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5兆円の医療介護費削減策 

長期の医療費の予測をするのはそれほどに難しいことなのか?1990年代に厚労省が行った、2025年の医療費推計は、140兆円を超えていたそうだ。現在の推計は、その半分近くまで減っている。殆ど推計の体をなしていない。

そして、当局は、増加が見込まれる、医療介護費から5兆円圧縮することを決めたようだ。

生活習慣病の予防、IT技術の活用等により、抑制を実現するということらしいが、このキャッチフレーズは以前にも聞いた記憶がある。

彼らの医療介護費の予測は全く当てにならないことは明白である。増加基調になるであろうことは、当然のことだろう。この記事のポイントは、当局は、何としても医療介護費を圧縮する積りである、ということだ。

その手段として挙げられている事項では、5兆円という巨額の圧縮は無理だろう。生活習慣病の予防をしても、人は何時かは老いて、医療介護の世話になる。終末期の医療費はあまり変わらないと鳴れば、むしろ年金にかかるコストが増える程度のことだ。劇的な医療介護費の削減は無理。IT技術で、労働集約的な医療介護のコストを劇的に減らすことも無理だろう。IT技術で便利になることも多いが、医療介護のコストを下げるどころか、上げる方向に働くことは、この10年以上のIT導入で医療現場は痛感しているところだ。後発薬品の導入で、一体どれだけ医療費が削減されたというのだろうか。院外処方をする薬局に、そのパイが回っただけではないか。

当局の目指す医療介護費の削減は、給付の削減以外にありえない。そのための手段は、医療介護給付全体を引き下げるが、特に在宅医療の推進だと、彼らは考えているのだろう。医療介護を、患者家族によって担ってもらおう、ということだ。在宅医療が可能であれば、それが患者にとっては最良なのだが、現在の平均的な家族構成からいってそれが可能なのだろうか。また、人口減少社会に突入しており、労働人口が減り続けている。在宅医療は、労働人口を家族を無償の在宅医療に縛る。どう考えても、当局の医療介護費削減策が上手くいくとは思えない。

そもそも、数日前に取り上げた井手英策氏の著作にある通り、国民中間層の受益の少なさが、租税忌避感を生み、さらに社会的弱者への連帯感を失わせている、という。財政再建は必要なことだが、大幅な増税以外
、その方策はないのではないか。財政、とくに社会保障・医療介護費を削減し続けると、社会の連帯感の崩壊をきたすのだ。国民中間層の受益はさらに削られる。そこでは、増税は困難になり、さらなる社会保障の削減を行わなければならない悪循環に陥る。

この悪循環に陥っていることが、行政・政治の世界の方々はわからないのだろうか。


以下、引用~~~

医療・介護費5兆円圧縮へ…予防や後発薬推進で

読売新聞 2013年8月30日(金)

 厚生労働省は29日、2025年度までに約30兆円の伸びが見込まれる国民全体の医療・介護費を、5兆円程度圧縮して70兆円未満とする新目標を掲げることを決めた。

 生活習慣病の予防や、情報通信技術(ICT)活用の効果などにより、抑制を図りたい考えだ。

 医療・介護の給付費は、12年度現在約44兆円。団塊世代がすべて75歳以上になる25年度には、1・7倍の74兆円まで膨らむと推計されている。

 特定健診(メタボ健診)の受診率を向上させるとともに、健診結果と、治療内容が記録されたレセプト(診療報酬明細書)を分析し、生活習慣病の早期発見、治療につなげる。禁煙も推進して計2・4兆円を抑制する。価格の安い後発医薬品の使用促進で、1・1兆円の削減も見込む。

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