利益最大化策が、現実には労働生産性を上げず、さらに賃金の引き下げによって、需要を低下させてきた。

ここで、ホワイトカラーエグゼンプションの再来である。労働者の裁量によって、労働時間を自由に変えられるという触れ込みは、麗しいが、現実は、時間外労働への対価を支払わないこと、そのコストを企業利益に付け替えることがこの制度の目的なのは明らかである。企業競争力を改善する一環として打ちだされている施策であることからも、そうとしか読めない。

とすると、この施策は、賃金の実質的な引き下げ策であり、企業の生み出す付加価値を下げることによって、労働生産性を引き下げ、デフレを進行させる方向に働く。

法人税減税やら、輸出企業優遇策等々、これでもかというほどに、大企業・輸出企業に手厚くし、その上にホワイトカラーエグゼンプションの導入である。恐らく、この制度も試験的導入となっているが、いずれホワイトカラー全体に広げられるのだろう。医師の労働についても、適用されることだろう。

需要が減少したためのデフレ状況下で、適切な施策なのだろうか。さらに、これまで保護されてきた労働者の権利をこのように剥奪することが許されるのか。


以下、引用~~~

労働時間規制に特例 一部企業で実験導入 年収800万円超

記事:共同通信社
13/08/14

 政府が、一定水準以上の年収がある人には週40時間が上限といった労働時間の規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間の規制除外制度)」の実験的な導入を、一部の企業に特例的に認める方向で検討していることが14日、分かった。

 年収で800万円を超えるような大企業の課長級以上の社員を想定しており、時間外労働に対する残業代は支払わない上、休日、深夜勤務での割り増しなどはない。仕事の繁閑に応じて自分の判断で働き方を柔軟に調整できるようにし、成果を上げやすくする狙いがある。

 経済産業省によると、トヨタ自動車や三菱重工業など数社が導入を検討しているという。ただ、労働界からは長時間労働を助長するとの反発も予想される。

 経産省は、今秋の臨時国会に提出予定の「産業競争力強化法案」に、先進的な技術開発などに取り組む企業に対し、規制緩和を特例的に認める「企業実証特例制度」の創設を盛り込む方針だ。特例制度の一環で、労働時間規制の適用除外の実験的な導入も認める。

 法案の成立後、年内にも導入を希望する企業からの申請を正式に受け付け、早ければ2014年度にも実施する。実際に適用する場合は、本人の同意や労使合意も必要となる。

 労働基準法では労働時間の上限を1日8時間、週40時間と定めており、これを超えると残業代の支払いが義務付けられている。休日や深夜の勤務に対しては賃金の割り増しもある。

 現行制度でもデザイナーなどの専門職や企画職を対象に、実際の労働時間とは関係なく、一定時間働いたとみなして固定給を支払う「裁量労働制」がある。ただこの制度も、休日、深夜の割り増しは発生する。

 これに対し、特例の制度では労働時間ではなく、成果に応じて給与を定める。経産省は成果を上げればまとめて休むこともでき、生産性向上につながるとしている。

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