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「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」 

一昨日、国会法務委員会で「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律案」について審議がされた。video Clipがある。こちら

てんかん・精神疾患の患者が、交通事故を起こし、人を死傷させた場合に、これまでよりも重罰に処する、さらに運転免許(更新を含む)の欠格事項に上記疾患を入れるという、法律が検討された。

上記記録のうち、横路孝弘議員およびその参考人の行った質疑を是非視聴して頂きたい。

法務省の見解は、特定の疾患に着目するのではなく、運転に危険を生じさせる症状に着目した、しかし刑事法の構成要件を明確にする必要があるので、個々の疾患を対象にした、というものだ。以前の道路交通法改正時、警察庁担当者は、精神疾患患者による交通事故が、そうでないケースよりも多いという根拠はないが、医学的に運転に危険を及ぼすことが分かっている、とも述べたらしい。この法案を提出した背景には、栃木県鹿沼市で起きた重大な事故等があり、それによっててんかん・精神疾患患者の運転を厳しく規制すべしという世論があったものと思われる。

一方、医療現場の参考人二人(久保田英幹日本てんかん協会副会長、三野進日本精神神経学会理事)の見解を、私が理解した範囲でまとめると以下のようになる。

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〇てんかん・そううつ病等の感情障害の患者だけでも、200万人以上が存在する。今回の法規制は、彼らにとって生活を脅かすものとなり、影響が甚大。実際に、仕事を続けられなくなる、辞めさせられるといったケースが頻発している。

〇てんかん・精神疾患患者によって引き起こされる交通事故の頻度が、そうでない人々に比べて、高くなると言うデータはない(これは警察庁も上記のとおり認めている)。てんかん患者のなかで運転免許を所持するのは、35から60万人、実際に運転をするのは、25から50万人と推定される。過去20年間のデータから、てんかん患者によって起きた交通事故は年間73件、同じく死亡事故は年間3件。(ブログ主の見知ったデータでは、心血管疾患による突然死によっておこされる事故は、年間20件とのこと。)このてんかん患者の関わる事故は、事故数年間80万件、死亡事故1万件弱という一般人口での頻度と比べて多いとは言えない。

〇精神疾患が交通事故の原因になる急性精神病状態は、他の疾患の急性期ないし寝不足・過労状態と変わるものではない。精神疾患の患者で、急性精神病状態を経験しない患者の方が圧倒的に多い。

〇2001年に行われた道交法改正で運転免許の欠格事由の例外が定められた。が、その規定は、運転能力を欠くことになる症状のないものということで、いわば、当該疾患ではないことを意味する。これは詭弁の類。

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参考人が強く求めた、法案、特に処罰対象疾患の規定部分を削除することには、担当の官僚、谷垣法務大臣共に最後まで言及することはなかった。

運転免許更新時の「診断書」書式が如何に意味のないものかを、このブログでも取り上げた。やはり、こうした警察・法務行政官僚の施策には、専門家が関与をしていないことが明らかになった議論だった。官僚は、法案を検討する法制審では神経内科医が入っていたと言っていたが、このお粗末な内容からして、医療現場にいる医師が関与していたとは到底思われない。

交通事故を起こしたてんかん・精神疾患患者に対して重罰で臨もうとする、この法案は、そうした疾患への無知と偏見に満ちている。すぐに撤回すべきだ。

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