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幸せな開業医人生だった 

自分の仕事を辞めて、少しセンチメンタルになっているのかもしれないが、開業していた時、患児とそのご家族は、まるで自分の家族のようだったと改めて思う。パートの仕事では、一見さんが多くて、何か知識と経験を切り売りしているような気分に襲われる。パートの仕事帰り、少し横道に入って、昔の仕事場の近くのスーパーに行くことがある。昔の仕事の帰り道、そのスーパーで買い物をして良く帰ったものだった。何かほっと落ち着くのである。

昨日も夕方、少し遠回りをして、そのスーパーに足を運んだ。出入り口のすぐ近くに、お母さんと娘さんの親子連れがいた。かっての患児とそのお母さんであることはすぐ分かった。お母さんは、コピー機で何かをコピーしている。色白のほっそりとしたお母さんで、髪をひっつめにし、いつも忙しそうにしておられる方だった。エンジニアとして働いておられ、はきはきと受け答えされる方だった。娘さんは、まだ2,3歳で、来院するようになってしばらくは、診察室に入るとたんに、大きな目に涙を浮かべ、診察をしようとすると大泣きし始める子だった。しばらくすると、診察に慣れて、とてもかわいらしい、こぼれるような笑顔を見せてくれるようになった。もう小学生低学年になる姉もいたはずだが、家で留守番をしているのだろうか、そこにはいなかった。

ふっと挨拶をしてみようかという気持ちになったが、いやいや、もう医師患者関係はなくなっているのだし、ご迷惑だろうと考え、数メートルの距離を置いてちょっと立ち止まって、お二人の姿を目に焼き付けてから、そこを立ち去った。

あのような患児とご家族を相手とする仕事を17年間続けることができたのは、本当に恵まれていたことだと改めて思った。しかし、その生活は過去のものになった。新たな生活に踏み出すことだ。夕食にする、冷やし中華と、黒ビールを買って、夕やみに覆われ始めた、昔懐かしい畑道を自宅に急いだ。

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自宅の庭のコスモス。

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