日米地位協定 (1) 

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前泊博森著「日米地位協定入門」創元社刊を読んだ。上記の画像の本。

この夏、日中盛んに農作業を、庭でするようになった。そこで、頭上をひっきりなしに、ヘリコプターや輸送機と思われる飛行機が飛んでゆくことに気が付いた。殆ど間が空かぬほどに、それらが飛来し、去って行く。日中だけであるし、それほど低空飛行ということはない。が、爆音がいつも鳴り響くのはどうしてなのか、と思った。機体は、見分けがつかないが、民間機ではなさそうだ。飛んでゆく、また飛来する方向は、南東と南西であることが多い。それらのヘリコプターや、飛行機の由来はまだ分からないのだが、恐らく自衛隊ないし米軍に属するものなのではないだろうか・・・そんなことを考えているときに、最近この本を買ってあったことを思い出し、手に取った。

衝撃の内容である。日米地位協定という日米間の協定の存在は知っていたし、その内容が米国軍に一方的に有利な、不平等なものであることもおぼろげながら分かっていた。だが、ここまでの内容であるとは想像していなかった。編著者は、沖縄出身、ジャーナリストから大学の研究者になられた方。筆致は、ジャーナリスティックではあるが、魂の叫びが底流に流れる、読む者を圧倒する内容である。300ページ超のこの本を、二日間で一気に読了した。

私なりの要約(というか、重要と思われる内容の部分部分の引用)をここで記しておきたい。

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まず、日米地位協定がどのような由来の協定なのか、という問題だ。1952年、サンフランシスコ講和条約、旧日米安保条約とともに、発効した日米行政協定がその原型である。サンフランシスコ講和条約は、敗戦国のわが国にとって、温情溢れる講和条約だが、一方、その背後に、米国、米軍の意図を実現するための旧安保条約が用意されていた。

サンフランシスコ講和条約は、オペラハウスできらびやかに締結されたが、旧日米安保条約は、その数時間後、下士官クラブでひっそりと締結された。日本側の代表は、吉田茂一人。事前にいつどこで締結されるか知らされていなかった。米国は、この米国に有利な条約が、他の国々、日本国民に知れることを恐れていたためである。日本にとって非常に厳しい条約は、日本の国会で議論されることもなく、殆ど秘密裏に締結されたのだ。日米地位協定の前身である、日米行政協定は、日米安保の目的を、日米の国会の承認や国連への登録なしに実現するために同時に取り決められた。日米行政協定は、サンフランシスコ講和条約・旧日米安保条約に書き込めぬ、日本を属国化する条項が定められた協定だった。旧日米安保条約は、新日米安保条約へ、日米行政協定は日米地位協定に、その内容を後に引き継いでいる。

で、旧日米安保条約の目的は

1)日本全土を米軍の「潜在的基地」とすること・・・この言葉通りのことを当時の交渉担当者であったダレスが述べている・・・日本全土の基地化

2)在日米軍基地を自由に使用できる権利を米軍に保証すること・・・米軍基地の自由使用

の二点である。

具体的な問題は、米軍基地の存在である。本土の有名な基地だけでも、七つあり、特に首都圏には、横須賀・横田・座間・厚木が東京を取り囲むように存在している。首都の周囲にこのような外国軍の基地が存在する国は、他にはない。沖縄は、日本全体の面積の0.6%に過ぎないが、米軍基地の74%が集中している。沖縄本島の2割近くが米軍基地で、飛行訓練は全土で行われている。嘉手納ラプコンと呼ばれる、沖縄全体を覆う米軍の官制領域がある。同カプコンは2010年に日本に返還されたが、官制権は米軍にあり、何も変わっていない。首都圏にも、横田ラプコンという米軍官制領域がある。一都八県にまたがる広大な管制権であり、民間航空機の羽田空港からの離着陸に大きな障害になっている。(・・・これで思い出すのが、日航ジャンボ機墜落事故の時の、パイロットと官制のやり取りだ。途中まで羽田の官制が交信していたのだが、途中から横田の官制が取って代わる。あの手に汗を握るやり取りを聴いていて、何故途中から米軍の官制が割って入っていたのかと不思議に思っていたが、このラプコンのためだったのだろう・・・)これ以外にも、岩国にも米軍によるラプコンがあり、松山空港を離着陸する民間航空機が影響を受けている。

日米地位協定は、大きな治外法権を米国に認めている。そのために、日本国民の生命・財産・権利が侵害されている。具体的には、
米兵は、罪を犯しても殆ど捌かれることがない
〇日本の航空法で(さらには米国の国内法規であっても)禁止されている市街地上空での超低空飛行訓練を行っている
〇米軍基地内は、環境保護の規定がなく、汚染し放題
〇当然払うべき税金・公共料金を米兵は払っていない
〇日米地位協定に決められていない、超法規的な「思いやり予算」というお金が米軍に流れている(これは、次に述べる「密約」に基づくものなのだろう。)

これらの地位協定が米軍にとって一方的に有利な取り決めであるだけでなく、そうした取り決めを米軍に有利な形で反故にし、または守らなくてもよしとする「密約」があることが分かっている。例えば、米兵への裁判権の放棄は、1953年に日米合同委員会非公開議事録で事実上裁判権を放棄することが決められていることが判明した。具体的には、「日本の当局は、通常、合衆国軍隊の構成員、軍属、あるいは米軍の軍法下にある彼らの家族に対し、日本にとって著しく重要と考えられる事例以外は裁判権を行使する積りがない」と記されている。

日米合同委員会で合意された内容を、司法・行政に反映させるための裏マニュアルが、最高裁・外務省・法務省で作られている。司法への介入は今でも続いている。

日米合同委員会は、問題が生じた時に議論するが、多くの場合、米軍側にとって有利な条件が固定されることになる(合同委員会の決定前よりも悪化する)。その代表例が、沖縄国際大学へのヘリ落下時の調査権の問題だ。事故後、事故調査は専ら米国が行い、事故現場に日本側からは入れぬことが決められてしまった。

日米安保の有効性に関して、条約の記載は、米国にとって国益に沿うと判断した場合に限り日本のための軍事行動にでる、尖閣諸島で中国と日本の衝突が起きたとしても、尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲としつつも、戦闘自体は日本が行うことになる。これは、国際的にみても常識である。

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以下、第二稿に続く


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